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【改稿作業中】クロ殿下と剣聖ヴェイセル  作者: 夕凪 瓊紗.com
青嵐ダンジョン編

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752/919

第765話 クロ殿下とスバル殿下と嵐の精霊


―――


前回までのあらすじ:


「来るのぢゃ・・・」


「な・・・何が・・・何が来るんだ・・・?エレン・・・」


「嵐のが・・・」


「ってことは・・・まさか・・・このパターンはっ!!」


「嵐のふわもふ祭りが来るのぢゃ~~~っ!」


「わぁいっ!ふわもふ祭り~~~っ!た~のし~ぃな~っ!!」


・・・って、んなわけあるかいっ!

※正しい前回までのあらすじをご希望の場合は、前話をご覧ください。


―――


「げっ!来ちゃうっ!!」

急いで風の精霊が離脱しようとしたのか、足元につむじ風が舞い始めたのだが・・・

脚を取られてへにゃりと・・・コケた。


「うぐぐっ!」


「貴様・・・また我のナワバリに何をしに来た・・・」


ナワバリ・・・

そういえば、風の精霊もここが南部連合王国内だからか、

そう言ってたけど・・・。


もうひとり、ここをナワバリと言い張る精霊・・・現る・・・っ!!?


現れたのは、白がイメージカラーの風の精霊とは対極に、

黒いイメージカラーが似合う精霊だった。


黒髪、無機質な漆黒の瞳。

何となくスバルに似ているのだが、

エストレラ王国東部に暮らす少数種族・海の民のような耳をしている。


肩から斜めにかけられた白い一枚布を、腰のあたりでベルトで止めており、

淡い紫のストールを腕に羽織っている。


「嵐の精霊さま!」

「この風の精霊何とかしてくださいっ!」

兎耳族のひとたちは、その嵐の精霊さまに陳情していた。


「あの・・・スバル、こちらは?」


「嵐の精霊・ローレインさまだよ。俺の領地の東にある海に住んでいる精霊で、

ウチの領土が台風や竜巻に襲われた時に、いろいろと助けてくれたんだ」


へぇ・・・いい精霊だな・・・

そして、気配としては、闇の精霊みたいだ。


ん・・・?風の精霊は光の精霊・・・

そして、目の前にいるのは・・・


「闇の精霊・・・だよね?」


もしかして・・・?


「・・・対の精霊?」


「そうだ」

と、嵐の精霊。

風の精霊は、恨めし気にローレインさんを睨んでいる。


「というか、闇の精霊だけど・・・いいの?

エストレラや、魔族国以外では、あまりよく思われていないって聞いたけど・・・」


「・・・うん、確かに恐いイメージだったけど・・・

海底ダンジョン攻略したら偶然出会ってね。

割といい精霊だってわかったし。

俺、暗夜祭の時に闇の精霊である月の精霊・アンエイさまにも

一時的に加護を授かってるから。その縁もあるしね。仲良くなれたんだ」

まぁ、確かにそうだよな。

闇の精霊に悪印象を受けていたら、暗夜祭で月の精霊に加護を受けたり、

闇の精霊を祀っているエストレラ王国に留学に来たりとか、難しいから。

そいえば・・・そうだった。


「皆もその縁があって、あんまり闇の精霊に忌避感はないんだ。

破壊の精霊を縁結びの精霊と祀る考えにも賛同してくれたし」


破壊・・・と聞くと恐そうな精霊だが、

破魔とか、破邪とかの力もあるありがた―――い精霊だ。


「もし、よければ、ウチの領地に祭壇ができたら、

嵐の精霊もウチの祭壇に来てくれないか?」


「そ、そんにゃっ!」

にゃって・・・

・・・そこは“ぴょん”ではないのか・・・

いや、そんな語尾のひとには会ったことないか・・・

たまに、クォーツ祭壇の兎耳光の精霊士・ラビアンお姉さんが、

ふっくらお耳をつまんで、“ぴょんぴょんっ♡”と言ってくるくらいだ。


「・・・かまわない」

そして、嵐の精霊・ローレインさんが、スバルの問いにさらっと答えた。


「んぎゃぁっ!」


それだけで大打撃。

この対の精霊コンビの関係性は、

俺の知っている関係性とは違うのかもしれない・・・。


「もとはと言えば、

この青嵐県に嫌と言うほど台風竜巻呼んだのは、この風だ」


「うぐっ!」

えええぇぇぇっっ!!?


「だって・・・憎き碧狼族を匿ってるって聞いたから・・・」


「カロクさんは、全くの無関係っすよ」


「種族を理由に恨みつらみを押し付けるのは、精霊としてどうかと思います」

とスバルも。


「ぐはっ!」


「・・・謝れ」

と、嵐の精霊。無機質な色の瞳なのに、眼圧が・・・すげぇ・・・。

まるで、ハーパンっ子萌えで暴走する光の大精霊こと、

太陽の精霊・コウリンさんに有無を言わさぬ威圧を放つ、

闇の大精霊と名高い月の精霊・アンエイさんのようである。

因みに、このふたりの精霊も、対の精霊同士である。

違う点は、コウリンさんがアンエイさんが大好きな点だろう。

対して、風の精霊は、ローレインさんに苦手意識を持っているっぽい。


「ぐぐぐ・・・っ」


「謝る・・・」


「うぅ・・・はい・・・度々の蛮行、ご・・・ごめんなさいっした・・・」


嵐の精霊の威圧に押されたのか、風の精霊は、項垂れて謝った。

項垂れ方は、コウリンさんにそっくりだ・・・

風の精霊に、エステラ大祭壇のサイカ大司祭様攻撃が効果抜群なのにも、

何だか納得がいってしまう。


「まぁ・・・嵐の精霊がいてくれるなら、俺たちは」

「そうです」

「さすがは嵐の精霊さま」


嵐の精霊、領主領民たちに愛されてるなぁ・・・


「そうだ、罪滅ぼし代わりに、風、ここも本祭壇にするのぢゃ」

とエレン。


「えっ!」


「ぬしらがこれをよく思わぬのはわかったのぢゃ。

しかし、いざというとき、属性精霊が集結すれば最強になるのぢゃ!」


おぉっ!さすがエレン!


「まぁ、謝ってくれましたし・・・」

「嵐の精霊さまがいれば安心ですし」


嵐の精霊さまの恩恵のおかげで、

あっさり決裁は下りたらしい。

風の精霊は・・・めっちゃ大人しくなった。



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