第762話 クロ殿下とスバル殿下と雷の精霊
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前回までのあらすじ:
あぁ・・・森の精・・・フォレストフェアリー!
南部連合王国でも、森の精・・・
そして、森の精は森のあるところすべてに存在する。
また、彼ら彼女らを溺愛する森の番人たちもまた、
森の精あるところに存在するのである。
俺の転生王子友だち・スバルの従者・カロクさんが、
森の精たちの熱烈ラブコールに森の精LOVEスキルを獲得、
無事、森の番人一族の仲間入りを果たしたのである・・・。
「リョクタ・・・俺はそのスキルを獲得していないんだが・・・」
「カロクさん、気持ちの問題っすから、そこは、気持ちの問題っす。
そして、そのうち称号に“森の精LOVE”が加わるんすよ。
前に、クリスタの森の番人さんに見せてもらったんで、間違いないっす」
「・・・そ・・・そうなのか・・・?」
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「どうしてここにっ!!?」
突如、俺たちの前に現れた、ふわっもふしっぽ(6本)のかわいいちびっ子・・・
それは・・・
「・・・うわきなのぢゃ」
森の精たちとはまた違った、独特のかわいらしい口調のそのちびっ子は、
エストレラ王国の西部に位置するルタ獣王国イカヅチの森で祀られる、
雷の精霊・エレンであった。
因みに、狐耳しっぽ(6本)のちびっ子精霊である。
大きさ的には、森の精の年長さんくらいかな・・・?
「う、うわきぢゃないよっ!!俺は、常にふわもふの前では平等だよ?
ほら、エレンの妹みたいでかわいいでしょ~???」
と、狐耳しっぽ(6本)の森の精ちゃんを抱っこしてアピール。
「いもうと・・・なのか?」
毛並みの色は違えど、比べてみると、本当にそっくりな6尾の狐っ子精霊コンビ。
「おにいちゃまなのれす?」
「おにぃ・・・っ!?うむ。しょうがないのぢゃ。良いぞ・・・うむ!」
エレンもちびっ子狐っ子に懐かれて何か嬉しそうだ。
「それよりも、エレンはイカズチの森を出てもいいのか?」
「精霊は行き来自由なのぢゃ。ルタ獣王国王都のクロウのとこにも、
よく遊びに行くのぢゃ。ふわもふしてもらうのぢゃ。
無論、イカズチの森に何かあればすぐわかるから、戻るのぢゃ」
あ、考えてみれば・・・
イカズチの森から出られなければ、
ルタ獣王国王太子のクロウ殿下の元にも行けないからなぁ・・・
納得。
因みに、クロウ殿下も黒い毛並みの狐耳しっぽを持つ狐耳族である。
「ところで、ここでなにしておるのぢゃ?」
・・・ということで、属性精霊のエレンに事情を説明。
属性精霊の本祭壇誘致について、何かアドバイスをもらえれば・・・と思ったのだが・・・
「それならば、我もここにいつこうぞ」
「・・・いいのか?エレン」
「うむ。ここは・・・米がとれるのぢゃ」
米!ここでも米!
「イカズチの森もすきぢゃが、ルタは米がとれんのぢゃ」
まぁ、寒冷地帯だしなぁ・・・。
エストレラ王国も寒冷地帯だけど、
南部のロンド州はその中でも比較的温暖で、品種改良した米がとれる。
因みに、ロンド州と国境を接している
ロザリア帝国の主食は小麦、イモとトウキビである。
ロザリア北部は小麦、イモの生産地、南部はトウキビ生産地。
なしてか南部はお麩の産地なので、お麩の材料も取れるはずだけど。
米は外国産米なら時折入って来るらしいが、
希少な上に高価なのでそんなには食べないのだとか。
だからか、ロザリア帝国第4皇子ディートの侍女・ヒメナさんが
親友の召喚勇者・・・元日本人のシロナさん宛てによくロンド州産米を送っているらしい。
「最近は、エストレラ米が入って来るから、お米が食べられるのぢゃ」
「そっか、それは良かった」
エレンのいるルタ獣王国とは、ルタ獣王国の狐耳族の王太子・クロウ殿下と
ウチのふわもふ茶狼族王子のアスラン兄さんが交流を深めているので、
互いの農産物、特産品の貿易も活発になってきている。
「ここにも米があるから、いつくのぢゃ」(キラッ)
「わぁっ!ありがとう!嬉しい!」
スバルが目を輝かせている。
「何なら、おいなりさん作ってあげようか?」
とヴェイセル。
いや、確かに狐耳しっぽだから好きそうだけど・・・
「それはなんなのぢゃ?」
「おいしいよ?あ、良ければ今から作ってこようか?厨房ある?」
「あ、はい。ウチの屋敷にありますよ」
「じゃ、行ってくる」
とヴェイセルが颯爽とゲートを開き、その先へ駆けて行く。
えええぇぇぇっっ!!?ほんとに作りに行ってくるの!?
まぁ、精霊ファーストは大事だけど!!!
「待ってるのぢゃ!!!」
「わたちたちも楽しみなのれす」
ちびっ子たちも喜んでいる。
「しかし・・・これで属性精霊の本祭壇が作れますね」
と紅消。うん、これでまずは一歩・・・
『ピロロロロ・・・』
「あれ、またマリーから通信・・・」
今度は何だろう・・・?
『おいなりさんって何ですの?』
ま・・・マリーさあああぁぁぁっっん!!?
なして!?なしてまた、すぐさまお米料理感知してんの!!?
盗聴器とか仕掛けてないよねっっ!!?
「お米料理の一種だよ。
今、ヴェイセルさんが作ってるから、後でレシピ聞いて、持ってくよ」
『ふふふ・・・約束ですわよ?では、今日もよきお米日和でありますように』
プ・・・ッ
「あの・・・スバル・・・マリーさんって・・・何者なんだろう・・・?」
「・・・」
何故黙る、スバル。
マリーさんには、SS級冒険者のスバルですら躊躇する、何かがあるのか・・・っ!!?
確かに、ウチのヴェイセルもSS級冒険者だが、
意外と異母兄弟妹が弱点だったりもする。
「来たのぢゃ」
と、突然エレンが俺のズボンをピッとひっぱる。
その仕草はちょ―かわいいんだけど・・・。
「来たって、何がだ?エレン」
「風のやつが」
か・・・風?




