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【改稿作業中】クロ殿下と剣聖ヴェイセル  作者: 夕凪 瓊紗.com
西方荒野編

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【60】クロ殿下と剣聖の行方


――――ラズーリからクォーツに帰ってきて1週間。ヴェイセル『ちょっと行ってくる』と言って出かけて以来まだ戻ってこない。


「……ヴェルが帰ってこない?」

だから俺の異父兄でありヴェイセルの異母兄でもあるエル兄さんに聞いてみた。


「実家からも特に依頼は出していないし、ヴェルが駆り出さなきゃいけないようなクエストを依頼されたとも思えないな。ここんとこいたって平和だしねぇ」

うん、そうなんだよな。それにレベル9999のヴェイセルがそう簡単にやられるとも思えない。あ、そういえば……経験値ブレスしたままだった。これって俺がしている以上ヴェイセルも俺のレベルの低さに比例して能力値が下がるんじゃなかったか?


「これのせいかも。ヴェイセル、本来の力がでなくて……」

「いや、経験値ブレスをしたくらいじゃぁねぇ。せいぜいレベル8000くらいになるだけだよ」

それでもレベ8000あんの!?それはそれですごいな。


「炎の精霊に聞いてみるかい?彼なら自分の加護を与えたヴェルの行方が分かると思う」

そうか、ほむらさんなら!エル兄さんにラズーリまで送ってもらおうかと思ったが、フブキさまの部屋に行くとそこにほむらさんがいた。対の精霊だしやっぱり仲良しみたいだな。


「ヴェイセルかい?んー、今は西にいるよ」

「西って……クォーツじゃなくて?他の州?」


「いや、エストレラ国外」

な、なんですと!?


「な、何故……?」

「ちょっと一人で考えたいからって」

一人で考えたい?この前ラズーリで隠し事を吐かせたんだが他にもあったのか?

「でもウチのかわいい弟の騎士なわけで。その任務ほったらかしてるわけならお仕置きしないと」

……ヴェイセルはエル兄さんの弟でもあるんだけど。


「あっはっは!ドSだなぁ、さすがあん……むぐっ」

ほむらさんが何か言いかけた?エル兄さんがほむらさんの口にどこから出したのかたい焼きをぶち込んでいた。


「ほむら、今のはほむらが悪いよー。ごめんなさいしなさい」

とフブキさま。


「ごめんなひゃい。もひもひ。おいひい」

……えっと……何だったんだ?


――――分からないことだらけだ。私室に戻り、服のままベッド横たわった。それにしても、ヴェイセル。エストレラ国外の西方にいるってどう言うことだ?それに西方と言えば魔族……?いやいやいや魔族の皆さん相手に無双とかしてないよね?仲良くしてくれてるよね?


【あかがみのおにーたんいないね】


……だれ?どこからか子どもの声がする。それは俺の意識の中から……そんな気がした。


【さみしい?】

……いや、いつもしつこく付きまとってくるからむしろすがすがしい気分だ。その分リオやアニキーズをふわもふしてるから……寂しくないもん。


【行ってみればいいのに】

どうやって?

【あの時みたいに】

あの時ってイチゴちゃんの時の……?いやいや無理だって。あれは森の精のおかげで夢に出てきただけで……。


【夢にいればいいの?】

いや、それはどうかな?夢にいても会いに行けるとは限らない。夢の時と違ってどこにいるか分からないのだ。


【ほら、みてみて。こっち】

こっちって?

長く黒い2本の角は天に向かってまっすぐ伸びている。振り返った濃い茶色の髪の少年の両頬には牙のような刺青が2つずつ走っているその面差しは誰かに似ている気がした。さらには古風な着流しのような恰好をしている。あれ……歴史の教科書にでてきたものすごーい昔の絵に出てきそうな格好だ。


だれ……?

少年が指している方向に赤髪の青年の後ろ姿が目に入る。


ヴェイ……呼びかけようとして手を伸ばす。しかしその青年には後ろから2本の黒く長い角が生えているのが見えた。


……だ、れ?


――――そして俺は気が付くと、見渡す限りの赤土色の荒野にいた。


※※※


見渡す限りの赤土色の荒野。こういうの、前世で見たことがある。えっと……ロッキー山脈?いや多分細かいところとか絶対違うけどロッキー山脈風の場所だ。


ここは、どこだろう?ふと地平線の向こうから何かがやってくる。


獣?


いや、違う?


次第に輪郭がわかるようになり、それがモンスターであることがわかる。地球で遭遇したら絶対未知の生命体……いや、妖怪だと思うだろう。それは一見黒い大きな角を持つ黒い牛。けれどモンスターに遭遇した時に感じる独特の妖気のようなものを感じた。妖怪ではないので妖気という表現が正しいのかはわからないがだんだんとはっきり見えるようになる。


それには脚が6本あり、その蹄の形も巨大な蟹のはさみのように大きかった。

エストレラの乳牛は脚4本だし明らかに異質だ。……どうする?戦う?でも俺……戦う術なんてない。ちょっと習った剣や槍もない。シズメさまの槍ならあるけれど、あれ……戦う用じゃない気がする。


じゃぁ魔法なら?土系のどばーんという魔法ならいけるかもしれないけれど、一度アイスブリザード失敗してからその制御の練習をフブキさまとエル兄さんとしていて他はまだ勉強してないし!


でもこんな灼熱の荒野じゃ氷魔法の威力がぐぐっと落ちる。――――ん?灼熱?エストレラってまだ冬だよな?じゃぁここはエストレラの外か。そう思うと何故か急に心細くなっていく。そういえばヴェイセルもエストレラ国外にいるのではなかったか。こんな荒野で偶然会えるとかそんな展開あるわけがない。


ドドドドドドドドドッッ


ん?う、牛が……モンスター牛がこちらに突進しとる!?ど、どうしたら……そうだシズメさまの槍だ!何故か身につけていたマジックバックからシズメさまの槍を取り出し、ぽちっとスイッチを入れるとあの長く大きな瑠璃色一色の槍が現れる。


「えーと……結界的なもの、出てください!」

槍の先を地面にタップ。その瞬間青白い光が俺の周りに広がっていき、

やがてモンスター牛と衝突する。


よかった。こちらには入ってこられないようだ。しかし安心したのもつかの間、モンスター牛が繰り返し頭突きするせいで結界壊れそうだ。ヒビ入ってる!


――――やばい、逃げなくては!

俺はモンスター牛から逃れるため荒野を突っ切り、隠れられそうな岩場に身をひそめる。

ラズーリから帰ってきた後、祭壇でレベルを計ったら630まで増えていた。チートで乗り切れそうな気もするけど攻撃がそもそも不得手だからなぁ。このレベルもヴェイセルからもらった経験値ブレスのおかげだ。本当にヴェイセルはどこへ行っちゃったんだ?


一生ついてくとか言ってついてきてないじゃないか。俺がここに突然来ちゃったせいもあるんだがそれでも追っかけてくるのがヴェイセルだろ?


ヴェイセルの……ばか。


エストレラではない場所にいる。ここはどこの国なのだろう?どこかもわからない場所に一人きりなんて心細い。



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