【49】クロ殿下と卒業式
――――クォーツ祭壇
見習い卒業式はいたってシンプルである。
同じく卒業の子たちで並び、順番にシェル司祭様が胸元のシンボルを銀色から一人前の金色に付け替えてくれる。
あと簡単に精霊たちからお祝いの言葉をもらった。
「は、はひ……皆さん、これからも、精霊士として一緒にがんばりましょう……!」
キララちゃん、かわいい。はふはふしながらしっぽをふりふりしている。緊張しているキララちゃんをわふさんがお鼻でちょいちょいしており2倍かわいいんですけど。見習い卒業仲間も和んでいるようだ。
「んー、俺も何か言うのー?」
ふ、フブキさま……しっかりしているように見えて呑気だなー。
「じゃぁ……冬に濡れた手で外に出ると、しもやけになって手がめちゃくちゃ痒くなるので注意してね」
え?卒業とか祭壇とか何も関係なくない!?それ雪国の豆知識!いや俺そんなこと知らなかったけど!いつも手が濡れていたら紅消がささっと拭いてくれてたし、外出するときは手袋をすかさず装着してくれてたから……!
俺……無茶苦茶甘やかされてた……うおぉっ。
そして次はシズメさまだ。
「きゃべつは雪の中で寒締めすると、とっても甘くなる!」
し、シズメさまあぁぁぁっっ!!?何かフブキさまのノリで雪国の豆知識を!!?春先のキャベツ甘くておいしかったけどあれって寒締めだったんだ!いやいやいや。こ、これでいいのか!?
「は……はうっ!お布団は、たおるけっとを一番上に重ねると、とってもあったかいのれす!」
な、何かキララちゃんも空気を読んで雪国の豆知識披露しちゃったよ!フブキさま!?どうするのこの展開!!!
「はい、以上。精霊たちからの言葉を胸にこれから一人前の精霊士として皆さん頑張っていきましょう!」
何事もなかったように締めくくるシェル司祭様。どうするの?この空気。……と思っていると、おんなじ卒業組たちからぽむっと肩を叩かれた。
「それがクォーツだから」
……うん。そだね。
「クロ、卒業式どうだった?」
卒業式の部屋の外では赤髪の剣聖が待っていた。
「雪国の知識が増えたよ」
「そうなの?もうクロもすっかりクォーツっ子だね」
え?俺もクォーツっ子なの?エステラっ子じゃなくて。
まぁ。確かにエステラで生まれたけど、外で遊んだり、街中歩いたり、お祭り参加したりしたのは全部クォーツだった。俺、ほとんど後宮かクォーツでしか生活してない!!!おんなじクォーツ州のクリスタには行ったけど。
「今年はもっといろんなところに行ってみたいな」
「じゃぁ、ギルド行ってみる?」
ぎ……ギルド!異世界に転生したからには行ってみたい!もらったステータスカードに、ギルドカードを登録できるって聞いたし!
「クエストとか受けたらもっといろんな場所に行けるよね!!!」
どんなクエストがあるのかな~~!
「もっちろ~ん!どこまでもついて行くからねっ!」
それは騎士としてって意味だよね……?
「むふふっ」
やべぇ。この笑い方は何か違うものだ。きっと。
「あ、どこまでも御伴いたします我が王子!」
今更さらりと言い直しても遅いわぁっ!欲望だだっもれじゃぁねえか!




