【48】クロ殿下と大祭壇の精霊たち
――――エステラでできた同年代の友だち。クォーツ祭壇では同期の精霊士見習いたちと仲良くしてもらったしリオたちとも仲良しだ。
でもエステラでは周りにいるのは兄弟や大人、それから騎士のヴェイセルや護衛紅消たち。だから【友だち】と呼べる存在ができたのは初めてで何だか嬉しい。
「……で、512ってどうやったらそんなレベル上がんの?」
ツユキ、めっちゃ顔近い!男の子同士でそんな顔くっつけてもいいことないよ!?でもそれくらいフレンドリーだからこそ、俺たちが王子でも構わず友だちになってくれる子なのだろう。
「こらツユキ。それは企業秘密だ」
しかしその時ルシアンさんが現れ、ツユキの首根っこをつかんで引きはがしてくれた。
「え~~」
「キリカ。ツユキのこと、後頼んだぞ」
「はいはい。ツユキ、大人しく帰んねぇと母ちゃんにチクるぞ」
「え~!やだ~!待ってよ~!!」
キリカを慌てて追いかけるツユキに俺とヨルはバイバイをして別れた。そしてルシアンさんの後から大司祭様と父さんが歩いてきた。
「クロ、お話は聞いたよ」
「あ、うん」
そういえば父さんには言ってなかったっけ。
「ごめんなさい」
「クロは何も悪いことしてないでしょう?クォーツでたくさん勉強してきたんだね。えらいえらい」
父さん……ありがとう。経験値はヴェイセルからのおこぼれだけど、もふり力は自分自身で磨いたと豪語できるよ。
「もちろん、ヨルもだよ。2人とも、お父さんの自慢の息子たちだよ」
そう言って、父さんは俺たちをなでなでしてくれた。
「ふたごちゃん」
「ふぃーばー」
な、なんですと!?俺たちに抱っこされているちびっ子双子からの御言葉をいただいた。
「まぁ、つゆもきりも気に入ったんですか?」
「エステラの精霊ちゃんたちからも祝福の言葉もらったね」
え、ヴェイセル。今の祝福の言葉だったの?
そういえばこちらではステータス開示の後に精霊たちからの祝福の言葉とかはないっぽかったな。公開スタイルもそうだけど、祭壇によって違いがあるようだ。
「そうです、こちら記念品ですよ」
記念品はこちらでももらえるらしい。記念の腕時計と紅白饅頭をもらった。ヨルはステータス表示用のカードももらっていた。俺はもうもらってるからな。そんなこんなでエステラ大祭壇での試練は終わ……っ。
「……じー」
……はっ!月の精霊!!入口の影から黒い鎧を着こんだ白髪の長身美人がこちらを見つめていた。そういえばここ月の精霊のお膝元だ。やば……まずはあいさつに伺うべきだったか?
「こ、こんにちわ」
「ん。……シズメによろしく」
そう言って月の精霊は行ってしまったけれど。
「まぁ、珍しいですね、クロ殿下。アンエイが姿を見せるなんて」
どうやら月の精霊はアンエイという名前らしい。アンエイさんとの再会の余韻に浸っていれば、すっかり忘れていたのを思い出した。
「ハァハァ……ハーパン」
「ハーパンタイツ……ショタの神髄っ」
「この雰囲気ぶちこわしじゃあぁぁぁっ!ヴェイセルぅぅっ!!」
全くお前はもうっ!
ヴェイセルを叩いた……はずだが。あれ、ヴェイセルが俺の手刀の隣に……?ヴェイセルもきょとんとしている。
……じゃぁ、今俺が叩いたのは?
「うぅ~~ショタっ子総受けハーレムは?」
あの、何ですか。ちょー意味不。でも何となく卑猥な妄想してたことはわかった。変態が増えやがった。
大司祭様に似た金茶色の髪に、金色の瞳。ものすっごいさわやか系なイケメンなのに口元がヴェイセル並みにたるんでる。
古代ギリシャ風の服装をしており、耳、首元、手首などに金色の艶やかな装飾品を纏っている。この寒いエストレラで寒くないんだろうか。わかりやすく言うと今は北半球の1月である。
「……コウリン」
ドスの聞いた低い声がしたと思うと、そこには黒い鎧をまとったアンエイさんが戻ってきていた。
「……帰るぞ」
「あぁっ!ショタ総受けの楽園が……っ!でもアンエイの胸筋はもっと好きですぅ」
そう言ってアンエイさんの胸筋にすりすりし始めるコウリンさん。そしてコウリンさんをくっつけたまま引きずって立ち去っていくアンエイさん。
ん……?月の精霊の胸筋が好きな精霊のことを前に聞いたことが……。
「た、太陽の精霊?」
「えぇ。コウリンまで祝福に来てくれるなんて。
本当にクロ殿下、ヨル殿下は精霊に愛されていらっしゃる」
と大司祭様。しかしコウリンさんのって祝福?卑猥な妄想してたように思えたんだけど。
「今日はいろんな精霊や人に会えて楽しかったね、クロ」
「あぁ、うん。」
友だちも増えたしな。ヨルが楽しそうなので、まぁよかったのかもしれない。昨夜は久々にヨルと一緒の布団で眠った。朝起きたら何故かつゆときりも一緒に寝ていたけど。翌朝母さんや、他の父さんたち、エル兄さん、アスラン兄さん、ジェイド兄さんたちに新年のあいさつをすませ、俺は見習い卒業式のためヴェイセル、紅消と一緒にクォーツへと戻るのだった。




