【47】クロ殿下と双子の友だち
大司祭様を見ると口をあんぐりと開けて呆然としている。しかしすぐに気を取り直したようで元の爽やかな笑みを浮かべる。
「どうやらステータス開示台の誤作動のようですね。クロムウェル殿下には後程別室にて再鑑定を行いますので。キオ、案内をお願いします」
「わかりました」
向こうから歩いてきた茶狼族の青年。リオに似てる?そういえばキオって……?しかし俺とヨルはキオさんに案内されつつホールを後にすることになった。
「え、そうなの?壊れているようには……」
「こら、ロイド。しーっ」
「あひゃひゃひゃひゃ……っ」
ふと、光の精霊士長ロイドさんが大司祭様に満面の笑みで頬をつねられているのが見える。
「まぁあれはいつものことだから」
キオさんは微笑ましそうにその様子を見て笑う。何だか仲良さそうで……。クォーツ祭壇でも司祭様やフィンさん、ギョクハンアニキは仲良しだからなぁ。少しだけ親近感が湧いたかも。そして俺たちはキオさんに客間と思われる別室に案内してもらった。
「あの……リオのお兄さん……?」
「あぁ、リオの兄のキオだ」
やっぱり!リオを少し成長させて落ち着かせたらそっくりな爽やかアニキだ。でも光の精霊士の格好をしているので新鮮だ。
「弟が世話になってんな。クロ殿下」
「あ、いえ俺の方こそ……!リオのわふわふにいつも元気付けられてます!」
「ふふっ。何だか仲良さそうで何よりだ。リオにもよろしくな。んじゃ、後で大司祭様たち来るからな。大人しく待ってな」
キオさんは俺の頭をわしゃわしゃして颯爽と去っていった。キオさんのわしゃわしゃ……えへへ。そうしているとヨルがうらやましそうにこちらを見ていた。ヨルもやってほしかったのか?今度アスラン兄さんにわしゃわしゃをおねだりしてみようか。そうこう思っていると……。
「クロ、レベルすごいね」
「いや……その……」
あれ、予想と違った?
「……内緒だぞ?」
双子で隠し事をする必要もないと思ったので、素直に白状。
「どうやって上げたの?」
「ヴェイセルに経験値ブレスをもらって」
「……それってつけたら経験値くれる人も経験値分ける人の能力値の差の分HPMPが下がってしまうんでしょう?ヴェイセルさんってすごい人なんだね」
え……?それは初耳だ。ヴェイセルは自分の能力値を削って俺のために戦ってくれていたのだ。なんかジーンときたかも。ちょっとくらい褒めてやってもいいかもな。
「ハァッハァッ……双子萌えっ」
「……」
そんなヴェイセルは入口から俺たちをのぞきつつ変態顔でハァハァしていた。やっぱりこいつのHPMPは削っといた方がいい。ヨルと俺の安全のために。
「ヴェイセル殿、ウチの殿下に変な顔向けないでくれます?」
そしてコンラートさんがヴェイセルの頭にフォークを突き刺そうとしヴェイセルが箸でそれを止めていた。コンラートさん恐えぇ。そして紅消がそんな2人をすごく微妙な顔で見つめていた。
しかしその時。
「ふたごちゃん」
「ぐっじょぶ」
俺たちの前にいつの間にか黒髪と茶髪のちびっ子双子がいた。瞳の色は青でとろーんとしたまなざしでこちらを見ている。そして胸元のファスナーに沿って刺繍の入ったローブを身につけている。
「わぁ、かわいい!クロ、ぼくたちとおんなじ双子ちゃんだよ?」
「あぁ、うん。でも、この子たち……」
クォーツでの生活のおかげかレベルのおかげか、わかるようになってきた。
「精霊だよね?」
「そうなの?クロ、すごいね。あ……でも双子ちゃん精霊なら……」
「ヨル、何か知ってるのか?」
「うん。朝の精霊のつゆちゃんと、夜の精霊のきりちゃん」
朝と夜で対になってるのか!そして双子ちゃん!!因みにヨルはちゃん付けにしているが2人とも男の子である。
「つゆ」
茶髪のちびっ子の方が手を上げる。
「きり」
黒髪のちびっ子の方が手を上げる。
「わぁ、かわいい!おんなじ双子だから会ってみたかったんだ~」
「うん、かわいいし俺も会えてよかったよ」
ちびっ子双子が抱っこをおねだりしてきたので、
ヨルがつゆを、俺がきりを抱っこする。
「きりちゃんはぼくとおんなじヨルだけど闇の精霊なんだよ?」
「うん、闇の精霊」
「つゆ、光の精霊」
やっぱり精霊の名前の通りの属性だった。それにしても双子で光と闇属性の対になってるなんてお約束だ。……あ、俺とヨルもだ。
「つゆときり、そんなとこにいた~」
その時部屋に誰かが入ってくる。
一人は茶髪にアメジスト色の瞳で、小麦色の肌の少年でジョブ勇者のツユキだったな。
もう一人は銀色に近い薄い金髪、頭には黒い魔人族の角が生えておりアメジスト色の瞳の少年キリカ。彼は特に彼らの父親に瓜二つなのだがその肌は茶髪の少年よりも透き通るほど白い。こちらはジョブ魔人王だった。
「申し訳ありませんが……あなた方は?」
コンラートさんがヴェイセルにフォーク3連打をくらわし素早く制止する。ヴェイセルはフォークをすべて床に跳ね返し、フォークが床にグサッグサッグサッと刺さる。……後で床修復しとけよヴェイセル。
「えっと俺らは……」
キリカが慌てて説明しようとすれば。
「あ、いいよ。コンラートさん。その子たち、ルシアンさんのとこの……」
「え、父ちゃんのこと知ってんの?」
ヴェイセルの言葉にツユキが顔を輝かせる。
「……まぁそのようですが」
コンラートさんは警戒心を緩めてくれたようだ。
「大丈夫だって!だってさレベル512なんだろ?
剣聖もいるし、何かやったら俺ら瞬殺されんじゃん」
ツユキが笑う。
「いや、あのレベルは……っ」
あれは間違いなんです……と言おうとしたのだ。
「すっげー!王子ってすげーんだな!12歳になったら512いくなんて!王族ってすげー!」
「王族関係ねぇから!それヨル殿下に失礼だろ!」
ツユキの言葉にキリカがぺしゃりと頭を叩く。
「あ、いやその……」
何だか俺たちとは違うタイプの双子だな……?
「シズメさま、ゆってた。クロ殿下すごい」
え……?きりちゃんてシズメさまと知り合い?闇の精霊同士仲がいいのかも。
「れべるごひゃくじゅうに、うそじゃない」
「きりがゆーんならやっぱ本当なんだー!へぇ、すげぇな。何やったの?」
顔を輝かせるツユキ。あれ……間違いって言う雰囲気じゃなくない?何か本当のことで周知されてる?いや本当の事なんだけど。
「こらツユキ、相手は殿下方なんだから」
キリカがたしなめるが。
「あの、ぼくはヨルでいいです。同い年ですし」
「じゃぁ、ヨル!」
ヨルの言葉にツユキがニカリと笑う。
「お前な、ツユキ。いきなり殿下を呼び捨てって」
「あ、俺もクロでいいです」
「クロなー。俺、ツユキ。こいつキリカ」
ツユキがニカッと笑う。あれ、そう言えば2人の名前ってつゆときりと似てる。
「全く……」
「キリカ……だよね。クロでいいよ」
「……わかった。クロ」
12歳、エステラにて。双子の友達ができました。




