表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/919

【45】クロ殿下とお正月


――――さて、今回は久々の王都エステラだ!……ではなくて実は一週間に一度、ヴェイセルのゲートで後宮に戻っているのだけど。

だからいつもの帰省プラス今回はステータス開示もとあって少しだけドキドキしている。


「そうだヴェイセル。俺、転移まだ覚えてない」

「ん?俺がいるから使えないから大丈夫だって」

うへへ……っと笑うヴェイセル。いや、ヴェイセル、お前対策だよ。ヴェイセルがショタ不足で暴走した時とか、ショタ萌えで暴走した時たか用だ。


「後でエル兄さんに聞いておこう」

「そ、そんな……っ!俺のゲートがもう必要ないのか……!?」

ヴェイセルがうなだれる。


「いや、ゲートは便利だからこれからもお願いするけど」

「ほんと!?よかった~!これでクロを転移するたびに追っかけまわさなくてよくなったね!」

……何かこいつ、今恐いこと言わなかった?


「ご安心をクロ殿下。転移の際は私もご一緒に。この変態を見事仕留めてしんぜましょう!!!」

紅消が突然俺の目の前に現れ跪く。


「……あ、いや平和的にいこう……?」

紅消ってレベルどのくらいなんだろう。レベル9999に勝てるのか……?紅消の身が心配なのでレベル9999とは仲良くやっていこう。


「なんと慈悲深いお言葉……おら変態剣聖!我が殿下に不貞行為を行えばシェル司祭様に言いつけるからな!」

「えぇっ!!!」

おぅ……紅消。完っ全に弱み把握してる!弱みでじりじり攻める気か!軍師がついてるもんな……ちょっといけそう。


「クロ!12歳の誕生日、おめでとう!あと、新年おめでとう!」

「うん、ありがとう父さん!新年おめでとう!」

後宮についてすぐに父さんが迎えてくれた。後宮内も新年の飾りが所々に飾られており、新年が来たーって感じだ。後宮内の飾りは日本風の正月飾りもさることながら何故か中国風の飾りがある。あの福の字を逆さにして飾る吊るし飾りだ。もちろん文字は違うが。さらに正月料理やお菓子が並べられている。


日本風のお節料理やお赤飯、紅白饅頭、シューマイ、肉まん、ピザ、桃まん、月餅……って、やっぱり和食と中華どっち!?統一しないのこの世界!いや、この世界にどっちも存在しない国だけども!何で異世界にあるのかもわからないけど!あれ、そういえばどこかにイタリアンが入っていたような。まぁ、いいや。うん、おいしい。俺は久々のピザに舌鼓を打った。

そしてピザを楽しんでいれば。


「クロ!」

「ににさまー!」

ヨルとイヴだ!イヴは正月用かな?いつもよりひらひらや刺繍の多い天人族装束に身を包んでいる。


「おかえり」

「おかえり、ににさま!」


「ただいま。ヨルは今日体調大丈夫か?」

「うん、クロがくれたわふたんぬいぐるみのおかげかな?」

ヨルの腕にわふたんぬいぐるみが抱っこされている。


「そっか。よかった」

ヴェイセルのロリショタ占いが役に立ったのか。

それから……。


「イヴ、今日は一段とかわいい衣装だな」

「でしょー。おしょーがつだから、おめかした!」


「わぁーかわいいなぁ。さすが俺の妹だなー」

おめかしたって言っちゃうところもかわいいなぁ。もうおめかしたで正式単語登録しないか?していいよね?異論は認めない!


「クロったらシスコンだねー」

うぐっ。ヴェイセルにツッコまれる。そういえば称号にシスコンあったな。司祭様に頼んで隠してもらったけど。いいじゃん!イヴかわいいんだから!お兄ちゃんだってシスコンになるよそりゃぁっ!これはお兄ちゃんの不治の病である!特効薬などない!


「ふっ。女性を褒めるにはまだまだだな。クロ!」

その時襖をバーンと開いて現れたのはイヴとおそろいと思われるひらひらで珍しく着飾っているエメラ姉さんだった。これでしゃべらなかったらほんまもんのプリンセスに見える!いや本当の王女なんだけど、愛称が姫王子だからな。


「女性に今日はかわいいはダメだぞ。普段はかわいくないと言っているようなもんだ」

……うわ。めんどくさい。エメラ姉さん、それ、彼氏にめっちゃめんどくさいって思われると思うけど。でも姫王子だからこその経験則なのだろうか。


「毎日日々かわいく進化しているのならば昨日と同じかわいさだとは限らない!」

しかし何故かヴェイセルがエメラ姉さんの前で豪語する。


「なぬっ!」

「むしろいつもかわいいはいつもおんなじかわいさだと……かわいさはこれ以上進化しないと言っているのと同じ!」


「むむむっ!?」

「つまりかわいいは常に進化しているのである!」


「く……っ!そんな落とし穴があったとはっ」

いや、あんたら何の話してんの?


「今日はかわいいと言うことで昨日よりかわいい、昨日よりかわいいが進化しているという意味にもとれるのだ!」

「何と言うことだっ」


「今日はいっそうかわいいですよ。エメラルディーナ王女殿下」

「……んもうっ!バカ剣聖ッ」

うおぉぉっっい!!!エメラ姉さん!エメラ姉さんんんんん!?こ……こいつ、ついにやりやがった。エメラ姉さんデレさせやがった。もちろん個人差があるので、ド天然エメラ姉さん以外にも通じるとは限らないから注意が必要だ。


「ににさまー、エメラねーさまたち何のお話してるのー?」

ほら、イヴも理解してないじゃん!イヴはまだ9歳だけど。


「そもそも今日とか言わずにその服かわいいねとだけ言えばすむのでは?」

紅消から至極ごもっともなご意見が出ました。そだね、うん。きっとそれならめんどくさい展開にはならない。


「ににさまあのね、おんなはほめべたな男子ががんばってほめてるときは、だまって喜んでみせるかいしょうも必要なの」

……イヴぅぅぅっ!?何その達観した御言葉は!というか理解してる!?あの2人の話を完全に理解してない!?……あれ、てことは俺は褒め下手な男子?得意だとも思わないけど。そんなナンパ男子になれる素質ない気がするけど。イヴがめちゃくちゃ甲斐性のあるある女ってことにならない!?


い、いや……そんなふところの深い妹を持ててお兄ちゃん幸せだよ……。……その御言葉をエメラ姉さんとヴェイセルに聞かせてやってくれ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ