【44】クロ殿下とステータス
――――無事にステータス開示を終えて戻れば、早速声をかけてくれたリオ。
「お疲れー、クロ殿下。どうだった?」
そしてむぎゅっと抱きついてくれる。
さらにはロー、ヴェイセル、紅消も待っていてくれていた。
「うん、なんとか無事に終わったよ」
「ジョブとスキル、何だった?」
「……」
ローの問いに思わず口ごもれば。
「クロのジョブとスキルはねー」
「ちょ……ヴェイセル!待って!」
ロリショタスコープで早速見たのか!?でも他人に言われるのも何か恥ずかしい!!!
「も、もふり師……で、もふり上手……」
つい、皆から視線を外す。
……沈黙?笑われるのもちょっと嫌だけど沈黙もつらいんだけど!ヴェイセルも先に見たなら何かフォロー考えといてよ~!!!
「クロ殿下……俺のこと、たっくさんふわもふしていいからね」
リオがなでなでしてくれる。励ましてくれてるんだろうか。
「うん」
「ついでに獣人族ふわもふレベルも付与されてるよ!」
うおぉぉい!ヴェイセル!そこ言うな恥ずかしいから!
「クロ殿下ったらっ」
リオ、何で顔赤らめてるの?
「魔人族のはねーの?」
いや、ロー……魔人族はふわもふしっぽとか無くね?
「魔人族の角すりすりレベルとか」
何その謎スキル!つ、角って……何となく触りづらい。いや触るものなのか?そしてすりすりするのに何の意味が!?
「ロー、その角触っていいの?」
それを聞いてふとリオがローをじっと見る。
「リオ、お前……昔さんざん俺の角触りまくってただろーが」
「そだっけ?」
「そーそ!その代わり俺もリオをもふりまくったがな!」
「うん、それは覚えてる!!ローのふわもふは手荒くって俺すっごくぼっさぼさになったよ!」
ぼ、ぼっさぼさのリオ……ちょっとかわいそうだけど見てみたい。後でふわもふしてあげるから。
「えーい」
「ぎゃ――――っ!!!」
次の瞬間ローがリオの頭を盛大にわしゃわしゃしてリオが悲鳴を上げる。ローの方が背が高いのでリオのわしゃわしゃもお手の物だ。
「うわーん、クロ殿下―!ローがひどいー!」
わぁ……ほんっとにぶぉっさぼさじゃねーか!俺のふわもふ魂が疼く。リオの髪をとかしてあげつつ、リオたちのスキルやジョブも気になったので聞いてみた。
「俺?俺は拳と書いて拳士だよー」
武闘派茶狼族のリオらしいな。
「スキルは?」
「複写眼だよっ!」
何それ!何かかっこいい!漫画とかに出てきそうなレアスキル!?
「何でも複写できる目を持ってるんだ。例えばほら、クォーツっ子必帯クロ殿下のブロマイド!」
リオが取り出したのはわふたんぬいぐるみをだっこした狼耳パジャマを着たちったい俺の写真だった。
※ちったい=ちいさい
※ロリショタっ子やちびっ子に使うとなおのことカワイイ……ってロリショタっ子は余計じゃいいぃっ!
てか、え……っ?
何でリオが持ってるの?しかもクォーツっ子必帯とか言わなかった?
「複写眼を使うと~~ほいっとな!」
すると俺の写真が2枚に増えた!?
「リオ、それちょーだい!」
「私も欲しいです!」
ヴェイセルだけではなく紅消まで立候補してきた!?
「だめ。没収」
『ああぁぁぁぁ~!!!』
「クロ殿下もすっかりクォーツっ子だね~」
いやリオ!?確かにクォーツっ子必帯とか聞いたけど、俺に自分の写真を集める趣味はない!ナルシーじゃないから!
「……悪用されないようにな」
「そんな輩クォーツっ子にはいないぜ?皆ふところに大事に忍ばせてんだから」
……え?ついローのふところに目が行ってしまう。これはただ場を盛り上げようとしているだけだ。ただのボケ。きっとただのボケだ。よし、後はツッコミを入れれば完璧だ。
「んなわけあるかぁ――――い!!!」
「またまたクロ殿下ったら――――」
「冗談が好きだなー」
いや、冗談じゃなくて本気のツッコミ。ボケ(冗談)にツッコミ(なんでやねん)入れただけ。俺のが冗談になってるし。ほ、本気なのか?本当にふところに……?だとしてもそんなのはきっとヴェイセルだけだ。ヴェイセルの基準でローが優しく話してくれてるだけだ。……あれ?でもどうしてリオが普通に俺の写真を持っていたんだろう……?友達の写真を持ってるのは……普通だよね?ケータイとかに友達との写真入れるのとおんなじ感覚。うん。これ以上考えるのはやめよう。猜疑心とかいろいろと面倒な展開になりそう。考えすぎると睡眠不足になるから。
「ローのスキルは?」
「俺か?俺ぁ魔力無限供給」
……何そのチート!?チート主人公の超膨大魔力量通り越したそのスキルは!異世界転生者及び召喚者もびっくりその神スキルは!!
「魔力の底がつきねーから、望めば延々とわき続けんだ」
……すごい。チートスキルで無双する主人公以上の無双じゃん!たいしたチートなくても努力でのし上がってざまぁするためだけのために経験値摘んでMPHP必死で上げた主人公が知ったらどん底じゃん!メンタルえぐるだけじゃん!!でもローはいいアニキ分なのできっと味方になってくれるから。多分代わりに無双してくれると思うからあきらめないで!きっと君たちの可能性はまだ始まったばかりだから!
……いやあかん。ローを味方にして代わりに戦ってもろたらそれで話終わってまう!!!
「ま、集中力の面や体力面もあっからずっとは難しいけどな」
だよね。食事もしたいだろうし、ローの極大魔力使ったら一瞬で片付くから延々とやる意味ないよな。延々とやったら世界崩壊起こしそうだよ。ローが悪の道に進んでなくって良かった。進んでたらレベル9999のヴェイセルの宿敵になってたかもしれないし。2人が仲良しで本当に良かった。
「ジョブは何だったの?」
「魔人王」
……マジか!魔人王!?あれ、でも……。
「あの、大祭壇にもジョブが魔人王のひとがいるって……」
「あぁ、ルシアンさんだろ?かっこよくて強くてとにかくやべぇ人で、俺の憧れなんだ!」
ローの目がめちゃくちゃ輝いている。とにかくすごくやべぇ人なのはわかった。よくわかんないけど。
「魔人王ってよくあるジョブなの?」
「いや、魔人族の血を引く者にたまに現れるジョブだぜ。世界的に言えばエストレラ人だけだからレアかもだけど」
まぁ魔人族以外の魔人王がいたらびっくりだけど。魔人族は基本エストレラにしかいないからな。
「……魔王ってジョブもあるの?」
「あるぜ。エストレラ国外にはいるらしい。どんだけいるかはわかんねぇけどな」
魔王もあるんかい!
「やっぱ魔人王のジョブって魔人王を目指すの?」
「いや……魔人王は、その始祖の王族の中でジョブ魔人王を持ってる者から選ばれることがほとんどだぜ。たまに始祖の王族に適任者がいなければ王族以外から出ることもあるけどな。王に選ばれるのとジョブを持ってるのは違えから」
まぁジョブだけで王に選ばれて資質とか性格の面で問題があった場合に困るからな。ローの場合は何も心配ないと思うけど。
「でもローは四天王やってんだよ。母ちゃんの後継者として」
……へ?そういえばローは前に魔人王軍の訓練のことを知ってたり、ドロシーさんが元魔人王四天王とかいう話を聞いたりしたかも……?
「魔人王四天王とか魔人王軍とか……そもそも職業上魔人王って本当にいるの!?」
「ん?いるぞもちろん。クォーツ州ラズーリに魔人王城があるじゃねぇか。クロ殿下ったらまだまだ勉強不足だなー。今度一緒に行くか?」
と、ロー。え……あ、はい。ちょっと興味あるけど……魔人王城あるんかい!!!しかもローが四天王の一人……?準ラスボス!?
衝撃の事実を知ってしまった……。しかしその後は気を取り直して12歳を迎えた他の子たちやそのご両親たち、祭壇の皆でお祝いをし、俺は明日の大祭壇でのステータス開示に備え床に就いたのであった。
それとクォーツ柄というのは、クォーツ祭壇で見た各精霊をモチーフにしたステンドグラス絵のことだった。クォーツ柄は3種類あり、俺のはもちろんシズメさまのモチーフ柄だった。
――――しかしながら俺は大事なことを見落としていた。クォーツが異常すぎてツッコみ忘れていたのであった。




