【43】クロ殿下ともふり師
――――もふり……もふり師とは。一体何なのだろう。しかし俺の困惑をよそにシェル司祭様は嬉しそうだ。
「まぁ、クロ殿下、ジョブレベルがもう3も!とっても優秀です!」
ゆ、優秀って。ジョブレベルだけは立派だけれど!
「あの、もふり師って、王子と精霊士に向いてるんでしょうか」
王子なのに王子の素質ないとか……俺の行く先がダメ王子になってまう!!!
「ジョブというのはあくまでもその才能がある、というだけですので実際に自身の職業とマッチングしていない場合も多々あります。例えば私のジョブは軍師です」
……え?ぐ、軍師!?そう言ってクスクスと微笑む司祭様。シズメさまもほのぼのしてるけこの人が軍師……。
「司祭と全く関係ないでしょう?でもフィーアに罰ゲームを科すときには役に立つのですよ」
フィーアさんを追いつめるだなんてすごいと思ってたけど軍師のジョブのおかげか!そして黒い笑顔で微笑む司祭様。背筋がぞくりとした。
このひとに軍師というジョブを与えてよかったのか……!?
「他にも勇者のジョブを得ながら大祭壇の光の精霊士長やってる人もいますし、コンビを組んでいる闇の精霊士長のジョブは魔人王ですからね。気にされなくて大丈夫ですよ」
魔王ではなく魔人王なところがエストレラ流だが、勇者と魔人王がコンビ組んでるって異世界物セオリーとか完っ全に崩壊してるじゃん!!!
異世界召喚されても何もすることないじゃん!!!
「要はそのジョブをいかに自身のやりたいことで伸ばしたり、活かしたりできるかが重要なのです」
「そっか」
司祭様、いいこというなぁ。でももふり師をどうやって活かせば……?
「クロ、ふわもふ、大事!」(キラッ)
うん、そうだよね。人生においてふわもふは大事だ。ありがとう、シズメさま。加護くれたのがシズメさまでよかった。
「あと、気になるところも隠しておきましょうか。あまり表示しすぎるのも目立ちますしね」
うん、俺目立ちたくないんでお願いします。
―――
魔法:闇(S)、氷(A)、水(B)、金(B)、土(B)、木(A)
―――
「闇魔法全般の他に光魔法系の木が入っていますね。珍しいです」
そういえばヴェイセルは俺に魔法の才能もあるって言ってたけどこんなに属性があったとは。でもひとつ気になるものがある。
「金属性ってお金のこと?」
「まぁ広義的にはそうですね。ですがこちらは金属を操る魔法です。例えば剣に使われている鋼とか、調理具でよく使う鉄とかですね。鍛冶職人に多いですよ。ただお金を複製することはできませんね」
そりゃそうだよね?偽金作り放題になっちゃうもんね。
「しかし普通は同系統の属性1つや2つなのですが」
そ、そうなの……?
「シズメさまの加護をお持ちなので闇だけにしておきましょう」
う、うん。
――――続いて。
―――
剣(B):レベル1
槍(B):レベル1
結界魔法(S):レベル2
獣人族ふわもふ(S):レベル3
天人族ふわもふ(S):レベル1
半ズボンレベル(SS):レベルマックス
―――
いや何か明らかに違うものが入ってるよ!!?ふわもふの方はまだいいとして、半ズボンレベルって何!?しかもレベルマックスだし!!!
「下の3つ隠してくれませんか」
「……?ええ、もちろん。でもふわもふを隠しちゃうのは寂しいですねぇ」
「クロ……」
うぅっ!そんなうるうるしないでシズメさま!
「そ、その……秘密……シズメさまと、司祭様と俺との秘密だから」
「……!!!」(ぱああぁぁぁっ!)
あ、シズメさま復活した。
「ん、ひみつ」
シズメさまがぎゅーしてくれる。
―――
称号:永遠のロリショタ。シズメさま大好き。わふたん大好き。ブラコン。シスコン。
―――
……永遠のロリショタって何!?
そんな称号いらないよ!!
シズメさまはともかくブラコンシスコンって。まぁ、確かにアスラン兄さんのふわもふは好きだしもふりたいけど。イヴはちょーかわいくって俺もう発狂しそうだけど。
…………だからブラコンシスコンなのかもしれないけど。
「シズメさま大好き以外隠してください」
「まぁ、クロ殿下ったら!」
「……クロ、大好き」
司祭様もシズメさまも嬉しそうだ。この項目はこれであっていたらしい。めでたしめでたし。
「それでは、こちらのカードをどうぞ」
司祭様がスマホくらいの大きさのカードを俺にくれた。
「今、見たクロ殿下のステータスが入っています。また先ほど隠したものはクロ殿下以外には見られることはありません。ただクロ殿下が見たいときにはいつでも見られます。またこのカードはギルドに登録するとギルドカードにもなります。基本的に本人以外は使用できません。なくしたら先に発行したものを使用不可にして新規で発行しなおすことになります。お金がかかるのでなくさないよう注意してください」
「は、はい!」
「またエストレラ国内では全国のギルド、祭壇でカード更新ができます。しかし外国では闇の精霊士を快く思わない祭壇もあるので冒険者、商業など各種ギルドで更新するのが無難です」
「わ、わかりました!」
外国に行くかどうかはわからないけど、その時は気を付けないと。いきなりとっ捕まるとか嫌だもんな。ヴェイセルが一緒なら心配ないだろうけど別の意味で心配だからな。
「またオプションで通信機機能やメッセージ送受信、写真撮影・保存機能もつけることができます。有料ですがクォーツ祭壇でもつけることができますので興味があったらおっしゃってくださいね」
え?これって通信機器?携帯電話的なもの!?12歳になったら祭壇からタダでもらえんの!?まぁ携帯電話機能つけるのは有料だけど。
「ただしエストレラ国内で発行されたカードにそれらの機能を付けられるのは、エストレラ国内の祭壇のみですので注意が必要です」
通信会社別に機種が異なってるけど、他の通信会社のとメッセージ、通信ができるシステム的な感じか?
「ではステータス開示についてはこれで終了です。次はシズメさま」
司祭様がシズメさまの方へ促してくれる。
俺はシズメさまに向かい合った。やっぱり大きいな……シズメさま。であったころに比べたら俺も背が伸びたけれど……まだ遠いかも。
「クロ、お誕生日おめでとう」
「ありがとう」
「クロ、ずっと一緒」
「……!う、うん。一緒にいてくれるなら、嬉しい」
「ん」
シズメさまにありったけぎゅむ――――っとされる。
やっぱり安心するなぁ。
「シズメさま、記念品を」
「……ん」
シズメさまは俺からいったん離れ、小箱を二つ差し出してくれた。
「クォーツ名物……雪まんじゅう」
「生ものなのでお早めに召し上がってくださいね」
雪まんじゅう……名物だったのか。食べたことないな。お祝いの時にだけ出される特別なお菓子なのかもしれない。
「クォーツ柄……万年筆」
おぉ!定番の便利文具!
でも12歳に万年筆は早くない?それにクォーツ柄って?
「ありがとう、シズメさま!」
「ん」
シズメさまも嬉しそうだ。よし。エステラ大祭壇対策も司祭様が何とかしてくれるし、シズメさまからもらったおまんじゅうを食べながら迫り来る明日のステータス開示も乗り切ろう!




