【40】クロ殿下と信仰
――――俺、たいしたことしてないのに420!?いいのか?チートですらない!ただ経験値分けてもらっただけ!!!全異世界協同組合所属のチート主人公&ヒロインからも絶対怒られること間違いなし!!!
「よっしゃー!レベル1200超えた――――」
「すごいよ、ロー!やっぱスタンピードは違うねー」
祭壇で鑑定をしていたローとリオがわいわいやってる。
遂に1200を超えたのか。ロー。すげぇ。……これが正しいレベルの上げ方です。
「それにしても碧狼族の弱点が黒狼族だったとは」
「茶狼族は黒狼族のこと平気なの?」
リオが感心してたのでついでに聞いてみる。
「へーきだけど?」
いっつもクォーツ祭壇でアニキたちとじゃれてるもんなー。
「でも、昔はどうだったのかな?」
と不意にヴェイセルが呟く。
「昔はね、黒狼族ってクリスタ領とルタを隔てる天山山脈で名を馳せた山岳民族だったんだよー」
マジで!?かっこよすぎるよ黒狼アニキたち!!!
「まじでー!?狼アニキたちかっけー!」
リオが目を輝かせている。しかし高地で暮らしていた黒狼族が何故、山脈を降りてクォーツまで……?
「キララちゃんがシズメさまのいるところに行きたがったから……って言われているけどね」
あ、ふたりって対の精霊だもんね。一緒にいた方がやっぱり安心できるんだろうか?
「そういえば星の精霊の対の精霊は?」
「んーとね。今はどこにいるかわからない」
「暗闇の精霊って言われてるぜ」
と、ロー。まるで暗夜を象徴するような精霊だ。
「でも、ミーティアちゃんは気配はあるって言ってるから、世界のどこかでひっそり祀られてるかもしれないね」
確かにエストレラ国外にいたとしたら、闇の精霊は見つからないようひっそり祀られてたりするからなぁ。いつか探してみたいなと思った。
――――side:クリスタ領、取調室。
「……ん」
黒狼アニキは口数が少ない。そして高確率でコワモテである。
「そしてクロ殿下はおっしゃったのです」
続いて告げたのは人族の青年だ。
「ん」(くわっ)
黒狼アニキが目をカッと見開き、向かい側に座っていた碧狼族の青年がびくっとする。
「そこでクロ殿下はおっしゃられた。『おんなじふわもふなのに、何か悲しいなぁ』と」
「ん」(コクッ)
人族の青年の言葉に黒狼アニキが頷く。
「つまりふわもふ同士が争うなど悲しい。すべてのふわもふはすべて平等に愛されるべきである……と!」
黒狼アニキの隣で通訳を務めていた人族の精霊士の青年は、両手を天に向けて掲げ盛大に言い放つ。
「うぅ……っ、俺上から命じられるだけでこんなに愛されたことなんて……っ」
碧狼族の青年が涙ぐむ。
「ん」
「クロ殿下は、すべてのふわもふを平等に気高く愛してくださいます。貴方も罪を悔い改め、クロ殿下へ忠誠を尽くすのです。さすればきっと救いを得られるでしょう」
「は……はいっ!!!」
「ん」
黒狼アニキが碧狼族の青年にどんぶりを差し出す。
「クロ殿下からのありがたい賜りもの……カツドンです。心して食しなさい」
「は……はいいぃぃぃっ」
ガツガツ。
「う、うめぇ……。くっ!俺、クロ殿下のためにまっとうになれるよう、頑張ります!!!」
「ん」
「ええ。クロ殿下はきっと貴方をお救いになるでしょう」
「はいっ!」
思わぬところでクロ殿下を崇める信仰が広まっているとは、本人は知るよしもないのであった。




