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【28】クロ殿下とダンジョン探索


――――ダンジョン内だから洞窟とかそういうの想像してたんだけど。幻想的なブルーの池が広がる空間を道なりに歩いていく。どっちかというと観光地かな?


「ここらへんは玄関口だから特にモンスターもいないんだ」

と、ヴェイセル。


「この池の水を使うと料理が旨くなるんだぜ」

ローが教えてくれる。ヴェイセルもここの水を使って料理を作っているのかな?ヴェイセルの料理もおいしいしなぁ。階段を下り緑の池のフロアに着いた。


「この池の水を使うとポーションの純度が上がるんだ」

ヴェイセルが告げる。

それはマッドヒーラーズが喜びそうな池だな。せめて普通のポーション用に使ってほしい。マッドポーションの純度が上がったら恐ろしいことになる……と言うか、マッドポーションの精度が上がることを純度が上がると表現してもいいのだろうか。さらに階段を下り、ピンクの池のフロアにやって来た。


「この池の水を使うと惚れ薬の材料になるんだぜ」

ローがにぃっと笑いながら小指を立てて俺に囁いて来る。いや、使わないからねっ!?使う相手もいないしねっ!?

階段を下り、池、階段を下り、池、階段を下り……。


「ちょっっ!ヴェイセルぅぅぅぅっ!ロー!ダンジョンは!?ザ・ダンジョンは!?」

「クロ殿下、どうした?ここがダンジョンだぞ」

い、いやそうなんだけどな。ロー。前世的にはコレ……ダンジョンなのか!?


「大丈夫、ここまでは初心者ランクだから。この階段を抜けると……」

と、ヴェイセルが告げた瞬間だった。


ぐおぉぉぉっ

ぎやあぁぁぁっす

……無法地帯!!!

今までの平和な池とは裏腹のいわゆるダンジョン回廊の向こうからザ・モンスターズが襲いかかってくる。


「ぎゃーっ!!!」

「クロ、これつけといて」

ヴェイセルが腕輪的なものを投げてきたので、ひとまず装着。


「ロー、クロをお願い」

「らじゃっ」

ヴェイセルが牛っぽいモンスターやナメクジっぽいモンスターなどを軽々と炎属性とおもえる魔法を帯びた剣で両断していく。


「さ、クロ殿下」

ローが手をつないで引いてくれる。そしてもう片方の手で背後や横から出て来るモンスターを魔法弾で排除していく。

こういう場面って主人公が戦う場面じゃないのか!?俺、クエスト同伴者みたいになってない!?今回はそんなようなものだけど!


「ふたりとも―こっちの部屋来てー」

ヴェイセルが呼ぶので側面の部屋に入ると……一斉にモンスターが大量に出現してくる。


「いぇーいっ!モンスターハウス――――!」

喜ぶな!喜ぶなよ!この状況!!!こいつもしかして戦闘狂か!?ロリショタコン戦闘狂変態剣聖か!?まぁ確かにただ戦いたいだけ極夜祭武闘大会に参戦してたけど!ひいぃぃっ!せめて部屋の外に出ていたい!!


「部屋に入った人数が多いほど、モンスターがその分大量発生するんだぜ」

だぜ……って。ローもまさかその仲間!?


「ロー!後やっていいよ」

「よっしゃ!それじゃ……」

どごぉぉぉんっドババババッズッドオォォォッッン!!!

風圧で漫画みたいに思いっきり髪が後ろになびいた。気付けば部屋がボロボロになっており、モンスターは一匹残らず消滅していた。

「今の、何?」

「ん?極大魔法だぜ。ハイパーギガエクスマックスと名付けてる!」

あの、何そのハイパー感系用語全部くっつけた中二病っぽいネーミング!

属性とか魔法の系統とか、全然わかんないしっ!


「さ、行こーぜ」

「さっくさっく行こー」

やけにテンション高ぇな。この戦闘狂コンビ。


「ロー、ここの壁ぶっ壊した方が近道。破壊して」

「らじゃ!じゃ―行くぞー!サイクロントルネードタツマキタイフ――――っンっ!」

だからそれ全部似たようなもん!専門家からしたらちょっと違うのかもしれないけどそれ全部台風の親戚では!?


漫画に出て来るサイクロンっぽいつむじ風が壁に向かって真っすぐ進み、数多の壁を破壊していく。


「ま、俺は無詠唱もできんだけどやっぱ唱えた方がかっけーだろ?」

いや、その中二病呪文はちょっと……。無詠唱できるなら無詠唱の方がいい気がしてきた。


「さ、走るよ!時間が経つと壁が埋まる!」

大急ぎで駆け抜け……途中でヴェイセルに抱えあげられ突風のようなスピードで駆け抜けていく。

いやあぁぁぁぁっ!!!


そうこう繰り返し、階段、モンスターハウス、

タツマキ、突風、階段、またモンスターハウス……。


「はぁ、はぁ、はぁ」

危険というよりこれハード!超ハード!!!俺一切戦ってないけど、息だえだえっ!!


「クロ、ついたよ。これがボス部屋~!」

おおっ!来た!ボス部屋!一体どんなボスが?恐いのはやだな。まぁヴェイセルは能天気に笑んでいるが。神殿の中のように神秘的で荘厳な空間の中に……それはいた。


「よくぞ来た!挑戦者よ……って、赤髪の剣聖ではないか!」

「あ、どうも。この間は」


「いやいや、構わない。また楽しめる」

「知り合い?モンスター……だよね」

そこにいたのはひょろめの男性の姿をしたモンスター。ガゼル角に翡翠色の髪、とがった耳。黒地に白の瞳、首から下は半裸、ひじの先は恐竜のような腕、下半身は異世界もんでよくあるリザードマンの4足歩行バージョン。

そして肩や胸などに部分鎧を身に着けており、

腰の部分には鎧の腰のあたりにあるぴらぴらしたやつを着けている。


「ん、傲魔」

……傲魔?極夜祭の時の?

「普段はね、ここのダンジョンでボスやってるんだ。極夜祭の時は周期的に大量発生してダンジョンから出て来るから、月の精霊と俺らで戦って満足したらまたダンジョンに戻るっと」

……じゃぁ極夜祭はただのダンジョンモンスター大量発生の余波かよ!


「何てゆーか1年に1度フラストレーションがねぇ。こう、本能でダンジョンからあふれ出ちゃう的な」

的かい。


「まぁまぁ、お互い楽しめるし」

「そうさな。普段はボス戦用に機能が制限されているが今回は剣聖だ。リミッター解除する」


「そうこなくちゃ!」

何かやけに仲よさそうだ。宿敵じゃなかったのかよ。


「リミッター解除状態だから経験値とドロップアイテムが増えるぞ」

と、ロー。


「あの、月の精霊の加護がないと攻撃があたらないんじゃ……??」


「それは極夜祭のあの時期だけだぜ。何か特殊モードになんだ」

まぁ何かあるよね、ゲームでも。特殊条件でステータスが変化するモンスターって。


「うらぁぁぁぁ」

「かましたらあぁぁぁっ」

草食系にしか見えない傲魔さんが野獣のような雄たけびを上げる。……腕と下半身は十分肉食系だけど。強い奴同士の勝負は一発で決まるとかいうけれど。


「ぐ、ぐおぉぉっやっぱ極夜祭終わるといつもの十分の何%しか力でねぇや」

単に月の精霊とSS 級軍団相手にやり合ったダメージが回復してないのでは?


「次は、逆レイド戦やるぞ!剣聖!」

元気だなこのひと。何だ、逆レイド戦って。聞いたことないけど。


「ひとまず、回復ポーション」

持たされたポーションモンスターに使うんかい!!


「いいかも!でもどうする?ボス部屋って他のモンスター呼んでも来たがらないじゃん?」


「うーん、上に無許可で上がれないしな~」

ん?モンスターを呼ぶ?


「ヴェイセル、いいもん持ってるー」

俺はアリスからもらったポーションをふたりめがけて床に投げた。するとボス部屋にモンスターが多数出現し、モンスター複数プラスボスVS剣聖ヴェイセルの逆レイド戦が始まった。




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