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【改稿作業中】クロ殿下と剣聖ヴェイセル  作者: 夕凪 瓊紗.com
クォーツ祭壇編

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【21】クロ殿下とシズメさまのお祭り


――――今日は……今日はついに!リオが俺の元に飛び込んできた!


「さぁ~てクロ殿下!シズメさまのお祭り、始まるよ~!!!」


「こ、これが……っ」

ドキドキっ。


「ロー!魔法爆竹行っちゃって!」


「うっしゃぁぁぁぁっっ!!!」


「シズメさまの……」



どばばばばばばばっっ!!!

ぴゅ――――っ、ばりばりばりりりりりっっ!!!!!


「お、おまつ……り?」


『もっと盛大に鳴らせ~』

『いいぞ~もう一演舞!』

『焼きそば買ってかんか~い?』

『いぇーい!鎮守祭待ってたぜ~』

鎮守祭。鎮守の精霊シズメさまのお祭り。

すべての魂を鎮め、この地を守る精霊に感謝するお祭り。

……灯篭流しみたいなの想像してた。

普通そうだよね?しみじみと厳かなの想像するよね!?


「鎮守祭は3日間にわたって騒ぎ賑わい楽しみまくる祭りだからね」

露店からりんご飴を買ってさらっと差し出してくるヴェイセル。

何、その奇祭。確か鎮守祭ってエストレラ各地……王都でもやってるんじゃなかったっけ?


ヴェイセルがりんご飴と半ズボン~後はお面つけなきゃね!とか言っているがとりあえず無視してりんご飴にかぶりつく。でもずっと後宮に籠っていたから。


「王都でも、こんな感じ?」

魔法爆竹を鳴らし、あちこちで魔法や剣舞ショーが行われている。露店で街道は賑わい歌や音楽も聴こえてくる。


「ううん、一度エル兄に強制で参加させられたことあるけどつまらなかった。露店出ないし催し物ないし、儀式だけだもの」

「灯篭流し的なものは?」


「やるよ、どっちも」

あ、やるんだ。一応。


「とーろーながしって、何?」

リオがイカ飯をほおばりながら聞いてくる。ついでに俺にあーんしてきたので一口食べてやる。


「3日目の夜にやるやつ」

「あー、あれね。そういう名前だったの?」


「まぁ、近くはあるね」

この世界には灯篭流しという言葉は無いのか。


「王都ってつまんねぇな。騒がなきゃ意味ねぇじゃん」

いや、ローよ。騒ぐのが王道感覚かよ。


「な、シズメさま?」

ローが俺の腕の中にいるシズメさまの頭をぽんぽんしている。シズメさまはこくりと頷く。

ま、まじで?シズメさま公認なの!?


「あ、クロ殿下ー!舞闘ブース行こうぜっ」

「ぶ()うジュース?」

とてとてとリオたちについていけば。


「おーい!ヴェイセル兄さーん!」

剣やら槍やらを携えたゴツいメンツを掻き分け、

誰かがこちらへ駆けて来る。え、ヴェイセル兄さん?ヴェイセルの兄弟!?


シュガーブラウンの髪に猫耳しっぽ。金色のつり目だが穏やかな雰囲気を持った爽やか美少年、と言ったところか。槍を携えヴェイセルに向かって来る。


ね、ねこみみ……きゅんっ。


「やぁ、タシ!今年の当番はタシなんだね」

「うん!」


「ヴェイセル、とうばんって?」

「ん?鎮守祭では領主一族が舞子やるんだよ。クォーツ領はクォーツ公爵家直轄領だから俺たち兄弟が交代でやってんの」

そういえばコイツ領主一族だったな。


「わぁ、黒い天人族……ってことはシズメさま?シズメさまと一緒にいるってことはあなたがクロ殿下?」


「あ、は……はい」

ね、猫耳……優し気な雰囲気……これは……っ!


「……!!ちょっとタシ、もうちょっと離れて」

「え、何?兄さん過保護?」


「諦めろ、ヴェイセル。猫耳は最強だ」

「そうだ。黒猫アニキを思い出せ」

リオとローも何言ってるんだ?

まぁ黒猫アニキはいろんな意味で最強だと思うけども。

――――しかしその時。

「クロ殿下だって」

「シズメさまもいるぞ!」

わっっ!群衆が迫ってくる。


「ピ――――ッ」

ホイッスルが鳴って俺の周りに黒い精霊士服をまとったアニキたちが集まる。黒猫アニキや狼アニキもいる!?


「ぴっぴっぴ」

「ほ~ら、さがって~皆さん」


「あ、やべ、黒精霊士だ」

「すんませ~ん」

何、黒精霊士って?闇の精霊士のニックネームか?ともかくアニキたちのおかげでひとまず助かった。


「クロ殿下……()

黒猫アニキ、相っ変わらず口数少なっ!

えーと……来いってこと?悩んでいるとキサラアニキが通訳してくれた。


「クロ殿下、どうぞ専用の観覧席へ」

「ああ、うん」

観覧席なんてあるんだ。そこなら周りに迷惑かけないで見られそう。しかし群衆を掻き分けて乱入してくる男たちがいた。


「なんだ?こんなところに王族がいんのか?」

「なぁクロ殿下って忌み付き王子のクロムウェル殿下様かぁ?」

いや、つい最近まで忌み付きとか呼ばれてたけど。このひとたちにクロ殿下呼びされたくない。


「んだ?冒険者か?」

黒精霊士のアニキたちの顔が恐い。声ドスきいてるし。


「よそモンか」


「何だよ、ただの祭壇の精霊士だろ?」

「しかも闇のだぜ。闇の精霊なんかを祀ってるっていう狂人どもだ。本当にいたとはな!」


「精霊士の皆やシズメさまはっ」


「大丈夫だよ、クロ」

ヴェイセルの手が俺の肩をそっとつかんだ。刹那男たちがくずおれた。そして音もなく黒ずくめの青年が降り立つ。


「みねうちです。シズメさまの御前ですので。クロ殿下を侮辱した以上もっといたぶりたかったのですが……がまんします」

いや、いたぶるのはちょっと。まんしてくれてありがとう、紅消。


「そうね。シズメさまに敬意を示してすべてのひとびとに平等に接するのが私たち光の精霊士であり、ヒーラーの務めです」

「ちゃぁんとポーション飲ませてあげますからねぇ」

どくろマークの付いたポーション小瓶を掲げて天使の微笑みを浮かべる兎耳のラビアンお姉さんと、猫耳のミンお姉さん。


ま、マッドヒーリング班!?


「うわ黒精霊士やべぇ」

「あいつらもかわいそうに。クォーツギルド本部でちゃんと説明聞いてこなかったんだな」

ん?光の精霊士も黒精霊士?闇の精霊士のニックネームじゃなかったの?それにクォーツギルド本部でどんな説明してんだろ。


「もう皆さん、そんなお薬飲ませちゃダメですよ~」

そう言って光の精霊士長フィンさんが駆けて来る。よかった、あのマッドヒーリング班の暴走を止められそうなまともなひとが来た!!


「この間開発したこちらのお薬の方が効き目が強いのですから」

と言ってどくろマークの増強ポーション小瓶を差し出すフィンさん。


フィンさあぁぁぁぁんっ!そんなぁぁぁぁっ!

あのひともマッドヒーラーだったぁぁぁぁぁっっ!!!



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