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【19】クロ殿下とふわもふ


――――――猫耳しっぽは世界の宝!!それはどの異世界だって共通の理念のはずである。


「ちょっと、やめてください!」

『んあぁ!?』

ついつい前に出てしまった。てゆーか、何で前に出た俺!?だって猫耳しっぽは世界の宝何だもんっ!何この理論でも全異世界共通の常識な気もするんだっ!ガタイのいいこわもての男たちが青筋を浮かべて俺をにらみつける。ひいぃぃぃっ!


「そうです!こんな小さい子たちに!」

「大人として、恥ずかしくないんですか!」

お姉さんたち!加勢しに来てくれたー!


「んだと年増猫耳!!」

それは多分どこの世界でもNGワード!あとミンお姉さんはまだ20代です!!

若々しくてぴっちぴちのかわいいお姉さんだよ!

……まさか、ロリコ……っ。


「……」

どすんっ!

一瞬何が起こったのか分からなかった。絡んできた男の一人がミンお姉さんの前で仰向けに転がっていた。ミンお姉さんの金色のつり目が据わってる。ひいぃぃぃっ!


「何すんだこのアマ!」

「女の子に暴力、反対です!」

次、ラビアンお姉さんが向かってきた男をひらりとかわし手刀で崩す。お、お姉さんたち!?何かめっちゃ強っ!!!


「調子に乗んじゃねー!」

3人目、お、斧もってるーっ!?どうしよう、武器……!?その刹那、男の斧が柄から落ち、男がうつぶせでブッ転んだ。


「猫祭りで不貞を働く輩はぁ……」

男を転ばせたのは、言うまでもない。ほんといつも俺のピンチに駆け付けてくれる。……赤毛の猫耳しっぽ付けてるけどな。


「お仕置きするに゛ゃぁ――――!!!」

ちょ……ヴェイセル、何そのキメゼリフ―!!!


『に゛ゃ―――――!!!』

さらにヴェイセルの後ろのコワモテ猫耳軍団

黒猫アニキや狼アニキもいる!そしてよく見たら魔人族の角のある猫耳しっぽアニキや黒狼族、茶狼族のアニキたちまでいる!?


そして雄たけびはかわいい音なのにやっぱ恐ええぇぇぇぇっ!!!男たちはコワモテアニキたちに掴まりこっぴどくシバかれることとなった。


「お助けいただき、ありがとうございます!」

「……ありがと……ます」

猫耳少女、そしてその陰に隠れて恥ずかしそうにしている猫耳弟くん。


「俺はっ、別に……」

たいして何もできなかった。

「まぁ、真っ先に助けに向かわれたじゃないですか」

「紳士としてご立派でしたよ」

と、ミンお姉さんとラビアンお姉さん。う……うんっ。でも今思うとやっぱ恐いかも。ヴェイセルもそばにいなかったし……あれ、紅消は?


「にゃー」

びくっ。

黒猫耳紅消、見参。

「ミン殿、ラビアン殿にはこの私が手ほどきを」


「ポーション講座のお礼にって!」

「淑女たるもの腕にもよりをかけなければ!」

ラビアンお姉さん、それはちょっと違うかもだけど。お姉さんたちの強さの秘訣は紅消かいっ!でもいいのか?それ暗部の手腕では!?


「後宮でも女官たちに護身術を教えておりましたので」

まじかよ後宮女官、暗部仕込み。後宮騎士隊も相当な腕前だと言うが、華やかなイメージとは裏腹に後宮は猛者の集まりなのかもしれない。


「まぁ、それでお上手なのね。私もあなた方のように強くなって、弟を守りたいと思います」

「おねえさまっ」

弟君!ちょーかわいい!思わずきゅんとくる!

その猫耳しっぽがより一層キュンキュン度をあげているようだ。猫耳しっぽ。恐るべし!


「よかったらこのカップケーキ、どうぞ」

この前、作っておいたカップケーキ。猫耳がかわいくてついつい出してしまった。


「ありがとうございます!何から何まで……よかったですね、シュイ」


「うん、ありがと……」

ぐおぉっ!かわいすぎる!俺は断じてロリショタコンではないけど!!!その後は猫耳姉弟は迎えに来てくれた保護者と合流することができたのだ、俺たちは祭壇へと引き上げることとなった。


「そうだ殿下。今日は猫祭りの起源っぽくてとっても楽しかったですね」

ミンお姉さんがそう切り出してくれる。

「起源?」


「えぇ。昔、猫族を狙う不逞の輩がいて困っていたんです」

「だから、腕に自信のある魔人族の女性や人族の女性が猫耳しっぽをつけて不逞の輩をおびき寄せ一網打尽にしたんです」

ミンお姉さんの話にラビアンお姉さんが補足してくれる。


「それで皆で猫耳しっぽをつけて、猫族に手を出したらみんなで袋叩きにゃー!をスローガンにこのお祭りがスタートしたんです」

にゃー!っていうミンお姉さんはかわいいい。……けどクォォォォーツッ!なにそのスローガン!?何でそれでお祭りスタートするの!?


「最近は平和でね~。ああやってあにさんたちにしごかれるおバカさんは珍しいけどね」

「ほんとうね~」

きゃっきゃとお姉さんたちと話していると、だんだんと祭壇が見えてきた。


――――そして祭壇にて。


「猫耳姉弟……もっと堪能したかった!弟君!!」

お姉さんたちから猫耳姉弟が無事保護者と合流ひた話を聞いたヴェイセルがひどく落胆していた。

あの猫耳っ子はヴェイセルの毒牙にかからないよう守らなければ。


「ヴェイセル、そろそろ部屋戻ったら?」

「何で?」


「いや、部屋あっちだし」

「一晩クロと離れ離れでお兄さんっ!クロと添い寝しないと明日パワーが出ないよっ!」

相っ変わらずブレねぇな、このショタコン。


「貴様、抜け駆けは禁止だ!」

紅消、早うヴェイセルを引き取ってくれ。ん……抜け駆け?


「ショタっ子と寝るのはお兄さんって決まってるの!」

決まってねーよ、どこの世界の常識だ!!!


ヴェイセルと紅消が何やらよくわからない争いを始めたのだが。その時部屋の扉が開き、その向こうに黒猫アニキが立っていた。


「……ん」

「ふぇ?」

俺は不毛な争いを続ける2人を放っておいて、黒猫アニキについていくことにした。だって黒猫アニキの方がふわもふ癒されるんだもん。


()

「……うん?」

『こ』って何だろう?しかし差し出された黒猫アニキの手をとって、てくてくてく。幸せのにゃんもふ黒猫アニキの手を取らないとかそんな選択肢、ないものね。そして辿り着いたのは昨日アニキたちが談笑していた談笑ルームだった。

俺もここに入っていいの……?


「あ、クロ殿下来た!」

今日はリオやローたちもいる。さらにリオたちの隣には優し気な茶色い兎耳の少年もいる。白や金の髪の多い兎耳族には珍しいなぁと思っていると、黒猫アニキの隣に座らされた。


「あの……」

「……もふって、みっが?」

え?黒猫アニキがあのもっふもふしっぽを俺の方へ差し出してくる。


「え……」

まじでいいの!?あ、でも……。


「あの、獣人族のひとたちは触ったりされるのがあまり好きじゃないんでしょ?」

「他人はやだけどもクロ殿下は……祭壇の家族……んだから、い」

黒猫アニキが頭をぽんぽんしてくれる。黒猫アニキ……!恐る恐る触ってみるとすっご――――っくもっふもふ!わぁ、なんてきもちいんだ。まるでふわっふわの羽毛布団に包まれているような……もっふもふもっふもふ、もっふもふ。

あぁ何か、後ろにももっふもふが……むにゃにゃ――――。


――――数分後 side:アニキたち。


「クロ殿下、寝ちまったか?」

ローがクロの顔を覗く。


「うおぉっ!反対側に座った狼アニキのしっぽをしっぽ枕に……っ」


「ん……」

狼アニキ、何気に嬉しそうである。


「あ、シズメさま」

その時茶色い兎耳の少年トールがとてとてと歩いてくるシズメさまを発見し、抱っこしてクロの横へとセッティング。


「ナイスー!とーるんっ!」

リオがトールの愛称を呼びグッドマークを見せる。

「いえいえ、それにしてもクロ殿下は……」


「狼耳パジャマだな」

「狼しっぽもついてるべ」

アニキたちにしげしげと見守られながらクロはシズメさまとすぅすぅ寝息を立てていた。そんな時だった。


「あのー、うちのクロお邪魔してません?」

「なんだ遅えぞ。殿下ならもう夢の中だ」

ギョクハンがひょっこり顔を出したヴェイセルに

あっち、あっちと指し示す。


「ぬあぁっ!!!取られたー!!!」

「クロ殿下ったら、あいつらのしっぽもふりながら寝落ちちゃったんだよ。よっぽどふわっもふだったんだな。あいつらも隅におけねぇな~」


「く……っ!狼耳しっぽだけだと油断した!やはり猫耳しっぽもストライクゾーンなのか!?」


「クロ殿下はふわもふならストライクゾーンだ」

「あ、紅消くん」

いつの間にか室内にいた紅消にキサラが声をかける。


「相変わらず気配無いねー」

「お世話係ですから」


「お世話係ってそういうもんだったっけ?」

「えぇ。もちろん。……それにしてもクロ殿下がもふっていらっしゃったとは」


「紅消さん、それって……?」

とっても気の利くとーるんことトールが紅消にも飲み物を差し入れる。


「クロ殿下は昔、アスラン殿下のしっぽふわもふをアスラン殿下の側近に咎められたことがあってな。それ以来わふたんぬいぐるみ以外へのふわもふを禁じられておられた。シズメさまは普通にふわもふしていたが、獣人族へのふわもふは我慢しておられた」

紅消はふぅっと飲み物を啜る。


『なぬっ!?』

コワモテのアニキたちがものすごい形相で一斉に振り返る。なおキサラとトールはコワモテではない。


「クロ殿下、めんごぃべ」

「うおぉぉっ切なすぎるよクロ殿下ー!!!俺もふわもふしていーよっ!?」

黒猫アニキに続き、リオが叫びながらフラッフィなふわっもふしっぽをぱたぱたさせている。


「かわいい弟がふわもふしてきてかわいくない茶狼族アニキなんて、いない!」


『んだな!!』

リオの提言にアニキたちが一斉に同意したのは言うまでもない。




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