その4
…間違いなく日本語でこちらに分かる文章になっている。
最初読み始めた時には意味が全然解らない異国の言葉だったのに。
鑑定の能力にはそんな機能は付いていなかったし、補償にも何も書かれていなかった。
そもそも…
「何で言葉が通じているんだ…?」
元々同じ言葉を使う世界だった…?
そんな事があるのだろうか?
言葉が通じている事に何も思わなかったが変じゃないだろうか。
翻訳されているのか?
文字は何故読める言語に変わったのか?
色々考えながらもページをめくると疑問に答える様に答えが書かれていた。
『この世界では言葉に違いがない様に聞こえている。
いや、違いがない訳ではないのだ。
サモール国という場所で異世界召喚の儀式が行われた。
この国では世界の外には別の世界が広がっている。
別の理で創られた世界があるとされており、別の世界からその世界の知識や技術を手に入れようと召喚の研究が代々行われていた。
魔法の研究に熱心な者が集まり建国された国であったがある時から異世界があるとしてその研究に熱をそそいだ。
悪魔や精霊を召喚する式から計算し、試行錯誤を繰り返していたが遂に1192年に人を召喚する事に成功した。
名前は残されていないが、キカイという物の研究を行なっていたらしい。
その人物の知識と技術により魔道具が作られたという。
そして残された代表的な魔道具に言語変換装置がある。
国や大陸によっても言語は違っていたのでサモール国は、別の世界の人間とは言語体系が違っていた時の対策に思念を繋げる装置を作り出していた。
それを元にして、その人によって身近な言語に置き換わる様に作られたのだ。
この装置は二百年ほどかけて大陸全土並びに他大陸まで作られては運ばれたそうだ。
今では疑問に思う人もほぼいないが、口の動きをよく見ると違う言語を話していると分かることもある。
基本的に昔からその地の特有の言葉から変わっていないんだ。
違うという事が分からないから言語が統一される事もない。
文字については公式に国から認可を受けた物だけにしか効かない。
国からの公用印の印字がされていることを条件として発動しているので民間だと本ぐらいにしか効いていないだろう。
国の正式な式典等重要な書類には使われていないそうだし。
冒険者組合や商業者組合も使われてはいないね。
まぁ、文字は正式なのが3種類ほどになっているから頑張るしかないだろう。
アルト語、カン語、ルー語だよ。 』
ふむふむ。
この魔道具のお陰で言葉には苦労しなくて済みそうである。
だけど、文字については勉強しないといけないな。
…英語苦手なんだよなぁ
最初に見た文字は絶対無理だ。
他の文字に期待するしかないな、うん。
…大丈夫かなぁ?