第三話
街は喧騒に包まれている。それもその筈、今日は各国の無名から有名の騎士がやって来るのだから。
歓声が上がる。
その方向を見ると人集りが出来ており、そこには笑顔を振り撒く白銀の鎧に身を包んだ爽やかな好青年がいた。
「ごめん、通してくれないかな?騎士団集決に遅れちゃうよ」
あの人は『白銀の聖騎士』団長のカル。
白銀の聖騎士はそのままの意味で、白銀の鎧を身に着けた聖騎士達で構成された団から『白銀の聖騎士』と呼ばれるようになったのだとか。
また違う所で歓声が上がる。
その時、街中にゴーンゴーンという鐘の衝かれる音が鳴り響いた。
「やべっ」
鐘の音が鳴り騎士団長が全員集まると騎士団集決が開始するとジンに聞いたので俺は速足に試験会場へと向かった。
∞
会場に入ることが許されているのは騎士を志した者と騎士団長のみ。なので先程騎士団長に押し寄せていた人たちは入れない。
「それでは007番と008番の者は木剣を持って来い」
どこかの騎士団に属しているであろう男が呼びに来る。
この試験は実践式で、木剣を用いた一対一で戦い、各団の団長にスカウトされた者は晴れて入団することが出来るというものだ。
選ばれなかった者は?
という疑問を持つ者もいるだろうが、その質問には無言を貫かせていただく…
「次、009番と010番の者、来い」
俺の番号は018番。あと四回後に俺の番だ。
∞
「017番、018番。来い」
俺の番だ。
俺の相手は…
周りを見ると一人、こちらに歩いて来る。
金の髪を靡かせた少女。腰には細剣、レイピアを携えている。
「宜しくお願いします」
そう言い金髪の少女は手を出してくる。
俺はその手を握り、「こちらこそ」と返した。
いよいよ俺の番。きっと目の前の少女は強い。それも物凄くだ。
その戦いを見たわけじゃない。たが言い切れる。
そう思わせる雰囲気、佇まい。
勝とう、俺はそう心に刻みステージに登った。