表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦哮の暗黒騎士  作者: 玻璃 奇石
入団前編
1/16

第一話

初投稿です。楽しんでいただければ幸いです。

圧倒的理不尽を感じたことはあるか?


と聞かれたら、俺はイエスと答える。

その理由は単純明確、両親が死んだ。俺の目の前で。

両親は村一番の狩人だった。だから村に魔物が押し寄せて来た時は両親と村の人間で対処していた。

いつもならゴブリンが数匹現れてそれを倒すだけで良かった。けれど今回は違った。


魔物大群襲撃、所謂スタンビート。


それが起こったのだ。ゴブリンから見たことの無い魔物が両親をその爪で、その棍棒でその嘴で襲っていた。


最後に見た両親の姿は魔物に食われながらも懸命に俺に向かって『逃げろ』と叫んでいた姿だった。



「…い…きろ。おい!起きろ!」


目を開けるとそこにいたのは鎧を身に纏った巨漢であった。


「水汲み場で顔を洗って来い。飯を食ったら木剣を持って中庭に来い、訓練を始める」


この巨漢はあの頃壊滅した村の前で泣いていた俺を両親に代わって育ててくれているバンという男だ。俺は彼のことを師匠と呼んでいる。


「おはようございます師匠。今日の訓練メニューは…」

「基礎作りと型、昼からは実剣を用いて実戦訓練だ」


つまりはいつも通りの訓練メニューということだ。

言い終えた師匠は部屋から出て行った。

俺は師匠が出て行ったことを確認してからベッドから這い出て下階に向かった。


「おう、カイの坊主じゃないか。朝飯はいつもの所に置いてあるから顔洗ってから食いな」

「はい」


今のはジンという男で師匠と同じく巨漢である。そして俺が今タダで住まわせてもらっているこの宿の主でもある。


この宿には基本女性は居らず、師匠やバンの様な男しかいない、巨漢の。


顔を洗った俺は端の席に座って朝食をいただく。これはバンが作ったもので、とても美味い。


朝食を食べ終えた俺は部屋の壁に立て掛けてあった傷だらけの木剣を手に中庭に行く。


五歳だった頃から十年間も使っている馴染みのある木剣だ。


「来たか、それじゃあ訓練を始める」

「お願いします、師匠」


まず行うのは準備運動。これは念入りにしておく。


次に腕立て伏せと腹筋と背筋、スクワットを百回の五セットずつ行う。

次にランニング、といった具合に進めて行き「いい汗かいたな」と汗を拭っていると師匠に声を掛けられた。


「明日から俺は宿を空ける。その理由については前に少し話したが騎士団の国外遠征がある、お前の部屋に騎士団募集の紙を置いておいた」

「その中から自分の入団したい団を決めろ、ということですか?」


師匠は頷くと口を開いた。


「物分かりが早くて助かる。その通りだ。もうお前も十五になる、良い頃合いだ」


もし、と師匠は続ける。


「自分で決められないなら騎士団集決に行くと良い」


俺は自分の性格を分かっているつもりだ、師匠の言った騎士団集決に行くのが良いだろう。


騎士団集決とは各騎士団が一箇所に集まり、騎士候補同士を戦わせ実力を見極め、スカウトする。というものだ。


考え事をしながら木剣を振るっていた為か俺には時間が早く経過したように感じた。


「昼飯だ。食いに行くぞ」


俺は「はい」と返事をし、食堂に向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ