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番外編 規格外な女性


ダダダダダ!バン!!


「大変です!カイル団長!!聖女候補様がこられました」


やれやれ、またか。


これが始めに思ったことだったが仕方がないことだと思う。このとき既に二人の聖女候補が現れていたからだ。

そして、その内の一人に悩まされているのも原因のひとつだ。


「第三、第二と担当につきましたから次はうちの第一ですね。おむかえにまいりましょう。団長!」


若い部下は乗り気だが私はあまり行きたくはなかった。招かれた女性が先に来ている女性と同じ行動をとられるのが億劫だったからだ。


執務室を出たとたんに甲高い声が聞こえた。


「カイル様!何処へいかれるんですか?」


見つかった。


探知機でもついているのだろうか?少し部屋から出るとすぐに見つかる。


「仕事ですので」


そう言うと私は早足で進んだ。後ろからなにか聞こえるが只只前へ進んだ。


そして地下にある聖女召喚魔方陣が書かれている部屋へと急いだ。

そこには、大きな鞄を持った女性がいた。召喚は前触れがないと聞いていたのだが彼女は知っていたのだろうか?そう感じるぐらいの荷物量だった。

しかし、その荷物は旅行に行くための荷物でたまたま一緒に召喚されたらしい。


そして彼女は、時間がかかるみたいだから寝ますといって眠ってしまった。この状況で眠れるとは予想外だった。


その後も予想外の出来事が続いた。部屋まで彼女を案内していると部屋の前で見つかってしまった。本当に探知機でもついているのか?甲高い声に頭が痛くなる。


気がついたら第三騎士団団長のライルの背中に思いっきり鞄をぶつけていた。驚いて目を見開いていると彼女は手を痛がっていた。それはそうだろう、生半可な鍛え方はしていない彼も私も。それなりに固いはずだ、手にかかる負荷はそれなりにあるはずだ。彼女の手をとり心配すると「それは仕事が増えるから?」と、キッと睨まれた。何故だ?何故そうとる?今まで女性にそんな態度はとられたことがない。ましてや手をとり心配しているのに睨まれるとは。そして彼女は私の事など放っておいてライルに向かっていった。ライルは長身だ、女性からしたら身長差が大分ある。威圧感もかなりあるはずだ。だが彼女は向かっていき、何故かあだ名をつけた。彼女がつけたあだ名に思わず腹を抱えて笑いそうになったが、銀髪美丈夫と呼ばれるのは嫌だったので速攻で名乗った。


この部屋を去りミミリー様が元いた場所に戻るとそこはすごかった。どうやったらこんなに散らかせるんだ?

とにかくこんな部屋に茜は泊まらせれない、早く違う部屋を。

そう思ったが部屋がなく、メイド用の部屋しかないと言われた。

茜はその部屋でいいと言うので仕方なくその部屋に通した。


翌日部屋に行くと茜の姿はなかった。部屋に鍵がかかっており合鍵で部屋にはいると荷物はあるが茜の姿はない。

とりあえず部屋を出て鍵を閉めたところでライとライルが来た。


ライルが茜がいないと知ると騒ぎだしたこいつこんなやつだったか?


そこにミミリー様がやって来た。茜は食堂で皿洗いをしているという。皿洗い?何故?


意味がわからず私たちは食堂の半地下になっている洗い場へと向かった。そこには、楽しそうに皿洗いをしている茜の姿があった。とても、イキイキしていた。


茜はまかないが食べたいといいその場を動かなかった。

私は、皿洗いを手伝った後、料理長に頼みをした。


「料理長、頼みがあるのだが。このまま茜がやりたいと言えば皿洗いをさせてもらえないだろうか?危険がなければその他の簡単な仕事などもさせてやってほしい。」


「茜をですか?それはかまいませんしこちらとしても助かります。とても手際がよくて助かりましたからね。こちらとしては毎日来てほしいくらいですよ。」


「そうか、だが毎日は無理かもしれないがよろしく頼む。あと手伝いはこの食堂の中だけにしてくれ、お使いとかはさせないように」


「わかりました。」


「あと、可能なら賄いも食べさせてやってくれ。」


「賄いですか?まぁ、かまいませんが。」


少し不思議そうな顔をした料理長がいた。


しかし、あの料理長は厳しいと評判だったが違ったのか?それとも茜が凄いのか?想定外なことが起こってばかりだ。振り回されている気がするが何故か嫌じゃない。何故だ?不思議に思いながら私は、茜たちの席に戻っていった。


茜という女性。


規格外の女性。




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