6、充実した1日②
「茜ちゃーん、次これもおねがーい。」
「はーい。」
ジャブジャブ
「茜!これも頼む!熱いから気を付けろよ?」
「はーい。」
ジャブジャブ
私は今調理場の洗い場で皿洗いをしています。
ここにに来てわかったのは、今私がいる調理場や私が泊まった部屋があるこの建物は騎士団が生活する建物らしく、とても広い建物だった。そしてここはその騎士様達が生活している建物で、執務室や鍛練場などもあるらしい、そしてこの半地下の調理場は洗い物や下ごしらえ等をする場所で一階部分は食堂と料理を作る調理場があるらしい。この、半地下を少し降りると地下の貯蔵庫に行けるみたい。
「これ、割らないように丁寧に洗ってね」
「はい。わかりました。」
使われている食器も色々で、お偉いさんや貴族の方などの食器は細かい装飾などがされており、洗うのに注意が必要だ。
その他の騎士様やこちらの建物で働いている方の食器はとてもシンプルなのでとても洗いやすい。
ジャブジャブジャブジャブ
私は、洗い担当なので洗ったものをふいて元の場所に戻してくれる人がいるので集中して洗うことが出来る。
ジャブジャブジャブジャブ
ざわっ。
ジャブジャブジャブジャブ
ざわざわ。辺りが少しざわめき始めたのに気づいたが気にせず洗い続ける。
ジャブジャブジャブジャブ
ざわめきのなかに「え?どうしてこんなところに?」「なんで?なんで?」と、少し慌てた様子の声が混じりだしたと思ったら、「キャー!」と黄色い声が出始めた。
うるさっ!アイドルか!まあ、いいや皿洗い皿洗い。
次から次へと来る洗い物を続けた。
ジャブジャブジャブジャブ
「茜、何をやってるんだ?」
呼ばれて振り返るとここにはいないはずの人たちがいた
「え?カイルさま?ワン子系騎士君も!ミミリー様まで?!」
正確にはあと一人いたが華麗に無視した。
「えっと、皿洗いをしています・・・」
「それは、見ればわかるが。」
え?じゃあ、なんで聞いた?
「茜が、そんなことしなくてもいい。帰るぞ」
そういったとたん私の手をつかみ進もうとする。
「えぇ?待ってください!この後賄いなんです!まだ、食べてないのに!」
なにゆってるんだ?といった顔の後、呆れた顔でため息混じりに「昼飯なら部屋に運ぶ。行くぞ」
「嫌です!まかないが食べたいんです。あと、ちょっとですから~」
力一杯踏ん張る私に「そんなにか?」と、小声でいうので、私は、力説しました!
「そんなにです!あのですね、朝こちらで賄いをいただいたのですがすっごぉい!美味しかったんです!!私、部屋でも朝御飯食べたんですけどそれでもペロリと食べちゃいました。」
うん、あの何故か外野の方も混じって呆れた顔をするのはやめて
ください。
「腹を壊すぞ?」
「壊しませんよ?美味しいものは別バラです。」
そういい終えると私は、洗い物を再開した。
ジャブジャブジャブジャブ
「手伝おう。」
「待ってください!団長様にそのようなこと、」
そういうメイドに
「いや、迷惑かもしれないが手伝わせてくれ。」
そう言う団長さんにキャーッと黄色い声が上がった。
アイドルか!人気が終わりなんですね?
「俺も手伝おう」
「じゃあ、僕も手伝いますよ」
「私は、手伝わないわよ!」
そして、私は、只の皿洗いをギャラリーに見られながら終えたのだった。
「ん~。美味しい!この賄いも美味しいけど、やっぱり労働のあとのご飯は格別よね!」
私は、お昼の賄いを食べていた。ご飯の上に野菜とお肉を炒めたシンプルなものだったけどなぜだかとても美味しく感じる。この肉の上にかかってるソースも絶品だ。
「あなた、本当に変わってるわね。」
「あれ?そういや、ミミリー様はどうしてここに?」
「あの後、部屋に戻ろうとしたらあの3人にあって、あなたの居場所を教えてほしいっていわれたから」
「へー?そうなんですか。」
会話をしながらもモグモグと食べ進めていた。そこでちょっと気になったのは、先程からミミリー様がなぜかモジモジしていたからだ。
「あの?ミミリー様、どうしたんですか?」
「なにが?」
「さっきからモジモジしてますけど、あっトイレですか?」
「違うわよ!馬鹿なのあなた?」
怒られました。でもあきらかにソワソワしてますよ?
「あなたに、昨日の事を謝ろうと思って、悪かったわ。」
以外と律儀なミミリー様でした。
「あと、名前の後に様はいらないわ。わたしも茜ってよぶから!」
そう言うとミミリー様はぐるんと背を向けてしまいました。
もう、すでに呼び捨てで呼ばれてたきがするけど、髪の毛の隙間から見えた耳は真っ赤でした。
これは・・・
「ミミリー、ツンデレなんだね。」
笑いながら答えると
「うるさいわよ」
っと、ツンが帰ってきました。
その頃、騎士3人は料理長に頭を下げられていた。
「本当に申し訳ない!皿洗いを団長様にさせるなんて!」
「料理長、その事なんだが私が勝手にやったことだ。どうかメイドや部下達を叱らないでほしい。あと、1つお願いがあるのだがー」
カイルがお願いをしていることを知らない茜とミミリーの元にカイル以外の騎士が戻っていった。
「茜様。よかったですね。まかないが食べれて」
「とっても美味しかったですよ。皿洗い手伝ってくれてありがとうございました。とっても手際がよくてビックリしました。」
「討伐に行ったり野営に行った時などは自分達で料理して後片付けも自分達でするので。ただ、水は貴重なので今日みたいな洗い方はしないですけどね。」
私は、ミミリーとへぇー。と感心しながら聞いていた。
「ところで、茜様。僕の名前ライっていいます。だから、ワン子系騎士はやめてもらえませんか?」
くぅ~ん、と泣き声が聞こえてきそうなワン子系騎士君に言われました。う~ん、私的にはワン子系騎士が似合ってるな~とおもうけど、うんまぁ、名前呼びがいいよね。
「わかった。これからよろしくねライ君。」
「はい。よろしくお願いします。」
ライ君が凄い笑顔で笑いました。
可愛い。弟みたい。思わずふふふっと笑ってしまった。
「俺もいいか?」
今まで全然喋らなかった男が口を開いた。
私は、下から上に見上げるように不機嫌に男を見た。
「なんでしょうか?」
「俺も名のりたいのだが?」
「いいです。呼ぶきないので。」
「・・・。何故だ?」
何故と言われても・・・。
ますます不機嫌になる茜。
回りはハラハラしながら二人を見ていた。
「あなたは私の担当護衛ではないと聞いていますし、あまり関わることがないかと。あと・・・」
「あと、なんだ?」
前のめりになって聞いてくる。からだが大きいせいか威圧感がある。
後ろに反りながらボソッと答えた。
「ミミリーに謝りましたか?あなたはあの時かなり失礼な事をミミリーに言っていました。ミミリーにも問題があったとは思いますがあなたは責任者です。あの時の言動は責任者がとるものではなかったと思います。謝罪がまだなら先に済ませてから来て下さい。」
私は、賄いのお皿を重ね洗い場に持っていった。彼がミミリーに謝りやすいように席をたった。
自分が使った食器をジャブジャブ洗い水切り場に乗せた。
席に帰るとミミリーに謝罪は済んだと聞いた。
「なのる権利をもらえるか?」
「・・・わかりました。あなたの名前を教えて下さい。」
「俺は、第三騎士団団長ランドだ。よろしく頼む」
そうして、私は、ミミリーを様なしで呼び、二人の騎士をライ君とランド様と呼ぶことになった。
そして私は部屋に戻りのんびりした後、夕食を食べお風呂に入りベッドに入って今日一日の事を振り返っていた。
今日は充実した一日だったな。私は、満足で眠りについた。