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18、お部屋決め


「・・・ここはどうだ?」

「あっ、無理ですね。」

「・・・いい加減にしないか?」


カイル様と私が向かい合って軽く睨みあっています。


「いい加減にしてほしいのは私の方ですよ!カイル様!私はほどほどの広さがいいって言っているんです!」

「だから、ほどほどだろう?」


溜め息をつきながらカイル様はこちらをみる。

そう今私たちは私の新しい部屋を探すため部屋を見て回っていた。日本で言うところの不動産屋さんとまわる内覧だ。


「これのどこがほどほどですか!最初に見せられて今ミミリーが住んでいるところと同じじゃないですか!さっきからこんな豪華なところばかり!私はほどほどがいいんです!別に無理に部屋変えなくてもいいのに。」

「あの部屋は仮だといっただろう。なのに何日も住み着いて。茜は国賓なんだ、いつまでもメイドの部屋に住んでもらっては困る!警備の件もあるんだ!」


こんな感じでここのところ二人で言いあいをしながら空いているお客様用の部屋を見てまわるがどれもピンと来なかった。

だって広すぎる!絶対落ち着かない!

幼い頃から自室は六畳の部屋、大人になって独り暮らしし始めた部屋も1Kとそんなに広くない部屋に住み慣れた人間が願望もないのにいきなりこんな部屋を(ホテルのスィート)あてがわられても正直困る。


今日も部屋を見て回るけれどやはりどの部屋も私から見たら豪華だった。カイル様が少しランクを下げた部屋を見せてくれたけどそれでも私には豪華で広すぎて落ち着かない。


うーんと頭を悩ませているとふとある角の廊下が気になった。


「茜様?どうなさいました?」

スージーが私の後ろで声をかけてくれるけど私は廊下の先の窪みがきになり歩を歩める。


「これって、部屋のドアだよね?」

私が廊下の角に入りその部屋らしきドアにさわるとスージーが驚きの声をあげた。


「え?!部屋のドアですか?・・・こんな所にこんなドア・・ありましたっけ?」

「・・・。」


不思議そうにスージーはカイルさまに疑問を問いかけるけどカイル様は何も答えなかった。


「この部屋入ってみてもいいですか?」


なぜか気になるこの部屋を見てみたいとカイル様に許可をとるとコクりと頷いてくれたので扉に手をかけ横に引いた。


「え?横に開くのですか?」


スージーがまた驚いた声をあげる。その声で確かにこの国でスライド式のドアは見ていないなと思った。この国のドアは今のところ押すか引くかの開閉式ドアだ。

スライド式のドアを開けて中に入るとそこにはキチンと玄関があった。

丁度いい高さの玄関と下駄箱があり部屋へと続く扉を開けるとそこは広すぎず狭すぎずのリビングがあった。

久しぶりに日本の一般家庭のお家に来たみたいでなんだかワクワクした。リビングには小さいけど私には十分なキッチンがありその奥には寝室らしき部屋があった。

玄関のところにトイレとお風呂もあったし、なんと驚くのはリビングのとなりに和室の部屋があったのだ。まさか、畳があるなんて!いぶさの匂いはしなかったけど茜には十分に嬉しかった。

日本でいうと2LDKになる。


「私・・・、ここがいいです。カイル様」


ポソリ茜がいう。今まで見てきた部屋と全く違うため反対されると思い声が控えめになってしまった。


「・・・やはり、この部屋を見つけたか。」


カイル様は誰にも聞こえない声でポツリと呟いた。


「やっぱりだめですか?」


茜は不安になりか細い声でカイルに聞くが振り返ったカイルは今まで表情筋が死んでるのではないかというくらい表情がないのだが、(いや、一度爆笑してたな)振り返ったカイルは優しく微笑んでいた。


「いや、反対などしない。この部屋を選ぶのではないかと思っていた。茜が良ければこの部屋でかまわない。」

「本当に?いいんですか?」

「あぁ。」

「やったー!スージー!やっと部屋が決まったよ!」

「ようございましたね。茜さま!」


私は嬉しくなってスージーの手をとって喜んだ。もう、部屋探ししなくていい解放感と気に入った部屋が見つかった安土間で私はスージーの表情を全く見ていなかった。

不思議そうな何かに疑問を持ったような顔をしているスージーと、何かを深く考えこんでいるカイル様に私は全く気づいていなかった。

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