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ぼっちのぼっち  作者: 暁庵
5/9

空白の40分②

超ダークな部分は、これで終わりかなー?

 グルゥッ···


〘んぅ?ミドゲラ、お腹空いたのかい?〙


 手を伸ばし、首筋を撫でる。


 グルルッ···


 そこを撫でられるのが気持ちいいのか、ミドゲラは嬉しそうに目を細め、狙いを定め、地上へと降り立った。


〘みーっけ!!さすがですね。でも、駄目ですよ?そこに隠れちゃ···〙


 っ!!


 大きな岩の物陰に潜む男二人は、おそるおそる岩陰から顔を覗かす。


〘名前は?〙


 顔を見合わせる二人は、小さく、


「こ、小泉。こっちは···」


 左に立っていた男は、小突かれ渋々、


「日下···篤」と、下の名前まで答えてくれた。


「な、なぁ!助けてくれよ!!俺、まだ死にたくねー」


 泣きながら訴える日下とその後ろで震える小泉という男。


〘んぅ、どうしよっかなぁ?ねぇ、ミドゲラ···?〙


 グェッギョ···


 ミドゲラは、嬉しそうに鳴く。


〘ミドゲラは、お腹いっぱいなんだって。だからね、ノドにあげるって!良かったねぇ、ノド〙


「「???」」


 立ち尽くす二人に、俺は後ろの大きな岩を指さした。


〘んと、日本だとお別れする時、なんていうのかな?〙


「さよなら?じゃないな···」


「ご愁傷様?おい、まさか···」


 ゴォッ···


 草むらで眠っていたノドが、大きなあくびをした。


〘ご愁傷様!!ふふふっ〙


 ミドゲラは、空へ向かって羽ばたかせ、背中からは、この世のものとは思えない音が聞こえ、静かになった。


 空から見てみると、四方八方から悲鳴やミドゲラやノド、ライの声が聞こえ···


〘さぁて、あと何人かなー?〙


 掌を天に翳し、〘アイエル·ジュ·ザーム!!〙と叫ぶと、五つの光玉が飛びだった。


〘おっ!さーっそく、見つけちゃったのね。お仕事はやーいん!〙


 ニタッと笑い、ミドゲラと一緒に紅く光る光玉まで急ぐ。


〘みーっけっ!あらら、せーんせ!なーにしちゃった?〙


 木の下で下半身を剥き出しにした小林先生と衣類をめちゃくちゃに破かれた女の子。


「た···助けて···」


 女の子は、手を伸ばし近付くも···


 ゴンッ···バキッ···


 後ろから小林先生が、大きな石で後頭部を···


「ど、どうせ俺たちゃ死ぬんだ。だ、だったら死ぬ前に···」


〘······。〙


 ミドゲラの上から、こっちに向かって喋る男をジッと見据える俺。


〘サーキション·ダンク〙


 辺りが静かになり、草木がざわめく。


「な、なんだよっ!うわっ!おいっ!ひっ!あ"あ"あ"─────っ!!」


 男の身体を締め付けていた無数のヒールは、全ての血液を吸い取りノソノソと草むらへ帰っていった。


〘おや?あっちにもいるのか?〙


 2個目の光玉が、青白く回っていた。


〘あ、り、が、と。さて?〙


 ナギーノの前で、泣きながら後ずさる女。


 ナギーノは、昼寝から目覚めたらしく口からよだれを垂らしては、手を伸ばしたり縮めたりと遊んでいる。


〘ナギーノ!いいよ、そいつ食っても!!〙


 そう言い残し、次の玉へ···


「びぎゃぁぁぁぁ─────


 バッサバサと翼を鳴らし、3個目は···


〘ホーキー·ドロック〙


 小さく唱え手足を瞬時にして引きちぎられた男。


 4個目は、


〘ふふっ!かっわいいわぁ!ねね、あんた達、付き合ってんの?!〙


 しゃくり上げてる女の子を庇い、男の子が棒切れで立ち向かおうとしていた。


「う、うるせーっ!!神田、俺の傍を離れんなよ?」


 女の子は、頷き背中に隠れた。


〘アッチの世界じゃ、カレカノって言うのよねぇ。どこまでいったの?〙


「は?か、関係ねーだろ!!」


〘可愛いねぇ。助けてあげよっか?〙


「あ?」


 ミドゲラの上から、下にいる二人を見て笑う。


〘なーんかねー、あたし自分で殺すの疲れちゃったのよねぇ。だからぁ···〙


「······。な、なんだよ!!」


〘その彼女、殺してくれたら、あんただけ元の世界に戻してあ、げ、る!やる?やらない?〙


 男は、一瞬後ろにいる女を見る。


「隆?なに?」


 男は、ニヤリと笑って···


「沙綾?死の?」


「えっ?嘘···」


 ボゴッ!!!バギッ!!グワッ!


 小さく動いていた女は、やがてこときれた。


「こ、これでいいだろ!!助けてくれるんだろ!!なぁっ!!」


〘······クスッ〙


〘ホーキー·ドロック〙


「グギャッ!!」


〘バカね。どのみち死ぬのに···。さぁ!最後よ!!どーこー!!!〙


 少し高く上がり、辺りに神経を集中させた。


 ヒューーーッ!!


〘見つけたわよぉぉん!!〙


─最後の獲物···愉しませて貰わなきゃ!!啓吾の為にも!!


〘ありがと。ミド。ちょっとだけ、待ってて〙


 ミドゲラから飛び降り、最後の男の前に立った。


「ひっ!!」


 一瞬、俺の顔を見て尻餅を付き、後ずさる。


〘ふふっ。かっわい!坊や、お名前は?〙


「···な、名前?品川純平···」


〘ほぉっ!出身中学は?どこ?どこに住んでる?〙


「へ?ち、中学は、柿田中学で。どこって、いまは綾部市」


〘んぅ、中学の時。どこだった?怒らないから教えて?〙


「田宮市中区陣···」


〘みーっけ!!〙


 自分が殺されるとわかっていても、どこか平然としている品川純平。


「なんだよ!!どうせ、殺されるんだろ!!」


〘そうだけどね。ねっ、この子知ってる?〙


 目を閉じ、〘キルア·ムート〙を唱えると男の周りに青白い光が大きく移りだされてください。


 っ!!


〘ふふっ。どうやら思い出したのかなぁ?〙


「菜摘···。お前、死んだんじゃ···」


 青白い光は、段々と浴衣をきた可愛い女の子になっていった。


[···寂しいんだ。アッチにいても···]


「は?なに言って······い?」


 女の子の光から、1つの光が飛び出して品川の周りを廻る。


「なんだこれ!しっ!しっ!」


[純平?あたし、信じてたんだよ?あの時、純平がお祭りに誘ってくれたから。ママに頼んで着せて貰って···]


 当時の事を鮮明に思い出したのか、黙り込む。


[けど、純平は来なくて、代わりに純平の友達って子が、待ってるからって。付いてったら···]


「やめろ。やめろーーーっ!!あぁ、そうさ!俺には、他に好きな女が出来た。お前に別れを切り出そうとしても、ごねそうで。塾の友達に頼んだんだ。お前をレイプしてくれって。そしたら、別れられるって思ったからな」


[それで、私が妊娠して、ギリギリの所で中絶したけど、その夜に···]


「······。」


[なのに、あなたはあくびることもなく、次から次へと女の子と遊んでばかりで。私のことなんか、これっぽっちも···]


「······。」


[あたし、待ってたんだ。純平がきたら、一緒に遊べるって。ねぇ!]


 女がそう言うと、小さな光がジグザグに飛び始める。


〘ネクスト·リープ〙


「おわっ!な、なにすんだ!やめっ···」


 男は、自身の手が勝手に自分の首を締めるのを顔を振り阻止しようとしたが、やがて息絶えた。


〘ミド!行くわよ!早くしないと啓吾が起きちゃう!!〙


 慌てて西の方向へと飛び、光の輪の前で別れる。


〘もう少ししたら、帰るからね!〙


 グェェッ···

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