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アンドロメダと天の川  作者: 津辻真咲
14/18

バースト型ワープ

14.バースト型ワープ


「3.2.1.0…」

欧州代表の機械の女子、シーラは、カウントダウンをする。

「バースト」


轟音が響く。

そして、生命体たちの悲鳴が上がった。

シーラは、人類・アンドロメダ生命体の宇宙コロニーの壁をすり抜け、生命体エリアの床へ着地した。

バースト型ワープは、一時的に対象物を分子レベルまで分解し、対象物を移動させてから再び復元するワープの事である。この時、生命体たちには、轟音が聞こえる。

――ここが、人類とアンドロメダ生命体との共同宇宙コロニー。

シーラは、立ち上がると、黙って周りを見渡した。



ここは生命体本部。法曹界の中枢。生命体たちの作り出す法律には、機械たちの入る余地などない。自分たちの事は、自分たちで決める。どれだけ機械たちが生命体たちに近づこうと、機械たちに決定権など、拒否権さえない。

「一体何があった?」

小鳥遊政爾は、警察機械の濠洲敬治に少し苛立ちながら尋ねた。

「機械が一体、バースト型ワープを行い、この宇宙コロニー生命体エリアへ侵入してきました」

「……」

少し沈黙が流れたが、小鳥遊政爾はもう一つ濠洲敬治に尋ねた。

「我々人類が地球に置いてきた機械の仲間か?」

「そのようです。先ほど攻撃をした宇宙コロニーとは別のものも五機、確認されています」

濠洲敬治が問いに答えるや否や、小鳥遊政爾は鋭く言い放つ。

「破壊しろ」

「かしこまりました」



生命体エリアがざわついている。

生命体たちは、シーラの乱入に困惑していた。

――冬華、どこだろう。人類がいるのだから、この宇宙コロニーの管理機械は地球時代と似ているかもしれない。情報を引き出せるはず。

シーラは少し辺りを見渡してから、自身の内蔵されている通信端末を使用し、連絡を取った。

《アーズ、開始しろ》

シーラは、幼なじみの機械の男子、アーズ・ロークスに指示をする。すると。

《分かった。待ってて》

その声が通信端末越しに聞こえた。

――必ず、見つけ出す。



人類側機械エリア。

相変わらず、警報が鳴り響いている。

「どうしよう!?」

四人は、必死にどこまでも続いているような白い廊下を走って逃げていた。植物PLANTからは脱出し、このエリアを移動し続けている。

「逃げていても仕方ない。このまま、アンドロメダ側の廃棄待ち置き場へ行こう」

諒は、すぐ隣を走る冬華に話した。

「え!?」

「廃棄待ち置き場へ行くのか?」

その言葉を聞いていた湯木解は、どことなく驚いているような言い方をしていた。

「あぁ、そうだが」

諒は、それに答える。すると。

「止めとけ。中には入れない筈だ」

「?」

「あの廃棄待ち置き場には、ホワイト・ハッカーの〈鍵屋〉が直接、扉を管理している」

「……」

「要するに、史上最高峰の鍵がかかっているという事だ。しかも、パスワードは、1000分の1秒ごとに変わっている。鍵屋の彼女自身が開閉の全てをつかさどっているようなものだ。ま、お前らが鍵屋よりエンジニアリングが強ければいいだけの話だが」

――そうだったんだ。

冬華は、声に出さなかった。一方、トハクはその様子を黙って見ていた。

――どうして、僕の仲間がいる所へ行くんだろう?

その事だけを考えていた。



生命体エリア。

電子音が3回鳴った。すると、アーズ・ロークスの声が、内蔵された通信端末から聞こえてきた。

《シーラ、出来たよ》

このエリアを走っていくシーラに、アーズ・ロークスからの連絡が入ったのだ。

《分かった。送れ》

《うん》

再び電子音。

――来た。

シーラは、通信端末に送られてきたファイルを開く。

画面には、警察機械の情報通信記録の傍受結果が映し出されていた。

――冬華、追われていたのか。



警察機械本部。

「あーーー!! 何でここで、待ちぼうけなんだよーーー!!」

暇になった真黒疎斗は大きな声を出して、大きな伸びをした。

「仕方ないじゃん、警察機械のみんなは緊急配備でいないんだから」

隣にいた瀬井霜は、なだめるように言った。

「ゔー」

それでも、真黒疎斗はご機嫌斜めのようだ。

「あの四人が無事だといいのですが」

「そうだな」

マス・ディーアの独り言に、リーカガはきちんと返答をする。

……。

「あ」

「どうした?」

「あの人に直接、今までのいきさつを監視カメラの映像と共に送らない?」

「内閣総理大臣?」

「うん」

リーカガの〈勘〉が当たる。

「大丈夫ですか? 急に連絡をしても?」

「この宇宙コロニーの管理人工知能からの連絡なら、目を通してくれるよ。きっと」

不安がる真黒疎斗に瀬井霜は、少し微笑んで会話をした。

3回、音が鳴った。

「?」

「何でもないよ」

電子音に振り向いたリーテ・ィュに対して、黙人は少し微笑む。

「そっか」

リーテ・ィュは、それ以上何も言わなかった。すると、黙人は彼が自分から視線を外したと確認した瞬間、自分自身の内蔵型通信端末へ直接送られてきた電子メールを開き、確認した。


『過去の贖罪に答えなさい』


「!!」

――過去からも自由になれるのだろうか?



生命体エリア。どこまでも壁が一面、真っ白だ。

――この先200mを右。

そんな中、シーラは、アーズ・ロークスの情報を頼りに、ひたすら廊下を走っていく。



生命体本部。

「どうするんですか? 警察庁長官」

ソーズォ・ツは、頬杖をして小鳥遊政爾に質問をした。

「なに、大丈夫だ」

「どういう事でしょうか?」

「昔、警察機械ながら、この警察に反発した元首席保護官の機械が私たちの為に暗躍してくれるでしょう。心配は無用だ。この騒ぎが終結したと同時にあの後方につけている、複数の宇宙コロニーを破壊し、その破片を回収すればいい」

「それなら、安心しました。これで、私たち同時に宇宙連合に加入出来ますね」

ソーズォ・ツは、手元の資料に目をおとす。


『宇宙連合加盟規定

  自身の文化、科学が自身の惑星系から全回収されている事。

  自身の文化、科学による廃棄物などを自身で回収・廃棄することが出来る事。

前記のように宇宙環境に影響を与えない思想・技術を持っている事』



 警察機械本部。

「……」

 黙人は、黙ったまま、受信した電子メールを開いた。


『侵入者二人を破壊し、廃棄待ち置き場を守っている人工知能を援護しろ』


黙人が画面をスクロールすると、監視カメラの映像から抽出されたと思われる静止画に冬華と諒の二人の姿が映っていた。

「……」

――真の強さとは、決して〈十字架をおろさない〉事だ。




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