15.人よりも幽霊に会いたいはなし
人嫌いの私だが、かといって寂しくないわけではない。人嫌いにも好きでなったわけでもない。自らの二面性にも苦しんだり綺麗なものや優しい人に出会いたいという欲求はずっとあるのだ。
そんな私だからこそ、なのかもしれない。幼い頃、オカルト現象に苦しんだ私だが、今は、その彼らに会いたくなっているのだ。生身の人間なんぞ、もう関わりたくもなくなっており、少なくとも、何かしら傷を抱えているだろう幽霊たちの方があのクズ連中よりもずっと会いたい存在となりつつあるのだ。
人よりも昔出会った悪魔の方が優しい気すらする。人はずるく嫌な生き物だから。具体的には述べたくない。そういう私も、クズな人間である。
私は、すみやかに死に、こんな世界からおさらばして無になりたいし、もし、出会えるのならば幻影でもよいから幽霊に出会いたい。そして、彼らの話を聞き、同情し、彼らの元へと連れて行ってほしいのである。自らで命を絶つことは難しかった私は、(自らに呪いをかけることすらもチキンでできなかった)彼らが心臓麻痺で連れて行ってくれるといういわゆるオカルト話に憧れすら抱き始めている。
――私を連れて行ってくれないだろうか……
かつて、嫌になるほど私の前に現れ、存在を主張し続けてきた彼らは、もう私の目の前に姿を見せてくれさえしない。
見せてくれさえしないんだ。




