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前日譚2|エルダントと不安な仲間達

来週からテスト週間なので今週中に2話投稿します。再来週からは1話ずつの投稿します。

よろしくお願いします。

「ではっ!本題に入りたいと思いますっ!」

妙にテンションの高いケニーと別段テンションの上がっていない私はついに手紙の内容を見ることができるようです。

ちなみに所長は未だ未羽ちゃんとイチャコラしています。ケニーは所長を無視するようですね。

「この手紙にはこんなことが書いてあったっす。」

といい地図や写真が入っていたであろう封筒から一通の手紙を取り出すケニー。

手紙には拙いないしは汚いとも言う字でこう書かれています。

《この地図に書かれた赤い点の場所へ行け 遺跡がある 一年後の星喰に備えろ》

「てなわけで、所長、先輩海行くっすよ、海。まずは近場のここから行くっす。」

そう言って指さしたのは私達の住むアメリカに最も近い場所。

それにしてもケニー、海を連呼しすぎですね。コイツ本当は海行きたいだけじゃね?とか思ったりします。ですがこのいつになく真剣なケニーの顔を見るとどうやらそうではないようですが。

「だから行かねぇって。未羽ちゃんもそう言ってろ?つーかそんなのタチの悪い悪戯だろ。行きたいなら2人で行ってこいよ。」

『お兄ちゃんも行きそうなのぉ…?私も…もうっ…んんっ、あんっ。じゃあ一緒にイこ?』

「ああ、一緒にイこう。」

さっきから思ってましたけど未羽ちゃんタイミング良すぎ。

そして所長、自分の発言にもうちょい責任持ちましょうよ…。

未羽ちゃんに感謝しながら一緒に行く(?)と言った所長を見るとおそらく行為のシーンが終わったのでしょう。こころなしか肌が綺麗になった気がする…。

ケニーはというと未羽ちゃんすげー未羽ちゃんすげーと繰り返していました。同感。

そして未羽ちゃんと一緒に行くと言った所長がこう切り出しました。

「で、その封筒には手紙、写真、地図以外に何か入ってたのか?」

さっきの未羽ちゃんとイチャコラしていた雰囲気とは打って変わった所長が真面目なことを質問します。

「あとはこれですかね。」

質問されたケニーはおもむろにズボンのポケットをまさぐり奇妙な石を取り出す。その石は宝石のように微かな光を反射して輝いて見えます。だがその石の特徴はその輝きすら霞んで見えるくらい不気味でした。半透明な石の中に虫のようなものが入ってるのです。魔導石に少し似ていますね。

「おい、ケニー。なんでそれだけポッケから出したんだ?」

そういえばそうでした。ケニーは奇妙な石をポケットから出してましたね。まあ持ってるだけで効果があるのでケニーが隠し持ってても良かったのですが。

所長がお前聞かれるまで出さないつもりでいたな?といった視線を向けられたケニーは暫し目を泳がせたあと白状します。

「だってぇ、綺麗だったっすもん。つい出来心というかなんというか…。俺が持ってちゃ駄目っすか?」

おもちゃを買ってもらえなかった子供のように駄々をこねるケニー。いろんなトコが大きい所長は呆れた表情で大人な対応を見せます。

「あー、分かったよ。その石はお前が持ってていいからさ。で、その石について手紙に何か書いてなかったのか?」

「そうっすね。手紙にはあの奇妙な文章だけっすね。」

「そうか。それよりお前達ほんとに行くのか?十中八九悪戯だぞ。」

おっと、所長はまだ疑っているようです。ケニーに助け舟を出してあげましょう。

「確かに悪戯かも知れません。しかし私達の研究所は三カ月間何もせずただただダラダラ過ごしているだけでした。ここは気分転換の意味も含めて行ってみましょう。」

「そうっすよ所長。先輩の言う通りっす。これはチャンスなんすよ。神様がくれたチャンスっす。もうこんなチャンス2度と来ないっすよ。」

尚も疑っている様子の所長。さらなる疑問を私達にぶつけて来ました。

「だがな二人とも。写真を送ってきたってこたぁ送り主はもう既に遺跡探検してんじゃねぇのか?」

所長の考えは一理あります。私が所長の立場ならそう考えるので二里はありますかね。

ですが私の目的のためにも行かなくてはなりません。どうフォローすべきか考えているとケニーが机をバンと叩き所長にこう言い返します。

「でも行って見なきゃ分からないじゃないっすか!行ってみるだけならタダなんすから行かなきゃ損っすよ!」

いいぞケニー。よく言いました。でもタダではないですよ。旅費とかありますし。

「そこまでいうならこうしよう。行く際の旅費はケニーが俺たちの分まで負担するというのはどうだ?」

ケニーの押しに負けた所長は妥協案を出しました。ケニーは旅費と遺跡への好奇心を天秤にかけているようで、悩む!って顔をしながら髪の毛を左右に揺らしています。

まじでケニーの髪すげーなとか思っていますと所長がさらなる案を出してくれました。

「だがそれだとケニーがあまりにま可愛いそうだ。なので、もし遺跡で何か大きな発見があったらケニーの旅費の負担は俺たち2人が持つことにする。」

所長が芝居がかった調子で見事な妥協案を打ち出しました。さすがは所長。感心です。

ケニー左右に揺れていた髪はピンと停止し表情をパァっと明るくしてうんうん。と何度も頷いています。

「よし。ケニーも納得したとこで早速準備といこうか。」

「「おーー!!」」

スーパーハイテンションで喜びを顕にするケニー。

柄にもなく大声を出した私。

ん?ちょいまてよ。遺跡探検をするわけですが、その肝心な遺跡探検はどうやってやるのでしょう。しかもその遺跡は海の中ときた。

気づいてはいけないような不安と気づいてよかった安心がごちゃ混ぜになってしまった私は意を決し、未だスーパーハイテンションのケニーと所長に一閃突きの要領で突っ込みます。一閃突きの要領てなんですかねぇ…。

「私達遺跡探検なんかしたことないですよね?どうするんですか?しかも海の中って…」

「「………え?」」

2人はテンションが四段階くらい下がり頭に疑問符を浮かべています。さながらテスト範囲じゃないと思っていたところがテストに出てきたような。

あー。誰も考えてなかったのですね。もしかしたら所長ならと期待した私が馬鹿でした。

沈黙が3人を支配します。

「いやまあそこら辺はそのフィーリングでいいんじゃないっすか?」

と誰かが言った。ケニーですけど。

しかしそれに乗り遅れる訳にはいかんと便乗合戦が開戦。

「フィーリングですかいいですねフィーリング。ハッハッハ」と私。

「ああ。そうだな。フィーリングでなんとかなるか。ハッハッハ」と所長。

「2人とも分かってるっすねぇ。やっぱフィーリングっすよ。ハッハッハ」とケニー。

ハッハッハッハッハッハ

外でミンミンジージーと鳴いているセミに負けないくらいの大きさの3人の馬鹿どもの乾いた泣き声と笑い声がその部屋にこだまするのでした。


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