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第008話 お姉さんの愚痴を聞きます

よろしくお願いします。

「えっと。それはちょっとやり過ぎじゃ……」


 ボーナスポイント10倍は、さすがに貰い過ぎじゃないでしょうか。


「何言ってるの! 100万人に1人の特典なんだから普通じゃ意味がないでしょ? それにガチの廃人ゲーマーを甘く見ちゃダメよ。ゲームの中から外部に接続できないから情報の持ち出しって結構大変なのに、すでにあちこちの攻略サイトでスキルの効率的な習得方法が検討されてるし、すでに取得ポイント換算で300ポイント以上のスキルを習得しているプレイヤーもいるそうよ」


 なんかすごいですね。

 そこを基準にされても困りますが。


「それに、海外勢も恐ろしいわよ。思考加速の適性の高い連中が接続時間の限界までプレイしているんだから、10倍の差なんてスグよ。だから、これくらじゃないとチートキャラにはなれないのよ!」


「チートキャラとかは目指してないんですが……」


 わたしが目指しているのは牧場でのスローライフです。


 ◇


「このイベント、お姉さんが企画したんでしたっけ?」


 ちょっと話題を変えてみましょう。


「そうなの! 私が企画したのよ。私は元々イベントとかを作る部署にいたのよ。でもね、このゲームのイベント作るのってホント大変なのよ。よくあるような『武道大会』を企画しようと思っても、まずNPCに適当な理由で神託を出して、スポンサーになるためにキャラクターでゲームに入ってNPCと交渉して、会場は隔離空間でなんとかなるんだけど、王政だから王様の許可も要るし、それを進捗状況の違う50以上のサーバでやらないといけないの。昔のゲームはもっと簡単だったらしいんだけど、コンピュータも人間以上に思考するし、ゲームがすごくなった分、イベントひとつ作るのも、調整に次ぐ調整でホント大変なのよ!」


 あれ?

 もしかして地雷を踏みました?


「それなのに、あの嫌味ったらしい副主任ったら『君は本当に調整が下手だねえ。せっかく男ウケする顔してるんだから、もういっそゲームの中でコンパニオンでもしたらどうだい』とか言うのよ! 私は(自主規制)じゃないってのーーー! 優秀なのに優しくて紳士な主任の爪の垢でも飲みやがれって話よ!!」


 お姉さんがヒートアップしていきます。


「保存されてるデータも単純な構造じゃないのよ。稼働しているゲームで運営が直接できることって、ユーザをゲームに接続できないようにするくらいじゃないかしら。そらから落とす『裁きの雷』も魔法攻撃扱いだし。神様みたいなものっていうか、立場的にはホントに神様ね。VR規制法も厳しいし!」


 ストレス溜まってますね。

 ゲーム作るのって大変なんですね。


「で、私は考えたわけ。ゲームの中での調整が難しいなら、ゲームの外にイベントを作ったら良いんじゃないかって! どう? 賢いでしょ?」


 それでこのイベントですか。


「主任だって、『ま、まぁ、100万人に1人ならそんなに影響もないかな……。でもあんまり無茶はしないでね』って賛成してくれたんだから」


 お姉さんの口真似くちまねが、お母さんが変なことを言ったときのお父さんにソックリです。きっとその主任さんは、良い人なんでしょう。


「ボーナスポイントは余った分は消えちゃうの。だから、余らせたりしないで欲しいの。私の作ったイベントで、このゲームに爪痕を残して欲しいのよ!」


 爪痕とか言われましても……。


「もちろん貴方のキャラクターだし嫌々受けることはないわ。すでに色々強引に推しちゃった気もするけど、ゲームもこのイベントも楽しんで欲しいのはホントよ。私は、配属も変えられちゃって、もうイベントは企画できないから、これが最初で最後のイベントだけど、そんなことは気にしないで良いから……」


 お姉さん、重いです!

 気にしないでって、気になります!!

お読みいただきありがとうございました。

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