第007話 能力値とスキルの説明を聞きます
よろしくお願いします。
「次はボーナスポイントの割り振りね。ボーナスポイントを使って、能力値を上げたり初期スキルを取得するのよ。いわゆるキャラクターの個性を決める作業ね」
「また、特典があるんですか?」
「もちろんあるわよ!」
「……特典って何個あるんですか?」
「全部で5つね。あと3つだけど、最後の2つはオマケみたいなものだから大きな特典はこれで終わりね」
◇
「まず、能力値について説明するわね。ボーナスポイントを割り振れる能力値は7つ、【体力】【魔力】【筋力】【頑丈】【俊敏】【器用】【幸運】ね。まあ、だいたい意味はわかるでしょ? ゲーム中には、この他に【生命力(HP)】【精神力(MP)】【気力(SP)】なんかがあるけど、これは種族や能力値から自動的に決まるわ。逆に【幸運】は、ゲーム中だと隠しパラメータとして見えなくなるの」
「なんで【幸運】は見えなくなるんですか?」
「理由は二つあって、一つはリアルっぽくするためね。現実だと筋力とかは数値化できても、運の良さって数値化しにくいでしょ。サイコロの6が出るのが運が良いってわけでもないし、電車が遅れたおかげで事故に合わなかったなんてこともあるわけだし」
それなら【器用】とかも数値化しにくいような気がするんですが。
「……そんな顔しないでよ。わたしも微妙な理由だと思うわ。たぶん、もう一つ理由の方が大きいのよ。もう一つの理由なんだけど、ゲーム中で悪いことをするとペナルティとして【幸運】がかなり下がるのよ。例えば人に怪我させたり、物を盗んだりとかね。ゲーム中でも見つかれば犯罪者として扱われるけど、見つからなくてもペナルティはつくわけ。で、ゲーム中で罰金払ったりして罪を償っても、下がった【幸運】は元に戻らないの。良い行いをすれば上がるけど微々たるものだから、もし【幸運】の値が他人から見えちゃうと、罪を償ったのに元犯罪者ってわかっちゃうわけ。だから【人物鑑定】でも絶対に見えないように、ステータスから表示自体を消してるわけね。全年齢対象だし、罪を憎んで人を憎まずってやつよ」
うーん?
わかるようなわからないような?
ホントは「その方が面白いから」なんて単純な理由なんじゃないでしょうかね。
◇
「次はスキルの説明ね。スキルにはアクティブスキルとパッシブスキルがあるわ。注意しなくちゃいけないのは、他のゲームで言うところのアーツみたいな技とか、魔法の呪文、例えば【火魔法:火の玉】みたいなのも全部アクティブスキルってことね。あと、アクティブスキルだけでも魔法は撃てるけど、パッシブスキルの【火魔法の才能】があれば威力は上がるわ。【遠距離攻撃の才能】なんかは弓でも魔法にでも効果があったりとかね」
なかなか難しいですね。
「レベルアップしても、スキルを取得するようなポイントは入らないし、ゲーム中だとスキルは基本的に行動によってしか習得できないのよ。剣を振って剣のスキルを覚えるとか、魔法の巻物を使って魔法のスキルを覚えたりとかね。だからキャラクター作成では、ゲーム中に習得しにくいスキルを取得する人が多いわね」
ナツがキャラクター作成は時間がかかるって言ってた意味がわかりました。普段こういうゲームはやらないので、何をどう選んだら良いかサッパリわかりません。
「他の人はどんな風にボーナスポイントを割り振ってるんですか?」
わからないことは聞いた方が良いですよね。
「そうね……、能力値はレベルアップで上がるし、装備とかでも強化できるから、能力値には全く割り振らない人が多いわ。スキルを取得する方が能力値を直接上げるより、お得ってのもあるしね。例えばエルフなら【魔力】を1上げるのに2ポイント、【筋力】なら4ポイント使うの。でも、【魔力強化】も【筋力強化】も5ポイントだから、スキルが育てばこっちの方が効果は高くなるわけ。だから能力値には振らずに、絶対に欲しいスキルとゲーム中で習得しにくいスキルだけを取得する傾向にあるわね。習得しにくいスキルはボーナスポイントも多く使うから、能力値に割り振る余裕がないってのもあるけど」
話を聞く限り、能力値に割り振るのはもったいない気がしますね。
「能力値に振るのは、個性の演出って感じかしらね」
なるほど……。
もしかして、こんな説明を聞けるのが一番の特典じゃないでしょうか。
「通常のボーナスポイントは50から99の間でランダムなの。だから、種族とボーナスポイントをどっちも良いのを出そうとすると大変なのよ。で、そのボーナスポイントが、特典でなんと999!」
え?
「なんと999ポイント!」
えええ?
「全部じゃないけど、これならかなりの数のスキルを取得できるわ! 種族やクラスも実はオマケみたいなもの! この企画のホントの特典はこれなのよ! さあチートキャラになるのよ! これはスゴいわね! やったわね! 私ホントにエライ!」
お読みいただきありがとうございました。