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運は剣より強し! ハルの気ままな生産生活  作者: おでんのたまご
第2章 ジェプロの世界にようこそ
20/25

第019話 夕飯を食べながら話を聞きます

よろしくお願いします。

 4月22日火曜日です。


 今日も、夕飯を食べながらナツの『ジェプロ』トークを聞きます。


 ネットのサイトから情報を集めるだけじゃなく、学校でも休み時間のたびにクラスの友人たちと『ジェプロ』の話をしているそうでネタが豊富です。なぜか生産についての話が多いのですが、いつも冷たい時間クールタイム群衆モブなど、専門用語が多くてよくわかりません。今日のテーマは『調理スキルや食事』のようですが、とりあえず『満腹度は実装されていないけど、無限に食べれるわけではない。まったく食べなくても問題はない』ということだけわかりました。姉としての見栄もあるので、いつも頷いて聞いてはいるのですが。


「姉ちゃんは、どこまで進んだ?」


「今は、サンストの街にいるよ」


 この質問には胸を張って答えられました。


「へー。結構進んだんだ」


 といってもイチストの街からポータルで移動しただけですけどね。


「オレはもうヨンストの街だよ!」


 わたしとナツは、家から5分くらいのところにある中学校に通っています。ナツも帰宅部なのですが、家に帰ったらすぐ『ジェプロ』にログインして、コツコツとゲームを進めているみたいです。


「サンストの街で土地を買おうと思ったんだけど、マイホームがないとダメみたいなの」


「あー。あれね。なんかロクストの街で特殊なクエストを受けなきゃいけないんだよね。土地が買えないからサンストの街ってまだプレイヤーに何のメリットもないんだよね。オレも素通りだったし」


 特殊なクエストですか。

 ロクストの街について終わりじゃないんですね。


「海外のサーバで、もうロクストの街まで進んでるところがあるんだけど、騎士団とかロクストの街の各ギルドにマイホームを入手するためクエストがあったって書いてあったよ。ハウジングは人気だし、挑戦してる人多いみたいだけど、マイホームを手に入れたって書き込みはまだ見たことない」


 先は長そうですね……。


東日本うちのサーバは、まだロクストの街にはいけないの?」


「うーん。クラスにゴーストの街まで進んでるやつがいるんだけど、まだまだ時間がかかりそうだって」


「そうなんだ……。でも、海外のサーバでロクストの街まで行ってるところがあるんでしょ? そんなに進み方が違うの?」


「なんか、ロクストの街の前の迷宮ダンジョンのモンスターはこれまでの迷宮ダンジョンよりもかなり強いだけじゃなくて、毒攻撃もひどいらしいよ。それで死に戻りまくりだって言ってた」


「毒……。魔法とかアイテムでなんとかならないの?」


「『ジェプロ』の毒消しって、品質が悪いと飲んでも毒が治らないときがあるんだよ。それにクールタイムもあるし、味も悪いし。ロクストの街まで進んでるサーバは、回復職が多かったみたいで、それでなんとか乗り切ったんだって」


東日本うちもそれでなんとかならないかな?」


「回復系のスキルの習得ってまだわかってないんだよ。たぶんそういうクラスにならないとダメなんだろうって話なんだけど。新しくキャラ作るにも、回復職はボーナスポイントをほとんど使うし、ソロだと育てられないし、今のキャラをデリって作るのは厳しいよ」


 そういえば、運営のお姉さんもそんなことを言ってましたね。


 ◇


「そういえば、海外のサーバでも『ロクスト』なの?」


「あー。それね。サーバによって街の名前って違ったりするから翻訳サイトとかだと『6番目の街』って書いてあるよ。日本の攻略サイトでも、『6番目の街』か『お城の街』みたいな呼び名で書いてあるのが普通かな」


「ふうん。そんな呼び名があるんだ」


「うん。イチストは『冒険の街』だし、順番に『商人の町』『農業の街』『職人の街』『港の街』、それでロクストが『お城の街』」


「じゃあ、ゴーストの街には港があって、ロクストの街にはお城があるのね。……でも、なんでマイホームのクエストはロクストの街なのかな?」


「それは、あれじゃないか?」


 お父さんが話に乗ってきました。


「その6番目の街は『お城の街』なんだろ? 国の首都ってことなんじゃないか。現実でも観光と移住では違うだろ? 異世界からの旅人に住む家を与えるためには手続きが必要だろうし、直轄地ということで、そういった機能を街のギルドに与えてるんじゃないかな」


 橘家うちでは、夕飯は揃って食べます。

 去年の年末からずっと忙しそうだったお父さんも、最近は土日に会社に行こともなくなり、夕飯までには帰ってきてくれます。お母さんのご機嫌に直結するので、とても大切なことなのです。


「そうかも! 父さんスゲー!」


 ナツが何やらお父さんを褒めています。さすがわたしのお父さんです。


「そ、そうか?」


 ははは、と照れて笑うお父さん。それを見てるお母さんもご機嫌です。


「父さん、雑誌の記事か何かで読んだんだが、『ジェプロ』の世界は半年ほど前に邪神によってモンスターが増えたり、街道が封鎖されたりして、それに対抗するために善神が異世界の冒険者を『旅人』として招いたんだろ? でも、それまでもモンスターはいたし、冒険者もいた。プレイヤーがまだ行けないところでも、NPCあっちの住人なら行けるんじゃないかな? 街道が封鎖される前は街の行き来はできただろうし、1度行った街ならポータルで移動できるから、NPCあっちの住人はプレイヤーがまだ行けない街とも行き来してるんじゃないか?」


 ◇


 夕飯を終えて部屋に戻ってきました。

 今日は、夕飯前に宿題もお風呂も済ませてあったので、昨日よりも早くログインできます。


 夕飯のときのお父さんの話を聞いてアイデアが閃いたのです。


 ゲームの中あっちにも冒険者がいるんですよね。その人たちを雇って、ロクストの街への攻略に参加してもらうのはどうでしょうか。プレイヤーこっちの冒険者は長い人でもまだ三ヶ月ですが、ゲームの中あっちのベテラン冒険者なら、すっごく強いんじゃないでしょうか? そういう人たちに攻略に参加してもらえれば、すぐにロクストの街にも行けるんじゃないかと思うのです。

お読みいただきありがとうございました。

帰ってくるのが遅くなってしまいました。

もし待っててくれた人がいましたら、更新が遅くなってごめんなさい。

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