エピローグ〜君とともに〜
何とか完結させることができました!
今回は前回に続き、若干コメディ風味になっております。
思い出したくもない、俺の恥ずかしい宣言の後、俺と舞は付き合うことになった。
あとで聞いた話だが、あの時舞の記憶が戻ったのは、ヴィンカのお人好しだけが理由だったわけではないらしい。
ヴィンカは、舞の記憶を消す時、一つの誓いを立てていたそうだ。
その誓いというのが、
『もしも舞が、自分の力だけで一部でも記憶を取り戻したときは、すべての記憶を返還する。』
というものだったらしい。
そして、あの場所の記憶も故意に残したのだという。
というのも、かつてある死神に負け、見逃してもらう代わりに義務付けられたそうだ。
結局、自業自得じゃないか。
それでも、記憶を取り戻したのは舞だけだったらしいが。
つまり、悪魔であっても俺達の邪魔はできなかったというわけだ。
俺たちの愛の力をなめんなよ!?
すいません!調子のってました!
だからそんな冷たい目で見ないでぇぇぇぇええええ!
さて、冗談はこのくらいにして、近況報告と行きますか。
舞が事故に遭ってから約五年が経った。
プロポーズじみた事を言ってしまった手前、中途半端なことはできず、必死に努力した結果、それなりに有名な大学に入ることができた。
そして、内定をもらい、卒業を目前に控えた冬の日。
俺は一世一代の大勝負に挑むことにした。
なにかって?
プロポーズに決まってるじゃないか!
確かに似たようなことはしましたけどね、こういうことはきっちりしないと、と思うわけですよ。
というわけで、俺は今あの場所にいる。
やっぱ新しく始めるにはここだよな。
「おーい、タケルー。そろそろ時間だぜー。」
あぁ、そうそう、ヴィンカの奴は相変わらず俺に憑いている。
どうやら俺と舞はこいつに気に入られてしまったらしい。
あのころは知らなかったが、こいつは人の目に見えなくなることができるらしく、契約した俺と、記憶のやり取りをした舞以外には見えなくなっている。
「おーい、聞いてんのかー。」
「あぁ、聞いてるよ。」
さて、そろそろ行きますか。
「ヴィンカ、舞を連れてきてくれ。」
「オッケー。」
舞はヴィンカに任せとけば安心だし、あとは待つだけだな。
街の明かりを眺めながらしばらく待っていると、ヴィンカと舞がやってきた。
俺の隣に舞が立ち、その少し後ろにヴィンカが控える。
この五年間変わらなかった俺達三人の関係。
それに今、わずかな変化を与える。
あー、緊張してきた…。
「舞、あのさ、そのー…。」
ちらりと舞を見ると、わずかに首を傾げて、いつも通りの笑顔で俺を見ている。
ヴィンカは必死に笑いをこらえているであろうことが手に取るように分かる。
…なんだ、緊張してんの俺だけかよ。
あー!もういい!
どうせ格好良くなんてできないんだ。
だったらいつもどおりでいいじゃないか!
「舞、約束する。これから先何があっても、俺がお前を守ってみせる。だから、これからもよろしく。結婚しよう。」
…………。
…ん?なんだ、この空気は?俺なんかまずった?
「猛、違うよ。」
へ…?
「猛が守るのは私だけじゃないよ。この子も守ってよね?」
舞はそう言って、いつくしむように自分のおなかを撫でた。
「え…、それって、もしかして…。」
「三か月、だって。」
まじかよ!?
すげー、うれしい!
「そっか!なら、お前たち、だな!」
「おーい、俺も忘れんなよー!」
「「ヴィンカは黙ってろ(て)。」」
「うわー、ひっでー!」
こんなやり取りをしながらも、三人とも笑っている。
こんな毎日が続いてくれればそれでいい。
ヴィンカと、
これから生まれてくる子供と、
そして舞、
君とともに。
処女作でしたが、何とか完結させることができました。
楽しんでいただけたなら幸いです。
ありきたりなうえに、文章、内容含めておかしなところが多々あったと思います。
ご指摘等ありましたら感想を頂けるとありがたいです。
今後とも我が拙作をよろしくお願い致します。
それでは、またお会いする日まで…。