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龍とわたしと裏庭で  作者: 中原 誓
第3話 魔女とわたしの黒魔術編

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過去への扉4

 朝食が終わった後、わたしとなっちゃんで後片付けをした。


 途中から航太も加わる。


「あっちの二人は、何かの打ち合わせをしてるぞ」

 と、航太。

「圭吾さんが留守中の注意事項だと思う」

 わたしは、拭いたお皿を航太に渡しながら言った。

「いつもの事よ。圭吾さんは過保護なの。自分がいない時は、必ず悟くんにわたしを預ける」

「じゃあ、ちゃんと面倒見てもらってるんだな?」

「なぁに? 航太まで」

「航太も過保護なのよ」

 なっちゃんが言った。

「暗くなったら駅まで迎えに来るし、男の子と電話で話してたら『どこの誰だ』ってしつこいし。しーちゃんの事だって、帰って来てるかどうかいつもチェックしてたよ」

「余計なこと言うなよ」

「夏休みに、しーちゃんが毎日一人でどこに行くのか、後をつけたこともあったわよね?」

「心配だったんだよっ!」

 意外な話に、わたしは目をぱちくりとさせた。

「しーはおとなしいし、あんまり自分を見せねぇだろ?」


 全然知らなかった。


 今までのわたしは自分の殻に閉じこもるのに精一杯で、誰かの思いやりとか優しさに気づきもしなかったんだ。

 心を開けば、いつだって孤独じゃなかったのに。


「航太、ありがとう」


 素直な気持ちで言えた。


「ああ。結局、しーはとんでもねぇ奴に取られたようだけどな」

「圭吾さんは、とっても優しいわよ」

「ありゃ、食わせ者だと思うぞ」

「その意見に異論はないよ」

 キッチンの入口から悟くんが口を挟んだ。

「しづ姫、圭吾が出かける」

「はぁい」


 圭吾さんは、ビジネススーツ姿だった。


 わぁ ステキ。


 いかにも大人っぽくて、頼りがいがありそうに見える。


「さっきも言ったけど、二、三時間で戻って来るから。外出しちゃダメだよ」

「分かった」

「悟の言うことをちゃんと聞いて」

「もう! わたしは幼稚園児?」

「保育園児だ」

 圭吾さんはそう言って、わたしの唇にサッとキスをした。


 圭吾さんのバカ。


「じゃ悟、後は任せた」

「了解!――ああ圭吾、これは司兄貴から」

 悟くんは腕からブレスレットを外して圭吾さんに投げた。

「朝早くから僕が母に書き置き書いてるのを見て、それを二つくれたよ」

「これはこれは。帰ったら礼を言わなきゃ」

 圭吾さんはそう言って、ブレスレットを手首につけた。


 悟くんの腕にもまだ一つある。


 白い石のブレスレット。


 よくある貴石の玉をつなげたようなブレスレットだけど、いったい何の石?




「ねぇ悟くん、そのブレスレット何?」

 圭吾さんが出かけた後、悟くんに訊いてみた。

「羽竜の地所で採れる石だよ。僕らの力は土地に根差しているからね、他所(よそ)に来ると力が弱まるんだ。でも、これをつけてると、かなりマシになる。兄貴は他所(よそ)の土地に出かけることが多いから、いくつか作らせたみたいだね」


 へぇ。


「まぁ何にしろ、圭吾に任せときゃ心配いらないよ」

「うん」

「さてと、これから何したい?」

「ちょっと荷造りしたいの。ここを出るときは、ずっとあの家に住むとは思わなかったから」

「OK 手伝うよ」


 キッチンからなっちゃんと航太が戻って来た。


「しーちゃん、わたしここで勉強していい?」

 なっちゃんが言う。

「どうぞ」

 なっちゃんは、カバンを取りに家に戻った。

「君のお姉さんってマイペースだね」

 悟くんが航太に言う。

「ああ、いいだけ天然だよ」

 航太は苦笑いを浮かべた。

「しーも天然だけどな。おまけにガキだし」

「誰がガキよっ!」

「彼氏にだまされんなよ」

「しづ姫じゃ、圭吾には歯が立たないよ」

 悟くんが肩をすくめた。

「だろうな……」


 そこで意気投合なのっ?



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