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龍とわたしと裏庭で  作者: 中原 誓
第3話 魔女とわたしの黒魔術編

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黒い影3

 依然、親父との連絡が取れない


 圭吾さんは続けて休めるように、少し無理して仕事を片付けてくれている。

 あれから奇妙な影は現れなかったけど、やっぱりわたしは圭吾さんと寝てる。

 ホントにただ一緒に眠るだけ。時にはキスもするけれど。抱き合って眠ってはいるけれど


 いいのかな、これで?


 圭吾さんの部屋でテレビを見ながら考えていると


「何、難しい顔してるの?」


 圭吾さんが横に座ってわたしの頬にキスをした。


「世界における日本の立場について考えてるの」

「お笑い番組見ながら?」

「そうよ」

「で、本当は何考えてる?」

「圭吾さんの中におけるわたしの立場について」

「婚約者だよ」


 即答された。


「奇遇だね。僕も時々志鶴の中における自分の立場を考えるよ?」


 わたしはちょっと考えてから答えた。


「圭吾さんは大切な人」

「どのくらい?」

「誰よりも」

「じゃ、君を抱いて愛していい?」


 それって、それって事?


 わたしはギョッとして圭吾さんを見た。


「まだ無理みたいだね」

 圭吾さんは、天気の話でもするようにさりげなく言う。

「興味はある? どんな感じかな、とか。それとも怖い?」


「分かんない」

「その答はズルいぞ」

「えーと、ちょっと怖い」

「僕が相手でも?」


 わたしは圭吾さんの目を見た。


「怖くない」


 圭吾さんは手を延ばして、わたしの頬から首をスッと撫でた。


「ここにキスしたい」


 そんなこと?


「いいわよ」


 そっと抱き寄せられた。

 圭吾さんの髪が肌をくすぐる。


 唇が触れてすぐに、わたしはとんでもない事を許した事に気づいた。

 圭吾さんは、ゆっくりと貪るようなキスをわたしの首筋に浴びせた。

 馴染みのない感覚に驚いて身を引こうとしたけど、ますます強く引き寄せられただけ。

『もうやめて』って言おうとした時、軽く肌を噛まれた。


 身体が熱い。


 どうしていいか分からない。


 圭吾さんがやっと顔を上げた時、わたしは小刻みに震えて口もきけない状態だった。

 膝の上に抱き上げられて、あやすように優しく髪を撫でられて、少しずつ気持ちが落ち着いていく。


「嫌だった?」


 圭吾さんが優しく訊く。


 首を横に振る。


「大変だった?」


 コクンとうなずく。


「かわいそうに」


 その言葉とは裏腹に、圭吾さんは微かな笑みを浮かべた。


「でも、慣れてもらうよ。絶対にね。そのつもりで」



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