表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍とわたしと裏庭で  作者: 中原 誓
第2話 宿題は難題な夏休み編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/171

実践デート 3

「〈鬼の首塚〉って本当に鬼の首が埋まってるの?」


 テレビ局の人達が入院している病院へ向かう車の中で、圭吾さんに訊いた。


「実際は違うよ。古い地霊が封じられている。神社の龍神より古いものだ」

「悪い霊?」

「善くも悪くもないよ。ただ古いものはたいていそうだが、生き物の力を取り込んで大きくなろうとするんだ。心に弱い部分があると引き込まれてしまう。だから封じている」

「引き込まれたらずっと眠ったまま?」

「普通の人間はすぐに目が覚めるよ。問題は中途半端に霊能力のある人間で、能力が首塚の地霊に癒着しやすい。そのまま同化してしまう事もある。そうなれば助けられない」


『助けられない』とどうなるんだろ。


 聞くのはためらわれた。


「圭吾さんは大きなものを背負っているのね」

「ああ。だから志鶴は僕を助けてくれ」

「どうやって?」

「ずっと僕の側にいて」

「分かった」


 いるわ。

 ずっと ずーっと 圭吾さんの側にいる。



 病院に着いて、お巡りさん二人と入院病棟へ向かった。

 圭吾さんは病室へ入って行ったけど、わたしは缶コーヒーを一本渡されて、一人で看護士詰め所の前の椅子に座らされた。


 つまんない。


 缶コーヒーをちびちびと飲みながら心の中でぼやく。


 お仕事だから仕方ないけど、確かに後で埋め合わせしてもらわなきゃ割に合わないわ。

 缶コーヒーを飲み終えるとすることもなく、ぼんやりと目の前を行き交う人達を眺めた。


 遅いなぁ 圭吾さん


 わたしは後ろの壁にもたれかかって目を閉じた。



**********



 ――志鶴


 暖かい手がわたしの頬を撫でる。


「志鶴、起きて」


 いつの間にか、うとうとしていたらしい。目を開けると圭吾さんがいて、わたしは両手を伸ばして圭吾さんの首に抱きついた。


「お仕事終わった?」

「今日のところはね。ゴメンね、飽きただろう」

「うん。ちゃんと埋め合わせしてね」


 ――って言ってから


 ここ家じゃなかったよな~と気付いた。


 圭吾さんの肩越しにお巡りさんと目が合った。


 えっ? あら

 どうしてそっちが赤面するの?


「そいつを見るな」

 圭吾さんが不機嫌そうに言って、わたしを自分の体で隠してしまった。

「じゃ、もう行くから」

 圭吾さんがお巡りさんに言う。

「明日また来てみるよ」

「おい圭吾、俺には絶対紹介しない気か?」

「必要ないだろ」

「他の兄弟はみんな紹介されてるのに?」

たくみには会わせてないぞ」

「会ったって俺に自慢してた」

「志鶴?」


 圭吾さんがわたしをジロッと見下ろす。


「悟くんのお兄さんの巧さんの事?」

「そう」

「悟くんと遊んでる時に偶然に。一度だけ」

「聞いてない」


 だって言ってないもの。


「悟が一番自慢してるよ。自分は友達だって」

「悟はいいんだよ。僕から友達になってやってくれって頼んだんだから」


 わたし知ってる。

 圭吾さんが陰では『友達』じゃなくて『子守』って言ってるの。


「だいたいお前の家には優月ゆづきが嫁に行くんだからそっちに構え」

「優月ちゃんは兄貴の嫁だろ」

「志鶴は僕の嫁だ。構うな。話しかけるな。見るな」


 見るなって……


「噂通りの過保護っぷりだな」

「僕の勝手だろ。それにお前が一番信用ならない」

「なんでだよ。俺は警官だぞ」

「志鶴みたいのがお前のタイプだと思ったけど。素直で従順、子供っぽくて可愛い系――直球ど真ん中だろ?」


 あら、また赤面?

 図星だったのかな。


「志鶴」

「はい?」

「彼はかなめ、悟の二番目の兄貴だよ。絶対に近づくな」


 んー 引ったくりにあった時も?


 軽口たたきかけたけど、圭吾さんの剣幕がすごいんでやめておいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ