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龍とわたしと裏庭で  作者: 中原 誓
おまけの圭吾編6

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メッセージ

さらにゴールデンウィーク

『ゴールデンウイークは、君の好きな所へ行こう』


 確かに僕はそう言った。



「何むくれてんの」


 従弟の悟がニヤッと笑って言った。


「どこで判断ミスをしたのか考えてたんだ」


 僕はムスッとして答えた。


「どうしてお前と大輔と美月ちゃんを連れて歩く羽目になったのか、ね」


「お気の毒様。でもほら、しづ姫は楽しそうだよ」


 僕の少し先を歩いている志鶴は、後輩の美月ちゃんとはしゃぐように喋ってる。

 すぐ側ではもう一人の従弟、大輔が、かなり天然な女の子達の会話にツッコミを入れていた。


「自分が一気に年くった気がする」


 僕はぼやいた。


「まあまあ。行きたい場所が水族館でよかったじゃない。動物園だったら大変だったよ?」


「まあな」


 確かに、僕の特別な力のせいで虎だのライオンだのが逃げ惑う姿なんて、志鶴には見せられない。


「それはそれで見物だったかもしれないけどね」


 悟は茶化すように言った。


 それにしても、あの二人は目立つ。

 小花柄のシンプルなワンピースを着た美月ちゃんは誰もが振り向くような美少女だし、レースをたっぷり使った紺のワンピース姿の志鶴は、まるで着せ替え人形だ。

 まだまだ坊やな大輔じゃボディーガードにならないらしく、二人の女の子はあっという間に五人組の若い男に囲まれてしまった。

 急いで側に近づくと、志鶴は手首につけた黄色いバンドを男達に見せていた。


「わたし達デート中だから」


 志鶴が言っている。


「志鶴」


 僕が呼ぶと、志鶴はニッコリと笑って僕の腕の中に飛び込んで来た。

 睨むまででもなく、男達はパッと散った。


「大輔、これくらいの仏頂面見せなきゃ」


 と、悟。


 大きなお世話だよ。


「これ、着けて来てよかった」


 志鶴が手首のバンドに触れた。


「何それ?」


「友達にもらったの」


 黄色いシリコンでできた、バンドタイプのブレスレットだ。赤い字で何かメッセージが書いてある。


 志鶴の手を取ってよく見ると――




   『売約済』




 僕は笑って志鶴を抱きしめた。




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