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4月5日(木) 夕方

「4月5日木曜日、夕方のニュースです。本日未明に○○市の高校で、11人の生徒が首から上を切断された遺体となって発見される事件が発生しました。警察は、同高校の生徒である一条渚(16)を殺人及び、死体損壊の容疑で逮捕、拘束しました。今日の昼ごろ、一条容疑者から警察に『家の机の上に今朝殺害された生徒の遺体の一部があった。』と通報がありました。警察が詳しく現場を調べた結果、誰かが一条容疑者の部屋に侵入し、遺体の一部を遺棄した痕跡などは認められず、一条容疑者が自ら遺体の一部を持ち込んだものであると断定されたため、一条容疑者逮捕となりました。一条容疑者は、警察の取り調べに対して、意味不明な証言を繰り返しており、残りの10人の生徒たちの遺体の一部の在りかや、犯行に至った動機など、詳しい事件の真相などは未だ分かっていません。それでは続いてのニュースです。」


テレビから延々と垂れ流される、無機質なアナウンサーの声が嫌になってボクはテレビの電源を消した。

渚が捕まった…

最初に聞いた時は信じられなかった。だが今のニュースで、『渚が逮捕された』という現実を嫌というほど深く突き刺された。ボクは膨れ上がる後悔と、自責の念で息がつまり、体が千切れてしまいそうだった。

「ボクが昼間の電話で渚に通報するように言ったからだ……」

「ケイ君は悪くないよ。あのときは、ああするのが正しかったよ。」

柊はボクそう言ってくれるが、それも今のボクにとっては、息苦しさが増すだけだ。

「ねぇケイ君――」

「ゴメン柊、今日はもう帰ってくれ。」

柊が必死になってボクを励まそうとしてくれているのはよく分かる。だが今のボクにとってそんな励ましは気休めにもならない。ただ息苦しさが増して、つらくなるだけだ。

「ゴメンね、ケイ君。また明日。」

それだけ言って柊は帰って行った。


柊が出て行った後の部屋の空気は重く淀んでいた。

ボクは大きくため息をついて、自室に戻った。そしてまっすぐベッドに倒れこんだ。しばらく、渚との電話の時の会話を思い出しながら天井を眺めていると、睡魔が襲ってきた。そのまま目を閉じると、ボクはあっという間に眠りの中へと引きずり込まれていった。

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