7. 惹かれ合う二人
私の王子様。
どんなに願っても届かなかった。
ただ、あなたに振り向いてもらえることが、私のすべてだった。
アレクシス様は、とても優しい。
月に一度開かれる王太子とのお茶会を、私はいつも心待ちにしている。
私が言葉を発することができなくても、アレクシス様は微笑み、どんな勉強をしたのか、剣術の先生がどれほど怖いのかを、ぽつぽつと話してくださる。
そんな静かな時が流れるのが、私はとても好きだった。
そして、アレクシス様が歳を重ねるほど、かつて愛した王子の面影に近づいていく。
その姿を見るたび、胸がキュンとする。
私だって、アレクシス様に話したいことはたくさんある。
今日あったことも。
勉強で褒められたことも。
そして何より、あなたに会える日をどれほど楽しみにしていたのかも。
けれど、いざ口を開こうとすると、
「かふ……かふ……」
と、喉から空気が漏れるだけだった。
伝えたいのに、言葉にならない。
そのもどかしさに、思わず唇を噛む。
するとアレクシス様が、「どうしたの?」とでも言いたげに、優しい瞳で私を覗き込む。
その顔を見た途端、今度は頬まで熱くなった。
結局、私は何も言えないまま、ただ小さく微笑むことしかできなかった。
好きです。
王子様。
♡❖♡❖♡❖♡
マリーナは、とても可愛い。
僕が目を向けると、頬を染めて微笑みを浮かべる。
僕の話も、いつも興味深そうに聞いてくれる。
王妃になるための勉強にも、熱心に取り組んでいるそうだ。
僕との結婚を心待ちにしているとも聞いた。
僕も、マリーナを守るために。
そして彼女にふさわしい男であるために、一生懸命頑張っている。
マリーナは、歳を重ねるほど美しくなっていく。
その姿を見るたびに、僕は目を奪われる。
最近では、マリーナに目を向ける男がいることにも気づくようになった。
そのたびに、胸の奥がざわつく。
マリーナが美しいことは嬉しい。
けれど、その美しさを誰かに見つめられるのは嫌だった。
彼女は僕の婚約者だ。
いつか僕の妃になる。
そう思うと安心するのに、それでも足りない。
もっと近くにいたい。
その手に触れたい。
特別でありたい。
そして、いつか彼女の声で僕の名前を呼んでほしい。
僕が「好きだ」と伝えれば、マリーナも同じ言葉を返してくれる。
そんな当たり前の恋人同士のように、愛を囁き合ってみたかった。
マリーナの笑顔も、視線も、声も。
できることなら、全部僕だけのものにしたかった。
マリーナ、愛している。
君の笑顔も、視線も、声も。
全部、僕のものだ。
……本当は、僕にも話してほしい。




