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『人魚姫〜あの恋はあった。大切だった。でも私はこの先も生きていく。』  作者:


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16/17

16.♡❖その後❖♡

あの断罪劇のあと、国王と王妃は涙を流して喜んだ。


二人は、隣国の皇子レオンがマリーナに急接近していたことを把握していた。

そしてその頃から、アレクシスは目に見えてやる気をなくし、勉強も執務もまるでしなくなっていた。


そこで二人は思い出したのである。


もともとのアレクシスは、ただの怠け者だった。

マリーナがいたからこそ、王太子として相応しい人間になろうと頑張っていただけなのだ。


さらに、アレクシスが生まれた後、王妃に子どもはできなかった。

王妃を溺愛していた国王は側妃を迎えることもなく、王位を継ぐ者はアレクシスしかいない。

なんとか更生してもらわなければならない。

二人が頭を抱えていたところへ、あの断罪劇である。

マリーナが戻ってくる。

それはもう、渡りに船とばかりに二人は喜んだ。


マリーナは、この国にとってもかけがえのない存在だったのである。


とはいえ、さすがに何もなかったことにはできない。

体面上、アレクシスとマリーナには一か月の謹慎が申し渡された。


けれど、その一か月の間にも二人はせっせと手紙を送り合い、今まで伝えられなかった気持ちを互いに打ち明けていた。


どうやら手紙では、ずいぶん盛り上がっているらしい。

そのくせ、いざ顔を合わせると二人揃って真っ赤になる。

そんな姿は、なんとも微笑ましいものだった。


♡❖♡❖♡❖♡


サリーは修道院へ送られた。


とはいえ、サリー自身はマリーナを追放しろとも、処刑しろとも言っていない。


少しばかり嘘をつき、

「マリーナ様にこんなことをされました」

「また狙われるかと思うと、怖くて仕方ありません」

と、涙ながらに訴えていただけである。

その後の大騒ぎは、ほとんどアレクシスが勝手に拗らせた結果だった。


それでも、アレクシスはしっかり根に持っていた。


「サリーは、まるで聖女のようであった」

アレクシスは、もっともらしく頷く。

「ならば国の安寧のため、その身を神に捧げ、祈りを捧げてもらうのが一番だろう」


なんとかかんとか理由をつけ、サリーを修道院へ押し込めたのである。


♡❖♡❖♡❖♡


レオンは、まさか自分が振られるとは思っていなかったらしい。

失恋の傷心もあってか、早々に留学を取りやめ、そのまま国へ帰っていった。


♡❖♡❖♡❖♡


そして、あの純愛劇を目の前で見せられた一同は――萌えた。


誰もが二人への庇護欲を掻き立てられ、

――この未来の国王と王妃は、我々が見守らなければならない。

いつの間にか、そんな使命感まで抱くようになっていた。


王太子妃の座を夢見ていた貴族令嬢たちでさえ、あの二人の純愛に胸を打たれ、いつしか応援する側へ回った。

子息たちは、意外にもヘタレだった王太子に妙な親近感を覚えたらしい。


こうして残り二年間の学園生活は、多くの仲間たちに囲まれた、二人にとってかけがえのない時間となった。


四人の姉たちも、それぞれ有力貴族との婚姻を結んだ。

やがてアレクシスの御代は、歴史上でも稀に見るほど安定した治世となる。


誰もが、どこか同じことを考えていた。

――この国王と王妃は、我々が守らなければ。


♡❖♡❖♡❖♡



コポ……。コポ……。


私は、海に戻ってきた。

アレクシスに、自分がかつて人魚姫だったことを打ち明けると、彼は驚くほどあっさり信じてくれた。

そのうえ、海の近くに別荘まで建ててくれた。


やっと、海に戻れた。


白い砂浜には、王子が立っている。


私だけを見つめながら。


今度は、私を見失わないで。


今世の人魚姫は、四人の姉妹と王子に囲まれ、幸せに暮らしましたとさ。


〜END〜

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