16.♡❖その後❖♡
あの断罪劇のあと、国王と王妃は涙を流して喜んだ。
二人は、隣国の皇子レオンがマリーナに急接近していたことを把握していた。
そしてその頃から、アレクシスは目に見えてやる気をなくし、勉強も執務もまるでしなくなっていた。
そこで二人は思い出したのである。
もともとのアレクシスは、ただの怠け者だった。
マリーナがいたからこそ、王太子として相応しい人間になろうと頑張っていただけなのだ。
さらに、アレクシスが生まれた後、王妃に子どもはできなかった。
王妃を溺愛していた国王は側妃を迎えることもなく、王位を継ぐ者はアレクシスしかいない。
なんとか更生してもらわなければならない。
二人が頭を抱えていたところへ、あの断罪劇である。
マリーナが戻ってくる。
それはもう、渡りに船とばかりに二人は喜んだ。
マリーナは、この国にとってもかけがえのない存在だったのである。
とはいえ、さすがに何もなかったことにはできない。
体面上、アレクシスとマリーナには一か月の謹慎が申し渡された。
けれど、その一か月の間にも二人はせっせと手紙を送り合い、今まで伝えられなかった気持ちを互いに打ち明けていた。
どうやら手紙では、ずいぶん盛り上がっているらしい。
そのくせ、いざ顔を合わせると二人揃って真っ赤になる。
そんな姿は、なんとも微笑ましいものだった。
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サリーは修道院へ送られた。
とはいえ、サリー自身はマリーナを追放しろとも、処刑しろとも言っていない。
少しばかり嘘をつき、
「マリーナ様にこんなことをされました」
「また狙われるかと思うと、怖くて仕方ありません」
と、涙ながらに訴えていただけである。
その後の大騒ぎは、ほとんどアレクシスが勝手に拗らせた結果だった。
それでも、アレクシスはしっかり根に持っていた。
「サリーは、まるで聖女のようであった」
アレクシスは、もっともらしく頷く。
「ならば国の安寧のため、その身を神に捧げ、祈りを捧げてもらうのが一番だろう」
なんとかかんとか理由をつけ、サリーを修道院へ押し込めたのである。
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レオンは、まさか自分が振られるとは思っていなかったらしい。
失恋の傷心もあってか、早々に留学を取りやめ、そのまま国へ帰っていった。
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そして、あの純愛劇を目の前で見せられた一同は――萌えた。
誰もが二人への庇護欲を掻き立てられ、
――この未来の国王と王妃は、我々が見守らなければならない。
いつの間にか、そんな使命感まで抱くようになっていた。
王太子妃の座を夢見ていた貴族令嬢たちでさえ、あの二人の純愛に胸を打たれ、いつしか応援する側へ回った。
子息たちは、意外にもヘタレだった王太子に妙な親近感を覚えたらしい。
こうして残り二年間の学園生活は、多くの仲間たちに囲まれた、二人にとってかけがえのない時間となった。
四人の姉たちも、それぞれ有力貴族との婚姻を結んだ。
やがてアレクシスの御代は、歴史上でも稀に見るほど安定した治世となる。
誰もが、どこか同じことを考えていた。
――この国王と王妃は、我々が守らなければ。
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コポ……。コポ……。
私は、海に戻ってきた。
アレクシスに、自分がかつて人魚姫だったことを打ち明けると、彼は驚くほどあっさり信じてくれた。
そのうえ、海の近くに別荘まで建ててくれた。
やっと、海に戻れた。
白い砂浜には、王子が立っている。
私だけを見つめながら。
今度は、私を見失わないで。
今世の人魚姫は、四人の姉妹と王子に囲まれ、幸せに暮らしましたとさ。
〜END〜




