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我らが王、今日も命を繋ぐ。

作者: 西山春登
掲載日:2026/07/10

逃れられぬ死の恐怖、迫りくる絶望。


皆様はご存知だろうか。ある王の血塗られた備忘録を。


王とは民の声に耳を傾け、寄り添い、国を導く……または戦場を駆け勇猛果敢に敵国を退けるなど、

皆様の王の理想像はさまざまだ。


しかし、我らが王はその(いず)れにも含まれない孤高の王だ。


なぜ我らが孤高の王は、これほどまでに過酷な運命を背負わねばならないのか。



政務を放棄した暗君か、と問う者もいるだろう。否。

近隣諸国を蹂躙する暴君か、と疑う者もいるだろう。それもまた否。



彼はただ、狂気の宮殿に囚われ、終わりのない『死の遊戯』を強いられているのだ。


ある時は、壁の両側一帯が鋼の針で覆い尽され、徐々に迫る絡繰り(からくり)の処刑部屋。


またある時は、頭上から無数の石が雪崩のように迫り、眼下に煮えたぎる灼熱の業火の板挟み。

王が頼れるのは、たった一枚の薄汚れた木の板のみ。


民衆を虐げた罰か、

いかなる暴政の報いか、

あるいは他国の人質としての悲劇か。


その謂れは定かではないが、王はその悪魔のような宮殿に囚われ続けた。


そんな王宮だ。多分過去の歴代の王達はいずれも老衰や病気で逝去されていないことは想像に難くない。


だが、奇妙なことに我らが王は生き延びている。



後世の歴史家たちは、文献に残されたその「生存の原理」に頭を抱えることになる。



……文献によれば、絶体絶命の窮地に陥るたび、

彼は王たる者の威厳や体面などもはや見る影もなく「ヘルプ、ヘルプ」とひどく情けない声を上げ続けたとされる。


すると、何処からともなく「石版」が現れ、

石板に描かれたさまざまな紋様を並べ替える謎の儀式を行い、

同じ紋様が三つ連なった時、小さな奇跡が起き王の窮地は一時的に快方に向かったとされている。


なぜ石版を揃えるだけで水が引くのか。瓦礫や地獄の業火は消えていくのか。

そして、なぜ王は自ら動こうとせず、他力本願なのか。


……その真実は、現代を生きる我々にもわからない。



まあ、かつてそんな過酷な運命を辿った王もいたのだ。と長い歴史の中の一片として覚えておいてくれればいい。


……あっ、長々と語ってしまい誠に申し訳ない。


わたしもそろそろ、日々のポイ活のために、この王の記録とも言うべき「広告動画」を消化しなければならない時間のようだ。

今宵の語りはこれまでとしよう。

最後まで付き合ってくれた諸賢(しょけん)に心より感謝する。



いつもダウンロードしようか、ギリギリのところで踏みとどまって、結局どんなゲームか知らずじまいです。


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