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16 異界の門の不可思議

 キラは各国を廻って魔石持ちを探そうと思った。

オイビーのような子供は絶対にまだいるに違いない。

魔力の多い場所に生れると言う事は異界の門のある場所に生れると言うことだ。

【儂は、六十年を掛けて各地の異界の門を研究して廻った。弟子の為でもあったが、何よりダイダロスという偉人に憧れていたのじゃ。異界の門は地脈に沿って作られておった。魔力が地の底深くに潜っていてそれを吸い上げて利用している。地脈に沿っていないあの場所に造るため儂は自分の身体を使ったのじゃ。】

ゼロはダイダロスの作った異界の門をを真似して、師匠の土地に異界の門を作ったんだ。

師匠の敷地内に魔力が溢れると言うことが無かったのは、そのせいだったのか。

 異界の門を廻ってみるのが先かも知れない。異界の門の近くにはきっと魔石持ちがいるに違いない。

「後どれくらいの異界の門がある?」

【三カ所だ。全部で五カ所あった。大陸の各場所に散らばっておる。】

「そこに転移出来るかな。」

【・・異界の門の転移陣からじゃないと行くことは出来ないと言っただろう。おい!使えないとか言うなよ!】

一瞬また愚痴を言いそうになったが、ゼロに機嫌を壊されるのは困る。仕方がないから、キラはダイダロスの異界の門へ転移し、そこの入り口の転移陣からまだ入っていない異界の門へ行くためにゼロに転移して貰った。


【ここは最北にある異界の門じゃ。ここには国は無い。人は殆ど住んでいないはずじゃ。】

人が住んでいない場所に造っても魔石持ちが生れないじゃ無いか。キラの予想は間違っていたのだろうか。だがゼロが、

【地脈をバランス良く吸い上げなければ、一カ所から吹き出しすぎるのじゃ。北の異界の門はそのバランスをとる役目をしている。だから、ここは他の異界の門と違って、魔物は余り居ない。だが面白いぞ。】

最北の異界の門の前は凍り付くような寒さだった。

キラは急いで門をくぐった。

くぐった途端、キラは間違った場所に来て仕舞ったのかと思った。

そこは広い砂漠になっていた。太陽まであった。灼熱の砂が何処までも続いている。偶に小さなトカゲやサソリのような虫が居る程度だった。ここには階層が無い。この砂漠だけだそうだ。

【ここの転移陣は砂の中に隠れているんじゃ。見付けるのは至難の業じゃ。儂が教えてやろう。階層は無いが砂漠の違う場所に移動出来る。】

ゼロの言うとおりに足下の砂をかき分けると丸い大きな石に転移陣が刻まれていた。その転移陣からさらに転移すると、確かに雰囲気の違う砂岩のある場所に変わっていた。

【転移先にはオアシスや、海岸や、岩山などがあってな。魔物が居ない静かな場所ばかりじゃ。わしはここが大層気に入っておった。良くここへ来たものじゃ。】

キラにはここの良さが伝わらなかった。余りにも不毛だ。

「もっと愉しいところなら良かった。これじゃあ詰らないな。魔物も少ないし。戦うこともドキドキもしない。」

【何を言うか、この良さがわからんとは。では、この先に洞窟がある。そこを見ればびっくりするぞ。】

また転移して洞窟の中に出た。

洞窟の奥に綺麗な泉がこんこんと湧いていた。その泉は輝いていた。

「これは若しかして魔力の源泉?」

【そうじゃ。この魔力の源泉はここに留め置かれておる。外には出ない。だから魔物が少ないのじゃ。各地の魔力が下がればここから送り出され、多くなればここに魔力が送り込まれて溜まっていく。儂の作った異界の門へも引きたかったが、バランスを崩すのが怖くて出来なかった。】

「不思議な仕掛けだ。ここでバランスをとっているというのがよく分かったよ。」

キラは少しだけ魔力の源泉を瓶に詰めて持ち帰った。

【次は、この間行った、オルンスの異界の門へ行くぞ。】

オルンスの異界の門は高い山の頂上にポツンと建っている。峻険な岩山には人は来ることが出来なそうだ。ヒマラヤのチョモランマのような場所だ。

万年雪が少しづつ解けて滝や川になりやがては大河に合流して行く。

【ここは五階層しか無い。最下層までは直ぐに着ける。行ってみようか。】

一階層は石壁だった。一般的な迷路のようになっていた。ゼロの道案内が無ければ迷っていただろう。魔物がしょっちゅう出てきたが、戦う必要は無い。結界に触れて皆消えて仕舞うのだ。殆どが魔獣だ。コボルトや、スライムやイノシシ、熊などだった。

「素材が欲しかったら魔石を狙うんだけど。これらは余り欲しくないな。」

【全く、お前は。魔獣にケチを付けるとは。まあ、次からは良いのが出てくるかもな。】

最下層まで来てみたがめぼしい魔物は居なかった。しかし最下層は今までとは違って森の中になっていた。やはりここにも太陽があった。深い森がずっと続いている。木の上にキラキラとした物が飛び交っている。

キラはそれを狙って闇の属性の細い槍で狙い撃ちしてみた。コロンと小さな魔石が落ちてきた。ビー玉くらいの大きさだが、密度と純度がとんでもない高さだ。もう一度よく見てみると。羽を生やした人型。まるで妖精のようだ。だが顔は、口が耳まで裂け、牙が鋭く醜悪極まりない。

妖精の魔物なのだろう。試しに生け捕りして、魔石を撃ってみると羽根が残った。これを無限収納に納めて、また妖精の魔物を三十数体倒して魔石を収納した。

【キラ、この魔石を同化したら、立派な魔法使いが出来上がるぞ。どうだ、ここは面白かっただろう。ここにしか居ない魔物だぞ。】

「うん、良い収穫だ。ありがとうゼロ。取り敢えずこれを師匠の所へ持っていってあげたい。きっとまた王様に嫌がらせを受けているよ。助けてあげたいんだ。」

キラは5個の魔石の雑味を取リ去った。闇の属性が多く入っていた。

しかし光の属性も入っている。魔物にしては珍しい。

【これは光の属性も多く持っている珍しい魔物だ。元は森に住む妖精だったのだろう。この世界には居ない種属だ。異界の門というのは正しく異界と繋がって異界の事物が取り込まれているのじゃ。儂はそこまでは研究できなかったがな。】

ゼロは昔のことを懐かしむように次々と話してゆく。

何時もは頭が痛くなって直ぐに無限収納に入れてしまうキラだったが、今のゼロを見て居るとそんなことは出来なかった。黙ってゼロの話に耳を傾ける事にした。

【儂の師匠は、このオルンスの生れじゃ。300年以上前にここの山の麓の村で生れ神殿に神官として仕えておった。当時はこの国は魔石持ちは大変珍重されていた。この国は特に多く生れていたしの。だが魔石持ちには、闇の属性が濃く入ってもいる。闇に落ちる者が後を絶たなかった。神殿で神官が賢者を目指していたが、闇に落ちた神官は神殿の信用を落としてしまった。今、この国が異常に魔石持ちを警戒しているのも無理のないことが沢山あったのじゃ。キラよこの山の麓に儂の師匠の生れた場所がある。山を下りるのは大変じゃが、行って見てはくれぬか。】

キラは「分かった」と行ってゼロをその村のあったと言う場所まで浮遊魔法で降りていった。









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