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10 転移の魔法

「ゼロ、転移の魔方陣を見せて。」

【ほれ、今頭に浮かんだのが、基本の魔方陣じゃ。次が場所に固定されている物じゃ。そして・・】

「ちょ、チョット待って。早すぎて書けないよ!」

【何!お前の頭は特別製じゃろう。記憶できるはずじゃ。何を書く必要がある?】

確かにそうだけど、今は描きたかったから記憶していなかった。ゼロにもう一度見せて貰って記憶した。考えてみれば書く必要は全くなかった。この頃殆ど本を読む時間が無くて、調子がおかしい。自業自得だが忙しすぎる。

お金は寄付した側から増えているが、使う閑など無かったし、未だに冒険者ギルドの二階でお世話になっている。

ダイダロスの街に来て、一年になろうとしている。

初心者では無くなって普通の宿に移らなければならなくなった。ここに居れば直ぐに問題に対処出来て便利だったからつい長居をしてしまった。

次々と新人冒険者が来るのだ。お金があるのに新人のための慈善施設にいるのは、辞めないとダメだ。

「どうしようかな。宿は近くの宿にしたとしても、このままダイダロスにいるのは迷惑が掛かるかも知れない。」

段々異能者と言われる魔法使いが増えて来て、カマドランが怪しみ始めているらしい。

自国の秘技が、漏れてしまって、然もダイダロスの方が技術が高いという評判が立つようになっている。

偶に他所の国から冒険者と称して来ている者が見受けられる。彼等は自分も異能者になりたいから、秘技をしてくれと言うらしいのだ。

一度も秘技などと言った覚えは無いのに。

彼等はカマドランから来た貴族に違いない。

そろそろ潮時かも知れない。早く転移の魔法を完成させて、師匠の所へ行って同化の真理を教えてまたどこかへ旅をした方が良いのかも知れない。

キラがいれば、ここにも迷惑が掛かりそうだ。

 転移の魔法は、拠点から拠点へ移動する。

キラは拠点の魔方陣を見てこれは頭に浮かんだ場所にも応用できると直感した。試しに頭に浮かんだダイダロスの、異界の門へ転移してみた。

「出来ちゃった。」

今度は、自室を思い浮かべて基本の転移陣を思い浮かべると戻る事が出来た。

「よし、後は皆に相談してこれからの後始末と身の振り方を決めよう。」


「キラはここを出て行きたいのか?俺達が嫌になったのか?」

サムが子犬のような目で見てくる。ガンザも、厳しい顔をしてキラのことを見て居る。ギルド長は、どうしたら良いかとオロオロしていた。

「僕は、ここに居れば皆に迷惑が掛かると思って。カマドランが気付き始めている。だから、カマドランへ行って師匠に会ってこようと思っている。」

魔法鞄の作り方はもう教えてあるから、大丈夫だ。同化も神殿がやってくれるだろう。キラはもうここに居る必要は無いと思っていた。

「俺達の友情は必要無いという訳か。」

「そんなことは言っていない。皆に迷惑が掛かれば、以前のようなことになるかも知れない。折角ここまで盛り返したギルドが、また誰も居なくなったら、今までやってきたことが水の泡じゃないか。」

「そんなことはどうでも良いんだ。ギルドは無くなったところで死ぬわけじゃない!」

これを聞いてギルド長が慌てた。

「おい、なんてこと言うんだ。ギルドのことはもっと考えてくれよ。」

「ギルド長は、黙って居て下さい!キラのおかけでこうなれたんだ。キラを見捨てて言い訳が無い!何があってもキラを守ってやる。」ガンザが吠える。

ギルド長が、そうだなと言って静かに頷いた。

「もし、カマドランが来たとしても何も言えるはずは無いんだ。キラが独自に考えた物だから。反対に彼奴らはキラを捕まえて技術を探ろうとしていると思う。キラはそれでも良いのか?」

「問題ないよ。初めから教えに行こうとしてたんだ。聞きに来るなら丁度良い教えてあげるよ。只、皆に迷惑が掛かるといけないから自分から行ってくるんだ。」

「何処までお人好しなんだか。」

「こんな事は言いたか無いが、お前は利用されて籠の鳥になるかもな。」

ギルド長とサムが次々に暗い未来を言い始める。

だが、もうキラを閉じ込めることは誰にも出来ないのだ。キラには新しい力が備わったのだから。

「みんなには言って置くけど、ここが落ち着いたら直ぐに帰ってこれるんだ。今は黙って見送って欲しい。領主には黙って出て行くけど、直ぐに帰ってこれると話しておいて欲しい。」

「カマドランは大陸の反対側だぞ。無理なことを言って!誤魔化すにも、もう少し旨くやれよ。」

「もう!本当なんだ。見て居て。」

キラは転移して、直ぐに戻って見せた。

「お前今消えていなかったか?」

「今草原まで行ってきた。ほら、薬草採ってきた。」

「・・これはなんていう魔法?」

「転移さ。異界の門にあるのと同じ物。自分用に開発したんだ。」

キラはまさかこんなに皆に慕われていたとは考えていなかった。

これから各国を回って同化の仕方を教えて行きたいと考えていたから、ここには帰ってこないつもりだった。だが、彼等がショックを受けているのを見て考えを変えた。偶には近況報告に帰ってこようと。




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