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9 神殿の役割

「キラ、商業ギルドがまた来ていたぞ。隠しておくのも限界だ。」

「またかぁ。もうそろそろ商業ギルドへ登録しないとな。ギルド長、保証人になって下さいよ。」

「良いけどよぉ、俺なんかが保証人になっても信用してくれないぜ。領主様なら確実だ。頼んでやるから、そうしな。」

まだ未成年のキラは如何しても保証人がいないとダメなのだ。

領主の保証人は直ぐに受入れられたので、商業ギルドに登録出来た。

 商業ギルドには、特別な魔物の革で鞄を作って貰い、時間遅延と容量拡大を付けた最高級の魔法鞄を売ることになった。かなりの高額だ。それでも商人には飛ぶように売れていった。今までカマドランから買っていた商人達は、それ以降カマドランの鞄を買わなくなってしまった。カマドランは大陸の反対側に位置している。魔法鞄を仕入れに行くには、二ヶ月掛かる旅をしなければならない。それでも仕入れる量は限られるのだ。自国の領で作られると言うことは、今までよりも格段に利益が上がるのだ。

 キラは以前お世話になった商会長の事を考えて、申し訳なくなってしまった。

この国だけのことなので、そんなに影響は無いと領主に言われて少しホッとした。だったら、この国特有の魔物が素材として使えるため、魔道具ももっと作ってみても良いかもしれない。

オーガの素材を、防具にしたり、ローブにしたりと忙しい。その他にもガーゴイルの魔石の加工もある。偶にカマロが来てその作業をみて行くこともある。カマロには光の属性がないので手伝う事が出来ないと嘆いていた。ルマロなら出来そうだ。

「ルマロさんなら出来るんですが、彼は時期領主ですからね。こんな事をしている閑は無いですね。」

「そうなんだ。丁度良く行かないもんだ。光の属性持ちが沢山居るのにこの作業には力が足りないんだな。」

「そうです。かなり魔力と光のレベルが高くないと無理ですね。」

人の命に関わる魔石の加工は神経を使う。

この頃は異能者になりたい子供が増えて、試験をして選別しないと間に合わなくなっていた。

料金は後払い制なので、皆我先にと申し込んでくるのだ。

その為冒険者の識字率が格段に上がった。今まで馬鹿にされていた冒険者だったのに途端に人気の職業に躍り出てきた。


そんなある日神殿で何時ものように、祭壇で無心になっていると、神殿の神官がキラの祈りが終わるのを待っていた。

祈り終わって振り向くと、キラに神官が相談があるという。別室で話を聞くことになった。

「実はキラ様に、私を異能にして貰いたくてお願いすることにしました。」

聞けば彼は孤児院出身で、今年一四歳だという。まだ神官見習いだが、この先もここで神官を続けて行きたい。薬師の仕事もしているが、出来るなら治癒の魔法が使いたい。と言う事らしかった。

キラは盲点だったと思った。神殿こそ必要な魔法では無かったか。キラは快く受入れた。

ガーゴイルの魔石から総ての属性を抜き取ってしまい、キラの光を限界まで入れた。純粋な光だけの属性の魔石が出来上がった。

これなら絶対に身体の副作用が無いだろう。目に入れても大丈夫だ。

神官に直ぐに同化させて術後の経過を見たが、良好だった。

カマロにも手伝って貰って、神官の教育をした。あっという間に使い熟して仕舞った。気を良くして他にもやってみたい神官はいないかと聞いたら、巫女が3人手を上げた。神官も後2人やりたいという。

「女性の場合、目に入れるのは抵抗はありませんか?」

「全くありません。是非御願いいたします。」

これだけの光の属性が揃えば、魔石の加工がはかどるのでは無いか。もし今キラが居なくなってもここは大丈夫になるのでは無いか。

そして、同化の手技も教えておけば、キラはいつでも出て行くことが出来る。

キラは神官や巫女に次々に魔石を同化していった。

誰も、拒否反応も起こさずに同化した。彼等はカマロの指導を受けて魔力操作を覚え、治癒の魔法を使えるようになった。この後もう少し馴れてきたらキラが、同化の手技を教えれば、カマドランと同じ神殿の役割を熟すようになるだろう。いや、カマドランよりも一般に開かれた神殿になれることだろう。

 キラは、こんな神殿を各国に作りたいと思った。

未だに間違った同化をしている場所が他にもあるかも知れない。

あの、魔法使いのように独自に実験をして可哀想な子供達を犠牲にしているかも知れない。

そしてキラのように、見過ごされた生まれつきの魔石持ちが迫害されている国があるかも知れない。それを考えると、無性に飛び出して行きたくなるのだ。

「君は忌避される存在では無いのだ。」

と苦しんでいる同胞に教えてあげたいのだ。



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