過去13
不思議に思った俺はその日、家に帰って両親にこの話をしてみた。
「子供の時にそんなことしてたのか。もう行くなよ。あそこは普通に危ないぞ。だから子供には立ち入り禁止にしてるんだからな。」
「わかってるよ。それで、地図見ると近いとこには村があるけど、他に人が住んでるとこってあるのかな?」
「ないだろ。見ろ。山だけだ。大体隣の村だって隣って距離じゃない。本当に誰かと遊んだのか?こんなとこで待ち合わせて?この町の誰かじゃないのか?」
「違うと思う。帰りが川を向こうに渡って山に入っていってたし。」
「狸か狐に化かされたんじゃないかね。」
「そんなこと。」
「あの山で化かされたって話は昔あったらしいしな。」
「豪勢な料理だと思ったら葉っぱだったってやつ?」
「いや、男が山に木を伐りに行ってたら、怪我して道に迷ったって美人がいてな。家に連れ帰って結婚して子供もできたんだけど、ある日一家そろって行方不明になったって、まあよくある話だ。」
「普通に引っ越したんじゃないの?」
「そういう時代じゃないんだよ。それにその嫁が絵にかいたような良妻賢母だったもんで、きっと妖怪だっつって話になったんだろうよ。」
「じゃあ俺が遊んだ人も妖怪だって?」
「そんなの知らん。ただお前らが待ち合わせてたってとこの隣にある別の山な、あそこは他の山より高いだろ?昔から神さんがいるとも言われてた。だから入っちゃいけないって言われてたんだ。罰が当たるってな。まあどちらにせよもう行かない方がいい。どっちにしたって危険だしな。」
少しだけ大人になって、とうとう会えるかと思っていたヨーコ姉ちゃんの手掛かりは、ついには消えてしまった。
もう手掛かりになりそうなものなんて・・・。




