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女の子ばかりの旅、これってハーレムなのかな?


王都へ戻る道すがら、街へ寄ってみた。

どうやら温泉があるらしいから、みんなの疲れが癒せるんじゃないかって。

みんなも賛成してくれたから、まずは街に寄ってから王都に行くと言うことに。


街はなかなか活気があって、みんな楽しそうに買い物をしたりしてる。

ミアは豪快に串焼きを頬張っている。

…ミアって貴族のお嬢様じゃなかったっけ?

……まあいいんだけどさ。

エリンとベルはお揃いのアイテムを探している様子。

キャスは殆ど目にした事が無いらしく、どれを見ても珍しそうにしている。

あれ?レティーシアが居ない?

周囲を見回すと、レティーシアは浮かない顔で人混みから外れていた。

俺は不思議に思ってレティーシアに近付いて声を掛ける。

「どうした、何かあった?」

レティーシアは俺の声にハッとして目を合わせて、言葉を返す。

「あ、御免なさい。何でも……あ、いいえ、これからの事を考えていたの。」

「王様の事?」

レティーシアは俺に微笑みながら返答した。

俺を不安に合わせないようにしてくれてるのだろう。

俺を洗脳したかもしれない王様だけど、大勢の人の中が俺を冷たい目で会話してくれなかったけど、王様だけが普通に会話してくれたこともあって、今一悪い人と思えない。

でもレティーシアの言葉は確かに的を得ていた。

「心配で……私達が勝てるのかなって。」

王様との会話にもよるけど、もし戦闘になったら、王様の側近や兵とかも敵になるだろう。

今までと違って人数が桁外れなんじゃ?

しかも今までと違って相手は人間だ。

戦うしか無いとしても、俺は全力で戦えるのだろうか?

そういうことを考えていたら、一人で物珍しそうに店を回っていたヴァルティアが俺達に近付いてきた。

「不安そうだな。」

レティーシアも俺も頷く。

「もしもの時、人間を自分の手で殺すことになるんだなぁって。」

俺は今不安に思った事を返した。

「……セートは既に人と戦っている。魔族も形は違えど人だ。」

「あっ……」

ヴァルティアの言葉で気付かされた。

そうだ。

魔族なんて呼んでるけど、属性が違っただけで人、だったんたよな。

確かに攻撃してきたのは向こうだけど、それでも人を手にかけた事は否めない。

「まあ…我々も誤解があって人間に手を上げたのだし、そこは仕方ない。セート達に反撃されなければ、我々が人間を確実に殺していただろう。」

ヴァルティアは気を遣ってくれたんだろう。

ほんの少しだけだが憂いが無くなった。

「おーいみんな、温泉に行こう!」

買い物が終わったらしいミアが、手を振りながらみんなを呼んだ。

みんなも用事は一段落付いたようで、ミアの元に集まってから温泉へ向かった。



温泉は簡素な造りで、脱衣場と、石造りの湯船だけで。

当然だけと男女は別々だ。

俺は一人だから、ちょっと寂しい。

でも隣の女湯から楽しそうなみんなの声がしてくる。

「みんな、お疲れー。何だか大事になったよね。」

いつの間にかミアが女子のリーダーっぽくなっているっぽいな。

みんなに労いの声を掛けている。

「そうね、こんなことになるとは予想も付かなかった。」

エリンの声だ。

「ねーっ!変身が出来るなんて、ちょっと楽しいよね!楽しんでる場合じゃないけど。」

ベルが続く。

「変身は神の神業では無いでしょうか?」

キャスは神に支える職業なのかな?

そう言えばキャスに初めて会った時に祈ってた事を思い出した。

「そうだろうな。私は闇の神を当然信仰しているが、こんな手段で人をパワーアップさせるなど、神以外には考え付かないだろう。」

闇の神を語るヴァルティアは得意気だ。

それぞれの属性の神が居て、例えば闇の神を表す『黒』の色がヴァルティアを初めとする魔族の髪と瞳の色になっている。

ミアは赤い髪と瞳で火属性、エリンは緑の瞳に緑の髪の風属性。

ベルは青い髪と瞳の水属性。

キャスは茶色の髪と瞳の土属性。

それから…レティーシアは衣装こそ黄色だけど、髪は金色で瞳は青い。

放つ魔法が金色だから光属性で間違いないらしい。

そして、俺は、白い衣装に変身するから聖属性と言われている。

髪と目の色は日本人らしい黒髪黒目だ。

色で言うと闇属性になりそうだけど、日本人の色だから仕方ない。

確かに使う魔法の色は白かったし。

みんなと話して教えてもらった。

この世界では当たり前の事らしいけど、俺はこの世界に来て何も教えてもらえなかったから、この世界の普通を知らなかったし。

……って思いに耽っていたら、水飛沫が上がる音が女湯の方から聞こえて我に返る。

「おっきいわよねー。」

って声が聞こえて、女湯の方へ耳を澄ます。

だって思春期だもん。


「みんなおっきくていいなー。」

やはり…胸のことだよな。

大きさを羨ましそうな言葉は、控え目な胸囲のミアによるものだ。

「ミアさんは形が良いと思うわよ。」

エリンがフォローするようにそう返した。

「んー、でもやっぱり、みんなみたいに、おっきくなりたい!栄養は足りてるはずなのに、何でかなー!?」

ミアが地団駄でも踏んでるのか、バシャバシャと水を叩くような音が聞こえる。

「揉むといい、とか言うよね。私とエリン、よくふざけて揉み合いっこしたりしたし。」

ベルの言葉に想像してしまう。

「揉み合いっこ……///」

俺の呟きは小さいから、さすがに向こうには聞こえてないだろう。

「え、そうするとヴァルティアも誰かと揉み合いっこしてたの?」

ミアの「揉み合いっこ」の声に思わずゴクリと唾を飲む。

「私はそんな風に誰かと馴れ合った事は無い。」

苦笑気味にヴァルティアがミアに答えた。

良かった、ヴァルティアもみんなと仲良く出来てるようだ。

「じゃあ、揉んでも意味無いのですね。」

キャスは本気でしみじみと口にしてる。

あ、あれ?レティーシアの声がしない。

「れ、レティーシアってそっちに居ない?」

大声で俺は女湯に向けて女の子達に尋ねる声を上げた。

キャーッ!と女湯は悲鳴になった。

「せ、セート!聞こえてた!?」

「こ、声しか……内容は聞いてない!」

ついていい嘘だと思った。

「そ、それで、レティーシアは居る!?」

……ん?シンとなった…あれ?

「き、聞こえなかったかな?レティーシアは……」

「ああ、うん。身体だけ洗って先に出たよ。」

「そうか、有難う。」

ちゃんと居たんだ、良かった。

でも一人じゃ危ないから、早く出れる俺が行くか。

湯から出て急いで服を身に付けて、女の子の部屋に向かう。

ちなみに俺は一人部屋で、女の子達は大部屋を使ってる。

女の子の部屋をノックしてみた。

返事は無い。

「部屋に居ないとすれば何処に?」

何だか不安になった。

失礼だけど扉を勢いよく開いた。

「だ、誰も居な……」

誰も居ない部屋には、争った痕跡があった。

「れ…レティーシア…?」

一人で何処か行くとは思えない。

どうしよう…?

困惑してるとみんなが戻って来た。

「ちょ、セート、ここ女部屋よ。」

俺の姿にミアが意見する。

「レティーシアが居ないんだ…。」

みんなが部屋を見渡した。

「一人で出て行くなら、風呂場で言って行くと思う。レティーシアはそういう子だよね。」

ベルの言葉に同意で頷く。

…ん?不意に視線をエリンに向けるとエリンの寝間着、って言うのかな?すっごく胸元が開いてて、誘惑されそうだ…

いかんいかん!今はそれどころじゃない!

「……争いの痕跡があるな……恐らくレティーシアは連れ去られたのだろう。」

「連れ去ったのなら、レティーシアが懸念していた国王では?」

ヴァルティアの言葉にキャスが同意した。

うん、俺もそう思う。

「急ごう!」

旅支度をして俺達は街を出た。

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