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決戦だ!……でも…

黒い魔法に包まれた俺達は、魔法が消えると、大広間のような場所に居た。

「とうとう来てしまったか……」

澄んだ女性の声がかかる。

俺達はそちらに顔を向けた。

彼女が魔王か…魔力の強さを俺でも感じる。

長いストレートの黒髪、同じく黒の瞳。

美人さんだ。

今までの魔族と違って角や尻尾は無い。

「私が造った兵器人形を倒すとは思わなかった。」

「兵器人形?」

「紫の魔法少女、と言えばわかるか?」

成る程、あの紫の魔族、正当な魔族じゃなかったのか。

つい人の形の相手は倒すのに少し躊躇いがあるんだよな。

少しホッとしてしまう。

「また小細工を使われる前に、一撃で仕留めよう!」

魔王は立ち上がると俺達をキッと睨む。

そしてすぐに短く詠唱をすると、俺達にそれを撃ち込もうとしてる!

「みんな!変身だ!」

俺が声を掛けると、レティーシア以外のみんなが同時に歌を歌う。

いつもは省略している風だが、ちゃんと変身バンクが行われているんだ!

俺は自分に言い聞かせるように説明した。

変身が終わると先程の魔王が放った巨大な魔力の塊が俺達を襲う。

みんなは咄嗟に紫の魔族の時に使った歌を歌う。

黒の魔法と俺達の歌がぶつかる。

「くっ…!」

魔王の攻撃を魔法で受け止めたが、衝撃を感じる。

先頭に位置する俺は、歌を歌いながら、みんなを護れるようにと願う。

すると、レティーシアが使うような白い結界が産まれ、俺達を護ってくれた。

防御を気にしないなら更に全力を出せる!

黒い魔法は俺の白の結界に弾かれるように霧散した。

そのまま押し切れば!

「これほどとは…!」

魔王が放った魔法が消えていく。

その時何故か、魔王を庇うようにレティーシアが俺達の魔法と魔王の間に入り、魔王を護るかのように両手を広げた。

危ない、レティーシアが……!

レティーシアにぶつかった俺達の魔法は、レティーシアに吸収されるように消えていった。

みんな魔力が消えて、元の姿に戻る。

レティーシアの行動にみんな動揺してる。


俺はレティーシアに駆け寄った。

「レティーシア!怪我は無いのか!?」

レティーシアの両腕を掴んで、怪我がないか確認する。

「セート…みんな御免なさい…。戦いを見ながらちょっと考えて…一つの仮説が浮かんだの。」

「仮説?」

レティーシアの言葉を待つ。

魔王も何故かレティーシアの言葉を待っているようだ。

「聖女か……聖女ともなると、魔王ですら庇うのか?」

魔王はレティーシアにそう言いながらも、戦おうとはしない。

「魔王……いえ、貴女の名前は?」

「ヴァルティア…」

ん?何か、普通に会話出来そうな?

城の人達の方が会話にならなかったんだよな。

「ヴァルティア、貴女は人間を滅ぼしたいの?」

「っ……!?好き好んでしているわけでは無い…」

ヴァルティアの本質を付いたようだ。

ヴァルティアは強い視線でレティーシアを見る。

「じゃあどうして……?」

二人の会話に俺が加わる。

「魔族を滅ぼそうとしてるのは、人間の方だろう!だから私達は、生きるために戦う!」

決意を籠めた表情で冷たく言い放つヴァルティア。

「そもそも前提が違うのよ。人間と魔族は本来越境しない。いがみ合っても居ないし、何なら仲良く出来る筈なの。」

「聖女、何故そんな事が言い切れる?」

レティーシアの言葉に、ヴァルティアもみんなも「どう言うこと?」と固まっている。

「まだ今は詳しく語れないのだけど、今は信じて欲しいの。それに黒幕もわかったわ。」

「「黒幕?」」

その場にいたレティーシア以外のみんなの声が合った。

「セート、魔王を悪く言ったのは誰?」

「あ、えーと……王様。」

「じゃあ、魔王を倒すように言ったのは?」

「お、王様……」

「最後に……魔族と人間が争ってるとセートに信じさせたのは?」

「王様!」

そう言えば俺がこの世界の仕組みを覚えさせられたのは、王様の言葉だった。

周囲の人がスキルをやたら重視して、レティーシアが俺のスキルを隠してくれなかったら、どう利用されてたかわからなかったんだ…。

「意図的に魔族を滅ぼそうとしたのが国王!?」

ミアは貴族だから王様に会った事もあるのかな?

信じられない、と青くなってる。

「私は勇者召喚のために捕らえられて、無理矢理召喚させられた。王様の息子の第一王子と勝手に婚約させられた。」

「婚約!?」

「ええ。でもそれは他ならぬ王子自信が婚約を解消してくれたので助かったわ。」

「王様は婚約という縛りで私を利用してたの。でも王子には想い合う相手がいたから、王子と協力して王子に私を断罪してもらった。」

「確かに第一王子は良い方だね。」

ミアは第一王子を知ってるらしく、そう言い放つ。

「王子という枷が無くなった私に、王様は無理矢理魔法で私に召喚だけさせようとしたから、儀式と私の魔力がずれたせいで、私はセートからスキルを奪うことが出来たの。」

「そんな…事が……」

エリンが呟いた。

「セートは自分の世界に帰れないの?」

思い付いたベルがレティーシアに尋ねる。

「私の知識の範囲では、帰れないと思う……」

すまなさそうな表情でレティーシアは俺を見た。

「大丈夫だって!本来の世界で俺は死んでたんだし!」

一際明るく笑みを浮かべて、レティーシアに「平気だよ」と言い向けた。

「あの…」

急に不安な顔をしてキャスが言葉を向けて来る。

みんなはどうしたのか?とキャスに注目した。

「国王はレティーシアさんを操る事が出来る程の力があると言うことですよね?」

「……」

レティーシアが俯いてしまった。

そうだ、レティーシアは物凄く強いというのがわかる。

そのレティーシアを操ることが出来る程の強い魔力……レティーシアの結界だって効かないということじゃないか?

それに気付いて俺達はしんとなる。

「国王を倒すと言うなら、私が力になろう。」

ヴァルティアが申し出てくれる。

レティーシアの説明だと、闇の魔法…つまりヴァルティアの魔法は上位の魔法だと言っていた。

レティーシアと俺達、ヴァルティアがそこに加われば、どうにか行けそうじゃないか?

「そう……ね、きっと……」

希望が見えてきたから、レティーシアも微笑んで頷く。


「決戦だ!」とみんなで円陣を組んで「おおーっ!」と声を上げた。



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