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いよいよ魔王城へ

道中会話しながら歩く。

青い髪の少女がベル。

緑の髪の少女がエリンという名前だそうだ。

ベルが魔族に操られ、二人共魔法が使えたので、どうにか村を守っていたらしい。

でも魔族には敵わなくて、ベルが操られて村人を殺そうとしていた。

一度はベルの動きを村人全員で止めて、ベルを鎖で繋いだ。

けどそれまで静観していた魔族がベルに力を与えてしまい、強化されたベルは水の魔法で鎖を凍りつかせてちぎり、再び村人を襲おうとした。

何とか風の魔法でベルを押さえようとしたエリンだったけど、強化されたベルに敵うはずもなく……そこからがさっき俺達が見た光景だったそうな。

ちなみに魔族はエリンが倒されるのを見ると、北の方角へ飛び去ったらしい。

北って魔王城がある方角だ。

魔獣を倒しながら進むと、教会みたいな建物が見えて、人は居ないかと重い扉を押し開けた。

中に静かに佇む茶色の髪の少女が居た。

修道服を着て、シスターってやつかな?

少女は祈りを止めると立ち上がり、俺達に近付いて来た。

「勇者様ですね?」

「はい、俺達の事を知って?」

「大地が教えてくれました。」

そう言えばエリンも「風が教えてくれたの…。」

と言っていたから、属性の魔力か何かがそうやって語ってくれるのか。

俺も慣れたらそういうことが出来るのかな…。

「ですから私もお仲間です。魔王討伐に加えて下さい。私の名はキャスです。土の魔法を使います。」

「俺はセート。勿論力になってくれるなら嬉しいよ。」

キャスと握手をする。

他の仲間も自己紹介をして、キャスを仲間に加えた。



大所帯になってきて、みんなでワイワイしながら歩いてる。

最初一人だったから、随分賑やかになったなぁ。

ふと少女達を見ると……みんな美形だ。

あと……かなり発育が良い。

意識しないように視線をやや上に向ける俺。

「どうしたの、セート?」

俺の行動を不思議に思ったレティーシアが俺を覗き込む。

「あ、いや、ちょっと考え事?」

慌てたから語尾が上がってしまった。

「そう、ならいいけど、調子が悪かったら言ってね。」

そう言ってレティーシアは微笑を浮かべた。

そう、みんな美人だけどレティーシアは中でもずば抜けて美人だ。

レティーシアが実は天使だと言っても信じられるぐらいに。

聖女じゃないならレティーシアは何なんだろう。

戦いが終わったら聞きたいな。

あ、あれ、これ死亡フラグじゃないよな?



休みを取っては歩くで次第に魔王の元に近付いているのを何となく感じた。

これがエリンやキャスが言ってた「教えてもらう」能力なのかな?

何となく肌寒い。

仲間達も不安気な感じに見える……ミア以外。

ミアは何も感じてないのか、変わりなく会話している。

やっぱり天然さんなのかな。

「あっ!この気配は!」

突然ベルが声を上げた。

「ええ、間違いないわ、この感じ!」

エリンも続けた。

「セート、この魔力……」

ベルが言いかけたその時、紫色の魔力の散弾が上から降ってきた。

レティーシアが結界を即座に張ってくれなければ危なかった。

だけど魔力の攻撃は止まらず、レティーシアの結界を怖そうとしているようだ。

俺は変身の歌を歌う。

レティーシア以外のみんなも変身を終えると、ミアの炎が魔法を撃ち落とす。

互いの魔法がぶつかって消える。

人数で押せば勝てそうだ。

みんなでも同じことを考えたようで、一斉に攻撃者へと魔法攻撃を放つ。

それをかわし姿を現した敵の姿がみんなの目に写った。

「あっ……!?」

みんな絶句してしまう。

魔族の証しのような角が額に一本生えているから、彼女は魔族で間違いない。

だが、その魔族の姿は、みんなと同じ『魔法少女の服装』だった。

やはりと言うか、先程の魔法通り、紫色を纏っていた。

「えっ、味方なのか?」

俺は思わず口に出してしまう。

「仲間だ?ほざけっ、お前ら人間は全て皆殺す!」

俺の言葉が気に入らなかった紫の魔族は、歌を歌う。歌を響かせて何重にも膨らんで、一つの大きな魔力になる。

俺は咄嗟に紫の魔族が口にした歌を同じように歌ってみようとするが、何故か酷い頭痛がして歌えない。

「闇の魔法はセートの属性と反発してしまうの!」

俺が歌おうとした時、レティーシアが「駄目!」って叫んでいたっけ。

俺に言ってたのか…。

「じゃあ私らが!」

ミアの言葉に、仲間達が歌おうとする。

「無理なの。闇属性の魔法は上位の魔法。対抗出来るのは、セートと私しか…。」

レティーシアは何度も結界を張り直しながらそう言った。

レティーシアの顔色から、結界が切れるのは時間の問題だ。

その時、魔王城の方から魔獣の大群がこっちへ向かって来る。

やばい…どうすれば…。

魔獣はさすがにレティーシアの結界には入れないようで、攻撃を繰り出してくるがびくともしてない。

歌を重ねる紫の魔族の魔法がどんどん大きくなっていく。

どうせ駄目なら……!

俺は歌を歌う。

レティーシアの心配そうな顔が目に入った。

駄目かも知れないけど、俺は賭けに出た。

俺の魔力が膨らんで、仲間たちに伝わる。

俺の魔法に包まれた仲間たちが、俺の意を組んで、俺の歌に合わせて歌う。

俺の魔法とみんなの魔法が合わさり、大きな一つの魔法へとなり、紫の魔族の魔法と同じくらい大きくなった。

「小賢しい…死ねぇぇっ!!」

大きな紫色の魔法がこちらに繰り出された。

「俺は…みんなの力を信じてる!」

これで駄目なら終わりだ。

レティーシアも変身して歌っているから、結界も無い。

紫の魔法と、俺達の歌がぶつかる。

防御も出来ない状況で、互いの魔法が押し合う。

「くっ……!」

大きな紫色が押してくる。

魔獣は一匹一匹は弱いけど、紫の魔法に呼応して、魔族の力になっているようだ。

その時思った。

ただ歌うんじゃない、心から歌うんだ!

みんなに意思が伝わり、みんな心を込めて歌う。

やがて俺達の魔法が勝ち、紫の魔法を押し返した。

「ばっ、馬鹿な!?」

断末魔の声を上げて、紫の魔族は俺達の魔法の中に消え去った。



「やったね!」

ミアが嬉しそうに声を上げる。

「セート、凄いわ!」

レティーシアが笑顔で俺を褒めてくれた。

「さすが、勇者って感じね。」

エリンが言うと、ベルが頷いた。

「まさか、これほどとは…」

キャスは初めての戦いだったから、歌による魔法の威力を感じていた様子だ。


さて、とうとう魔王にご対面かな?

レティーシアがみんなに治癒魔法を掛けてくれる。

「レティーシア、魔力は平気?」

「全力では戦える力はもう残って無いと思う…」

今の治癒が最後と言うことか。

必然的に結界も無し、と言うことになる。

「一度戻っ……」

言おうとした言葉を遮るように、黒い魔法に全員が飲み込まれてしまった……。





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