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そして伝説へ?俺達の旅は続く!~打ち切りじゃないよ!

「終わった……」

みんなの変身が解けて、俺は膝から崩れ落ちた。

レティーシア以外のみんなも、魔力全開で戦ってくれたから、魔力切れだったり、体力の消耗もあるかな、意識はあるけど倒れ込んでいる。

レティーシアがすぐに治癒魔法をみんなに掛けてくれた。

凄い……全快したのを感じる。

レティーシアの治癒魔法が、金色に輝くエフェクトを放ち、前までと段違いなのがわかる。

レティーシアは女神様だったんだ。

そりゃ聖女じゃないわな。

俺達は静かにレティーシアが話すのを待つ。

「私は、天のお父様・お母様の三女…この地を管轄する、光の女神レティーシア。」

「光の……女神…」

みんな口々に呆然と反芻する。

レティーシアは続ける。

「私が担当しているこの地の異変を感じたから、原因を調べて回復しないとって思ったの。」

「異変?」

「人間と魔族が争っていたこと。」

俺の問いにすぐさまレティーシアは答えてくれた。

「元々人間と魔族は争っていなかったということを……事実だとは私も知らなかった。」

ヴァルティアが少しだけ唇を噛みながら言う。

本来無かった無駄な争いで、仲間である魔族を大半失ったのだから、悔しく思っても仕方がない。

「とにかくこの地を正常に戻さないとと思った私は、人化したの。」

「人化って、人の姿になったって事でいいんだよね?」

ちょっと脳筋なミアが、レティーシアの言葉を拾う。

俺は人化って言葉を知らなかったから、首を傾げてしまう。

「本来神は人に関われないの。関わるためには人の身になるしかなくて。」

「人間になったから、レティーシアは青い瞳だったのか…。」

王様…もとい、敵も金色の瞳に変わった。

本当にあいつは神だったんだ。

「私は人化したから人々に干渉出来るようになったのだけど、能力もまた人になってしまった…。だから本来の力でみんなを助けてあげられなかった…。」

「そんなことないよレティーシア!充分過ぎるぐらい助けられたよ!」

悲しそうに言うレティーシアを慰めるように抱き締めながら、慰めようとするミア。

絵面が美しい!

レティーシアの知識、能力、と色々な凄さは『女神だったから』で全部解決してしまった。

変身中に攻撃されない事も、きっと神様の力だから…なんだ!

「それで、解決したレティーシアは、帰るのか?」

ヴァルティアが寂しそうに言う。

他のみんなも寂しそうだ。

勿論、俺も。

「そうね、私もみんなと居たいけど、お父様にこの状況を見つかってしまったから…。さっきお父様達に助けて貰うので天とここと繋がったから、帰らないと。」

レティーシアの子守唄で親御さんに繋がって、力を貰ったから、レティーシアは見つかってしまった。

俺達の為に……

「泣かないでセート。短い間だったけど、私楽しかったの。経験出来て嬉しかった。」

俺は泣きそうな顔をしてたんだろう、つられ泣きしそうなレティーシアがそう口にした。

「これからセート達はどうするの?」

レティーシアは色々な感情でいるのだろう。

俺は地球で死んで、レティーシアが魂?を引っ張ってくれてここに来た。

もう地球には帰れないし、来てすぐに旅に出た俺には居場所らしい所は無い。

「セート…叶えられる限りで私…。」

辛そうに言ってくれるレティーシア。

だから俺は…

「俺は争いがなくなったこの世界を回ってみたいな!」

レティーシアに元気になってほしくて、俺はつとめて明るくそう言った。

「あ!私も行く!世界の美味しい物を巡る旅、みたいな!」

ミアが着いて来てくれるらしい。

旨い物、いいな!

この世界にはどんな食べ物があるか、殆んど知らないし。

「私達も同行させてもらうわ。村に帰っても、ベルが居辛いしね。」

「私は操られていたとは言え、村人を傷付けたから……」

成る程確かに。

ベルは悪くないけど、傷付けられた人の感情は納得はいかないだろうから。

「ああ、二人が着いて来てくれるなら、心強いよ!」

ミアは貴族だし、恐らく地理や名産なんてわからないだろうから、旅路では二人に案内してもらおう。

「地理は二人に任せるよ。」

「あら、地理だけじゃなくていいのよ♡」

エリンがちょっとだけ胸の谷間を強調させる仕草で俺を覗き込んで来る。

大きめのエリンの胸が更に大きくなって……

「ば、馬鹿!何やってるのエリン!!」

ベルがエリンの胸を正しながら、赤い顔で怒鳴った。

ベルが止めてくれて安心半分残念半分……

はっ、いけない!俺は今どんな顔をしてるんだ!?

鏡が無いからわからないけど、何となくレティーシアを見ると、普通に笑顔だった。

俺に興味が無い?

ちょっとだけしょんぼりする俺。

「私も行かせて貰いますね。私には帰る所が無いので。」

キャスが言う。

「キャスは、あの祠みたいな所は?」

キャスと会った所を思い返した。

「あそこは神に護られし祠。魔族の襲撃を受けて村は壊滅、あそこで祈っていた私だけ助かりました。」

「……済まなかったな…」

それを聞いてヴァルティアがキャスに頭を下げた。

「いいえ、仕返しのようなことを既に私達はしてしまっています。」

キャスが、逆にヴァルティアに頭を下げた。

ヴァルティアが配備したとは言え、魔族の数を壊滅的にしただろう俺達も、本当に申し訳が無い。

「悪いのは王様……あの、あいつだろう!」

エールを送ろうとしたら王様の名前を聞いてなかった事に気付て、ちょっと情けない物言いになってしまった。

あいつの名前なんかいいんじゃん、みたいな空気だったので、みんな気にしないことにした。

「レティーシア様、一つだけ聞いてもいいか?」

「ヴァルティア…様なんて…前と同じ対応をしてほしいわ。」

「す、済まない!」

悲しそうにレティーシアがそう言ったから、ヴァルティアは慌てて謝罪した。

「こほん、あの敵は結局何なんだ?女神であるレティーシアと同等の力がありそうだったが?」

ヴァルティアがレティーシアに問うと、一瞬だけ考える仕草をしたレティーシアは、すぐに口を開く。

「あれは古の神……。今の神々の前の時代の神。旧神々は、魔族を含む闇属性の生き物を悪とし、滅ぼそうとしていたの。」

「成る程、それで闇の者を人間に殺させようとしていたのか。」

ヴァルティアが納得に頷く。

「では、私も皆と一緒に行くか。」

ヴァルティアとキャスもそう言ってくれた。


ワイワイしていてふとレティーシアを見ると、少しだけ寂しそうな顔をしていた。

ダメ元で聞いてみる。

「レティーシアは、一緒に来れそうか?」

レティーシアは黙って横に首を振った。

「本当は人と接触してはいけないから。」

そう言って苦笑しながら答えた。



俺達の目的が決まると、レティーシアが手を振って見送ってくれる。

もしかして、レティーシアが天へ帰るとしたら、もう二度と会えないんじゃ……。

みんなもそう考えたらしく、ミアにいたっては、グスグスと泣いていた。

レティーシアと一緒に旅をする方法は無いのかな……



レティーシアと別れてから数日、街に着いた。

街までは道に、小さい店がポツポツと道に点在していたから、そこで食べ歩きしたりした。

城から、以前歩いたのとは違う方向に旅路を進めていたから、前回の旅とは違う…。


「ほぅら、みんな!これ美味しいよ!」

みんなで市場に来たら、ミアは元気が出ないようで、無理して明るく振る舞ってるのがわかる。

痛々しいと言うか……一番レティーシアと仲が良かったもんな…。

エリンとベルがミアを気に掛けるようにして一緒してる。

「ベルは食いしん坊だから、それだけじゃ足りないんじゃない?」

「そうそう、ミア、もっとそれ山盛りにして!」

会話的には明るい感じがするや……女子は凄い。


「ふむ…これはどうやって扱うアイテムだ?」

「多分……ああっ!?」

何やらアイテム屋を覗いてるヴァルティアと、自分も知らないのに触って破壊してるキャス……弁償出来る金額ならいいな…


「セート、何してんの?」

「セートはボッチが好きなの?」

「それとも、誰かと二人きりで人に言えないことをしたいのかなー?」

「「「なっ!?」」」

ミアとベルが、いつの間にかボッチになっていた俺に声を掛けてくれたが、続いたエリンの言葉のドキドキワードに、三人で赤い顔になり、絶句してしまった。

「どうかしたのですか?」

いつの間にか近付いていたキャスが不思議そうに尋ねる。

ヒ・ミ・ツ、と口に指を添えながらウィンクして見せるエリンの様子に首を捻るヴァルティアとキャス。

でも何かこういうの楽しいよな…

みんなで笑ってから、最後はため息が出てしまう。

短い旅だけど、こんなにもみんなに存在感って言うのかな、そういうのを感じていた。



旅に出てから一週間。

魔獣は出るけど、さすがに魔族は襲っては来ない。

魔獣は知性を持たないから、魔族と和解しても敵対してくるそうだ。

すぐに俺達は歌って変身する。

もう慣れたもんだ。

その油断が招いたのかな。

日本のゲームに出て来るミノタウロスみたいな魔獣に、斧による真空波で吹っ飛ばされてしまった。

「い、いってぇ……」

レティーシアの結界に慣れてた俺は、久し振りの痛みを感じて苦悶する。

「セート!!」

「キャアアアッッ!!」

俺が飛ばされたのを動揺してか心配してか、慌てて俺に近寄ろうとした

ミアとベルが、ミノタウロス?の返す斧でぶん殴られて、身体が岩に当たってダメージを喰らい、二人とも地面に倒れてしまう。

変身してなければ殺されてたかもしれない。

エリンは…歌の途中でミアとベルが飛ばされた事で、歌が途中でキャンセルされてしまい、その巨体に似つかわしくなく素早い動きでエリンの懐に斧を振り切った。

「あぅ、かはっ…!」

その場に崩れ落ちてしまった。

キャスとヴァルティアは、新たに現れた敵に対処している。

キャスが結界を張ってヴァルティアを守っていたが、キャスもまた、倒れ伏す俺達へ意識が向いてしまい、大きいヘビの魔獣に身体が巻かれてしまった。

「ああっ!」

「ちっ…キャス!」

敵に舌打ちしたヴァルティアは結界をキャスに任せていたため、歌に集中していたのをキャンセルされてしまい、キャスを解放しようと魔法攻撃でヘビを倒してからすぐに結界を張ろうとしたが、それよりも速いミノタウロス?の攻撃に、がら空きになった身体を吹き飛ばされた。

「みんな!!」

女の子達を俺が守らなきゃ!

立ち上がったけどよろけてしまった。

そこへミノタウロス?の斧が振り下ろされる。

死を感じた。

日本で死んだ時はこの世界に来たけど、ここで死んだ場合は何処に行くんだろうか……

死ぬ時、走馬灯って見えないんだ、などと考えていた時……金色の結界が俺を包んで、斧の攻撃を受け止めた。

これはもしかして……

「セート!今よ、歌を!」

聞き慣れた綺麗な声。

俺はすぐに力が出て、歌を唄う。

何度も何度も斧が振り下ろされるが、結界はビクともしない。

みんなも金色の結界に包まれながら、治癒魔法を受けている。

俺もみんなも防御は安心して戦えるぞ!

俺が歌い、みんなも次いで唄う。

みんなの歌が重なって、一つの大きな魔法の塊を生み出す。

「やぁーーーっ!!」

俺が放ったみんなの合唱が、目の前の敵を消し去った。


「レティーシア!」

そこには別れた少女、レティーシアが微笑んでいた。

「レティーシア、どうしてここに?」

俺が聞くと、少し赤い顔でニコリと笑った。

やっぱめっちゃ可愛い…

「セート、私も一緒でいい?」

「当然だよ!」

俺が答えると、レティーシアは嬉しそうな顔をした。

「お父様が、セートと冒険するのを許してくれたの。」

そう言いながらレティーシアは、大量の金貨が入った袋を俺に押し付けてくる。

「な、何この金?」

「お父様が持って行くようにって。」

レティーシアのお父さんは過保護のようだ。

「あとこれもね。」

レティーシアが続けて出したのは、防具や武器。

何だか凄そうな感じがする。

「こ、これは…伝説級の装備ではないか!」

みんなも近付いて来て、レティーシアが持って来たアイテムを見ている。

ヴァルティアが装備を手に取ると、驚いた顔で説明してくれた。

「で、伝説級って、どんなの?」

「高位魔族でも一撃で葬り去れるな…」

「みんなの分あるから良かったら身に着けてね♡」

笑顔でレティーシアが言う。

「これももしや…」

「うん、お父様が持って行けって。」

お父さん……

ハハッと軽く笑うしか無かった……


「レティーシア、良かった!また一緒に冒険出来るんだ!」

元気になったミアが、レティーシアに嬉しそうに抱き着く。

「うん、また人化してるから、古の神と戦った時の力は出せないけど…」

あ、本当だ、レティーシアの瞳が青い。

「一人欠けても私達は駄目だなって、心底思った。」

ベルがしみじみと言う。

「レティーシアはまだ、お風呂でおねーさんと洗いっ子してないものね~♡」

エリンが何故か同性のレティーシアに、ニマニマ笑いながら近付く。

「エリンさん!れ、レティーシアは純粋なのですから、そのような道に引き込まないで下さい!」

キャスが慌ててエリンからレティーシアを引き離す。

「レティーシア、借りを返す時間が出来て嬉しい。」

「借り?」

不思議そうに首を傾げるレティーシア。

「魔族を救ってくれた事、みんなとの戦いを止めてくれた事…その時私を庇ってくれた事。神との戦いに勝たせてくれた事…それから…」

「いいのよ。全部私がなすべき事だったのよ。むしろみんな力を貸してくれて、有難う。」

満面の笑みでみんなにレティーシアはそう言った。



「さあて、みんな揃ったところで…世界を楽しもうか!」

伝説級の装備を身に着けた俺達には多分苦戦も無いんじゃ無いかな?

「行こう、みんなで!俺達の旅はここから始まるんだ!」

あれ、これって何かのフラグになっちゃう?


みんなが楽しそうに手を上げて「おーーっ!」と答えてくれた。



end




小噺に続きます

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