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「……うーん」


 窓から差し込む光で目が覚める。まだ眠い目をこすりながら隣で寝ているジュードを見る。


(寝顔も可愛いなぁ)


 そんなことを思いながら部屋の外に出る。


「おはようございます」

「うわぁッ」


 扉を開けると昨日の執事がいた。


「弟様はお目覚めで?」

「ま……まだ起きてないです……」

「では、お目覚めになられたらお呼びください」


 わかりましたと答えると執事はすばやく下の階に向かっていった。


「びっくりしたなぁ」


 そう思っていると下から何かいい匂いがした。


「あれ?朝ごはんが置いてある」


 執事さんが持ってきてくれたのかな?


(何を考えてるのかわからないな……)


 ちなみに朝ごはんはパンに野菜ゴロゴロスープ。私たちがいつも食べてるやつより豪華だ。


「ジュード、起きて」

「……うーん、もう朝なのぉ」


 ジュードを起こし朝ごはんを食べさせる。


「スープおいしいねお姉ちゃん」

「……本当だ、何が入ってるんだろう」


 そんな会話をしながら朝ごはんを食べた。





 ――――朝ごはんを食べ終え着替えをし、執事さんがいる一階へと降りる。


「あ、いた」


 受付の前のにある広間の椅子に腰掛けていた。


「おや、おはようございます」

「執事、朝ごはんありがとうございます」


 また、驚いた。


「……少し城へ向かう前に話をしてもよろしいですか」

「いいですけど」

「どーしたの?」

 

 いつになく真剣な顔だ。まあ、出会ったの昨日だけど。


「話す前に少し弟様に席を外してもらはないでしょうか」


 私の耳元でそう言った


「ジュード、ちょっと大事な話をするから受付のお姉さんと話しててくれる?」

「いいよ〜」


 本当に聞き分けのいい子だ。可愛い。ジュードが受付に向かっていった瞬間に執事は口を開いた。


「……実は――――」


 ――――執事いわくこの旅をするなら相当な覚悟が必要らしい。だが私はこの後の言葉に耳を疑った。


『もしかしたら、黒幕がいるかもしれない』


 ……黒幕?どういうことだ


「どう行くことだって顔ですね」

「ッ!」


 今度はこっちが見透かされた。本当にどういうことだ。


「私にはいきなり天災がふってくるとは思いません」

「魔王がいると……?」

「はい」


 聞きたくなかった。いや、聞いといた方が良かったのかもしれない。知らず知らずのうちに死んでいたのかもしれない


「で、でもそしたら勇者にそのことを伝えた方がいいのでは?」

「残念ながら、今この世に勇者として生を受けた者はいません」


 嘘だろ


「じゃあ私にどうしろと?」

「できれば倒していただけると……」


 無理なお願いだ。私はそれなりに戦えるほうだが魔王を倒せるほどの力は持ち合わせてはいない。


「それは……無理かもしれません。しかもそれってジュードを危険に晒すってことですよね」

「そうですね……私もそのことは理解しております」


 ――――しばらくの沈黙が続いた。

 先に口を開いたの執事の方だった


「……わかりました。無理なお願いをきて申し訳ございません」

「……」


 私は口を開いたが言葉が喉につっかかって出てこなかった。


「では、城へ向かいましょうか」


 執事がそういうと歩き始めた。






 ――――国王に返事を伝え一度家に帰ることにした。

 最後まであの執事は視線で訴えかけていたが無視をした。


「お姉ちゃん、楽しみだね」

「……そう?」

「だって世界をみてまわれるんだよ」


 私は『魔王がいる』という話を聞いてから気が気でなかった。


「……これから頑張んなきゃな」


 そんなことを思っていると家に着いた。

 こじんまりと森の中に建っている家。森に馴染むように木材で作られている。

 

「久しぶりにかえってきたね」

「向こうで1日過ごすのは初めてだったからね」


 本当に久しぶりの気分だ。

 家の中へ入ると宿とは違い見慣れた部屋が目にはいってきた。


「さ、旅の準備しようか」

「うんッ」


 しばらく荷物の準備をした。

 私はゴールドと魔導書、紙とペンに身分証明書、それに

魔術師にとって必須なアイテム、『杖』。これらを腰にかけてあるカバンに詰め込む。

 一方ジュードはお気に入りの絵本にお小遣いのゴールド、それに私が渡した護身用の短剣。


(ピクニック感覚だよなぁ)


 そんなことを思いながら私は部屋を見渡した。


(もしかしたらもう帰って来れないかもしれないのか)


 そう思うと寂しくなってくる。


「お姉ちゃん、いかないの?」


 ――――行かなくては


「そうだね行こうか」


 私は扉に鍵を閉めた

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