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零線 Endlessworld  作者: お味噌
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新たな武器

あの後、何故か俺と長門さんでこぼした牛乳の為にモップがけを、三郎さんとアルフレッドさんはアイアンゴーレムを回収するとかで外に出ている。アルフレッドさん曰く、アイアンゴーレムの殆どが鉄で出来ているから鉄を使ったりする店からしたらかなりの代物らしい。「あー、くっせ!!牛乳雑巾並にくせぇ!!くせぇ!!くせぇ!!くせぇ!!」長門さんがモップがけをしながら文句を言っている。正直、俺も文句を言いたい位の臭さだ。長門さんがモップがけをしながら愚痴を言いまくっていると店の奥から女性の声が聞こえてきた。「貴方の方が臭いわよ、長門。」

聞いた事ない声だ。木製のドアが開きそこから出てきたのは美しい少女のドールだった。

「え?」

俺は混乱した。人形が喋ったように聞こえたからだ。俺、疲れてるのかな?顔に手を当ててゴシゴシしていると長門が違和感もなく返事した。

「失礼だな、俺はちゃんと風呂に入ってますが〜?ん〜?」

なんか腹立つ言い方で長門さんが人形を煽ると怒り気味で人形が口を開いた。

「喋らない方がいいわよ、臭いのが伝染るから。あとキモイ。」

やっぱり喋ってる!?なんか、辛辣だ!!凄い辛辣だ!!ドSだ!!俺がそう思っていると何かを察したのか人形が冷たい目線で睨みつけた。

「なにか?」

「イエ、ナンデモアリマセン」

すると、入口から三郎さんとアルフレッドさんが帰ってきた。

「おう、ローズ、状況はどうだった?」

どうやらこの人形はローズという名前らしい。

「モンスターは全て掃討されたらしいわよ。」

「そうか、これで一安心だな。ありがとうローズ。」

アルフレッドさんがローズさんの頭を撫でている。ローズさんの顔を見ると少し照れていた。それを見ていた長門さんが少しにやけながら「てぇてぇだねぇ」と小言で言った。どういう意味か気になったのだが俺が長門さんに聞く前にローズさんが長門さんの発言に気づいたらしく冷たい目線で長門さんに言葉を投げた。

「何か言ったかしら?」

それを聞いた長門さんは煽りながら答えた。

「てぇてぇ(´◉౪◉)」

…まぁ、言わずとも長門さんとローズさんがギスギスしている理由がわかったような気がする。

「貴方、いつか喋れなくするわよ。」

「俺は喋らなくてもうるさいから意味が無いよーんだ( ᐙ )」

自覚してるのかよ…

2人の喧嘩?を見ていた三郎さんが2人の言い合いを終わらすように割り切った。

「アルフレッド、例のやつ貰ってもいいか?」

「あぁ、そうだった。今持ってくるぜ。」

そう言ってアルフレッドは店の奥から何かを持ってきた。

「三郎からてめぇの名前を聞いたぜ、龍、長門に頼まれていたものだ、受け取れ。」

そう言われて渡されたものはまるでライフル銃のような形をしていた。…というか本物の銃じゃねこれ?

俺はよくその銃のような物を眺めた。見た感じだと

そして確信を得た。

「本物の銃じゃないですか!!」

「本物に決まってるだろ、何言ってんだてめぇ?」

「これで僕に何を撃たせるつもりですか!?」

「知らねーよ!!おい長門、お前これ何に使うんだ?」

「知らんッ!!さんちゃん、これ何に使うのん?」

「儂も知らん。」

「…ゑ?」

全員一瞬だけ放心状態になった。

全員知らないの?確かに頼まれたとか言ってたな。一体何のために…。俺がそう考えていると長門さんが無理やり話を進め始めた。

「ま、まぁ、護身用という事で…。おい、アルフレッド、この銃の操作方法を教えてくれ。」

「はぁ、グダグダじゃねぇかてめぇ…。OK、とりあえず分かりやすく説明してや…」

その時だった。アルフレッドの店が少し揺れるほどの大きな爆発音が外から聞こえた。その直後、モンスターのような咆哮が聞こえてきた。俺たちは急いで店の外に出るとそこら辺に上がっている黒い煙よりかなりでかい黒い煙が新しく立ち上っていた。

「どうやら新手のようだわ。」

ローズが店裏から戻ってきた。

「分かった。貴様らも同行してくれ。」

「場所は?」

「あの辺だと…中央広場だ。」

「おいおい、マジかよ…」

「分かった、直ちに向かおう。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺達は急いで中央広場に向かった。向かっている最中、中央広場の方向から何度も爆発音、そして何か奇妙な咆哮が聞こえてくる。その後、何度か同じ咆哮が聞こえた後、ようやく中央広場に到着した。そこには真っ赤な鱗が身体中に生えており、赤い大きな翼が胴体から手まで着いている。まるで伝説の生物、俺が知っている名で呼ぶとしたらこう呼ぶ。「ドラゴン」と。

そのドラゴンは容赦なく口から火を出し、周りを焼き尽くしている。俺が呆然としていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてくる。周りを見渡すとドラゴンの尻尾の近くの所で崩れ落ちながら泣いている子供が1人、それに気づいたのかドラゴンがその子供に目を合わせ、まるで特大の火炎放射器のような威力の火を子供に飛ばした。

「危ない!!」

俺がそう叫んだ次の瞬間、アルフレッドさんが子供の前に現れ、持っていた鉄のハンマーを変形させ、全身を覆える程の大きな円盤型の盾を作り出し、炎を防いだ。しかし、長くは耐えられないようだ。そのその証拠に盾が徐々に熱で赤くなってきている。このままだと盾ごと焼け尽くされる。するとドラゴンの頭上に人影が1人、三郎さんだ。三郎さんがドラゴンの頭上で飛んだまま拳を振り上げ、ドラゴンの頭を殴りつけた。その瞬間、ドラゴンの炎のブレスが止まり、同時にドラゴンの顔面は地面に叩きつけられた。その衝撃で地面が揺れ、地面に大きな亀裂が入った。

「アルフレッド、今のうちにその子供をここから逃がせ!!」

「わかってらァ!!ローズ!!」

ローズが直ぐに現れ、子供をお姫様抱っこで持ち上げる。

「このガキを頼む。」

「分かったわ。」

そう言ってローズは子供を担いだ状態でその場を後にした。

その直後、ドラゴンが再び起き上がり、暴れ始めた。そして真っ先に標的になったのは俺だった。咆哮と共に口から赤い光が見える。避けようにも周りに隠れる所が無い。すると突然、俺の足は宙に浮かんだ。どうやら長門さんが俺を担ぎあげたようだ。そして間一髪でドラゴンのブレスをかわした。

「あっぶねぇぇぇぇ!!!」

長門さんは笑いながら俺を担いだまま走り続ける。俺は少し安心したが安心したのは束の間、なんとドラゴンがブレスを吐いたまま、こっちにブレスを向けてきた。流石に終わった…、そう思っていると長門さんが少し古いタイプの拳銃を取り出し、ドラゴンの顔面に銃口を向ける。

「させねぇ〜よ!!」

長門さんが引き金を引いた瞬間、マシンガン顔負けの連射速度で弾が発射される。それを喰らったドラゴンはひとたまりもなく怯んだ。その隙に長門さんはアルフレッドに駆け寄り、俺を下ろした。

「アルフレッド、龍ちゃんにこの銃の使い方を教えてくれ。」

そう言って長門さんは再び前線に戻った。

「だとよ、どうやら試し打ちは実戦でだそうだ。」

そう言ってアルフレッドさんは無理やり俺が背負っている銃を取り出し、俺に渡した。

「1回しか言わねぇからしっかり覚えろ、まずはこいつは見た通りレバーアクション式だ。」

「レバーアクション式?」

「なるほど初心者か、よーく分かった。なら初心者でも分かりやすい説明をするから耳をかっぽじってよく聞け。引き金の近くにコッキング用のレバーがあるだろ?」

引き金の横に確かにレバーのようなものがある。

「こいつは本来の銃と違ってそのレバーを引いた回数によって銃のタイプが変わる。」

「え?」

「とりあえず右に着いているカートリッジに弾を込めろ。」

そう言われアルフレッドさんから弾を5発貰った。

言われた通り右に着いているカートリッジの蓋を開け、5発の弾を込めた。

「よし、込めたな。今度はその引き金の近くにあるレバーを下に1回コッキングしろ。」

言われた通りレバーをコッキングした。

「よし、そしたら後は引き金を引くだけだ。それじゃあ、記念すべき最初の的だ。あのドラゴンの目に当ててみろ。」

そう言われ、俺はドラゴンの目に狙いを定める。息を止め、好機を待った。そして、引き金を引いた。次の瞬間、銃と共に反動が右肩に響いた。俺はバランスを崩し、地面に倒れ込む。ドラゴンからは悲鳴のような咆哮が聞こえる。

「マジか、本当に当てやがった。てめぇ、才能あるぞ。」

「当たらない前提だったのですか!?」

「当たらないにかけてたのだがなぁ。」

「…( '-' )」

「ま、これも試射の醍醐味だ。」

すると、起こったドラゴンが周りに散乱していた大きな瓦礫を1つ、アルフレッドさんと俺の所に飛ばしてきた。

「アルフレッドさん!!どうすればいいんですか!!」

「まぁ、落ち着け。それじゃあステップ2だ。今度なレバーを3回コッキングしろ。」

「3回も?」

「いいからやれ!!」

俺は急いでコッキングした。一回目はさっき撃った弾の薬莢がチェンバーから煙をまといながら排出される。そして二回目、今度は薬莢は排出されなかった、そして三回目、同じく何も排出されなかったが何かガチャンと鳴った。

「これでいいんですか!?」

「これでいい、後はあのデカブツに撃て!!」

そう言われ、俺は直ぐにこっちに飛んできている瓦礫を撃った。

するとさっきと違って少し銃が鈍くなった。そして、次の瞬間、瓦礫が爆発と共に塵になって俺とアルフレッドさんに降り注いだ。

「これがコッキングレベル3 榴弾だ。見た通り、着弾と同時に爆発を起こし、目標を粉砕する。ちなみに威力はあのKV-2と同等の威力だ。」

「…KV-2ってなんですか?」

「あー、ただの大砲だと思っておけ。とにかく、この銃はコッキングした分だけ銃弾のタイプが変わるんだ。さっきやったコッキングレベル1がライフル弾、コッキングレベル3が榴弾。本当はコッキングレベル2を先に説明したかったのだが仕方ない。」

そう言いながらアルフレッドさんが4発、さっきの弾を俺に渡した。

「ライフル弾は消費する弾数は1発だが、榴弾は消費する弾数は3発だ。そこの所よく考えて使えよ。」

つまり威力が上がる分、弾を消費する量が増えるようだ。

「おーい!!少し手を貸してくれ!!」

長門さんの声が聞こえる。

「少し時間稼ぎの為にドラゴンの気を引き付けておいて欲しい。」

「わ、分かりました!!」

俺は大声で長門さんに返事をした。

「よし、じゃあ丁度いい、レベル2を試そう。龍、あとは分かるな?」

「は、はい!!」

俺は2回レバーをコッキングした。さっき撃った弾の薬莢が同時に3つ排出された。

「引き金は弾が止まるまで引いておけよ!!」

「え!?」

「撃て!!」

俺は引き金を引いた。すると今度は銃口から1発だけでなく5発以上、まるでアサルトライフルのような連射速度で大量の弾が飛んでいく。これにはたまらず、ドラゴンは怯み、動きがしばらくの間止まった。50発ほど撃ったところで銃身が赤くなり、引き金を引いても弾が出なくなった。

「レベル2は弾1つで50発連射できる連射弾だ。本来はもう少し弾数を増やせれたのだが、銃身がオーバーヒートしてもたなかったんだ、後に改善出来たらしておきたい所だな。あと言い忘れていたが、威力は少し上がるがオーバーヒート中は次弾は撃てないから気をつけろよ。」

なるほど、隙はデカいが火力は申し分ないようだ。

すると突然、ドラゴンが怒りの咆哮を出し、俺に突っ込んでくる。しかしそのドラゴンの横にはさっきアイアンデーモン達を一気に吹っ飛ばした大砲がドラゴンに向けられていた。

「龍ちゃんありがとよ!!これで撃ち込める!!」

ドラゴンは大砲に気づきすぐさま避けようと回避行動をとるが長門さんはすぐさま発射合図を出した。

「撃てぇぇぇぇ!!!」

その掛け声と同時に大砲からとてつもない轟音と煙が見え、そして、ドラゴンの胴体風穴が空いた。

「いよっし!!命中!!」

ドラゴンが倒れ、動かなくなった。

誰もが倒したとそう思った。しかしドラゴンの胸部が赤く光ったと同時に胴体に空いた風穴はどんどん塞がっていく。

「いや、まだだ!!」

三郎さんの声が聞こえたその時、ドラゴンが起き上がり、俺に右手を振り下ろして潰そうとした。すぐさまアルフレッドさんは俺を担ぎ、その攻撃を回避して長門さんと三郎さんがいる場所に集まった。

「ダメだ、あいつ直ぐに再生するぞ!!不死身か?」

「不死身ならお手上げだ。」

「いや、不死身ではないかもな。」

そう言ってアルフレッドがドラゴンの胸部に指を指した。

「再生する瞬間、胸部から赤い光が見えた。そこが弱点かもしれない。そこにかけるしかない。」

「分かった、だが、胸部には他の部位より遥かに硬い鱗が集中している。それをどうするかだ。」

「それならこの俺が何とかしてやろう。」

長門さんが自信満々に言った。

「よし、後はそのコアを撃ち抜くには少なくてもさっきのような威力じゃないと破壊できないのだが、長門、撃てるか?」

「いや無理だ、再装填にかなり時間がかかる。」

それを聞いていたアルフレッドさんが俺の背中を叩きながら言った。

「なら丁度良い、こいつに任せろ!!」

え?

「分かった、任せるとしよう。」

えぇ?

「それじゃあ、簡単に説明をする。儂が奴を拘束し、長門がコアの鱗を剥がし、コアを剥き出しにする。そこに龍が攻撃をしてくれ。以上だ。」

えええ!?

三郎さんと長門さんは直ぐにドラゴンと交戦を始めた。

「アルフレッドさん!!俺大砲なんてもってませんよ!!」

俺がアルフレッドさんにそう言うとアルフレッドさんは少し笑顔にしながら俺が持ってる銃を指さした。

「てめぇが持ってるじゃねぇか」

えええええ!?

「ほんじゃ、最終ステップだ。残弾は何発残ってる?カートリッジの横に着いているカウンターで分かるはずだ。」

俺はカートリッジの横に着いているカウンターを見た。そこには4と書かれてあった。

「4発です!!」

「よし、ちょうど良い。それじゃあレベル4にしてくれ。」

俺はレバーを4回コッキングした。

「このレベル以上は身体能力を強化しておかないと軽くても骨を折ってしまうから今回は俺がてめぇに強化魔法をかけてやる。」

「え、今なんt」

「狙いを定めろ!!」

俺は不安が残る中、急いで相手に狙いを定める。

「三郎、長門、準備できたぞ!!」

それを聞いた三郎さんが地面に手を当て、線路のような形をした鉄の棒を地面から生やし、ドラゴンの手足を拘束した。そして、長門さんが拳銃でコアの鱗に狙いを定める。すると三郎さんが長門にこう言った。

「同じ鱗にダメージを与え続けたら剥がれるが少しでもダメージを継続できなかったら無効化されるぞ!!」

それを聞いた長門さんの顔には微笑みが浮かんでいた。

「そいつは俺の十八番だ!!」

長門さんはそう言って引き金を引いた。驚異的な連射速度で撃ち込んでいく。しかも凄いことに同じ鱗に少しも外れる事もなく当て続けている。そして直ぐに鱗が剥がれ、コアが剥き出しになった。その直後、3人が同時に「撃て!!」と叫んだ。

俺は踏ん張りながら引き金を引いた。チェンバーから4発の薬莢が排出され、轟音と共に強烈な反動が体に伝わる。その直後、ドラゴンのコアに風穴が空き、ドラゴンは咆哮と共に消えてしまった。そして静粛だけが残った。俺は反動で手足が痺れて地面に倒れ込んだ。どうやら俺たちは勝ったようだ。…良い気分だよ。

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