襲撃
まぁ色々あって、あれから入口に詰まった長門さんを引っ張り出すことに成功した。
「いやー、助かったよありがとう!!」
「ったく、貴様という奴は…」
三郎さんからため息が漏れる。俺は長門さんを引っ張り出すので疲れ果て、大の字になりながら地面に倒れ込んだ。
「悪い悪い。所で手伝ってくれた少年は?」
「俺はここです…」
長門さんが目線を下ろし、腰を下ろす。
「ありがとよ、少年。」
そして長門さんは三郎さんを見て質問を投げた。
「この少年が?」
「あぁ、例の手帳も持ってる。」
「…本当だったんだな、長かった。」
俺を待ってた?
「あの、どういう事ですか?」
俺は立ち上がって2人に質問を投げた。
すると長門さんが俺の両肩を掴み、笑顔で答えた。
「龍くん、お前を待ってたんだ!!」
え、待ってた?なぜ俺の名前を知っているんだ?
「いやー、ようやく動ける!!鈍りすぎて太る所だった!!」
「既に太ってるぞ貴様。」
「あ、そうだった。」
「龍、悪いが話は後だ。長門、あれは出来たのか?」
「あぁ、バッチリだ。素材を集めてジャンク屋のアメリカ人に任せた。既に出来ている。アイツからはいつでも取りに来いと聞いてる。」
「よし、では取りに…」
突然、街の中からか爆発音が聞こえた、それも何発も。そしてその直後、遠くからでも確認できるほどの黒い煙が複数も立ち上っている。それを見た街の達が次第にパニックになり、悲鳴を上げる。同時に警報の鐘が聞こえ初め、街ではあっちこっち人が走り回る。
「一体何が?」
「分からん、どうやらただ事では無さそうだ。」
長門さんは急いで店を閉めて避難するように店員に言い、店にあったラジオを持って俺たちの所に戻ってきた。
ジジジ…皆さ…は直ちに中央広場に避難してください。繰り返します、モンスターの襲撃が発生しました。皆さんは直ちに中央広場に避難してください。
どうやらそういう事らしい。
「…奴の差し金か?」
「タイミングが合いすぎる、その可能性は高いだろうな。」
「だとしたら急いで例のものを急いで回収しないと…」
再び爆発音が響き渡る。しかも同じ場所から何回も。そしてその場所から複数の煙が。その場所の方向を見た長門さんの顔からは冷や汗が見えた。
「おっと、不味いな…」
「長門、一体どうした?」
「あっちは確かジャンク屋の店がある所…」
「なに!?」
三郎さんは少し動揺し急いで長門さんに指示を出した。
「長門、貴様は龍を担いで儂に着いてこい!!」
「分かった!!」
「え!?」
「龍、悪い!!少し荒くなるが我慢してくれ!!」
そう言って長門さんは俺を担いだ。そして次の瞬間、2人は人並みならぬ早さでその言っていたであろうジャンク屋に向かって走り出した。三郎さんはともかく、かなり巨体の長門さんが三郎さんに並走できるほど早いのは意外だった。
「早速出てきたか…」
2人が走っていると突然、ゴブリンが現れたが三郎さんが意図も簡単にモンスターを殴って倒していく。その調子で先を進んでいくと目の前に大量のモンスターが道を埋めつくしていた。
「あれは、アイアンゴーレム!?何故こんなところに…」
あの大量のゴーレムではいくら三郎さんでもキリがないようだ。
「長門、頼めるか?」
「OK!!さんちゃん、街の人は?」
「街の人はとっくに避難している。建物は後で儂が戻しておく、思う存分撃ち込め!!」
「よっしゃ!!じゃあ思う存分、火を噴かせてやらぁ!!」
そう言うと長門さんはポケットから青く光っているキューブの形をした物を取り出し上へ放り投げた。するとキューブが変形して青いゲートを開き、そこから巨大な大砲が3門出てきた。
「目標、目の前!!射撃用意!!龍、耳を塞いでろよ、じゃないと、耳が吹っ飛ぶぜ!!」
俺は咄嗟に耳を塞いだ。と同時に長門さんがモンスターに指を指し、叫んだ。
「第1砲塔、撃てぇ!!!」
その直後、飛んでもない重音と共に爆発音が聞こえ、同時に目の前が大爆発し大量のアイアンゴーレムが宙を舞う。地面はえぐれ、あの大砲の威力を物語っている。小石の雨が降ってくる中、長門さんと三郎さんは止まることなく爆発で発生した煙の中に入っていく。その中を走っていると次第に煙がおさまってき、俺は周りを見た。そこには地面とアイアンゴーレムが跡形もなく吹き飛んで出来た縦長のクレータが出来ていた。改めてあの大砲の威力を俺は思い知った。
ジャンク屋に近づいてきたところで角を曲がりかけている三郎さんに長門さんが声をかける。
「さんちゃん、この状況だと既にジャンク屋がアイアンゴーレム達に埋め尽くされてるぞ!!これじゃあ、あのアメリカ人が生きているすらも怪しいぞ!!」
聞こえていないのか否か三郎さんは角を曲がって行った。その角のすぐ側にジャンク屋。長門さんが言った通りなら既にアイアンゴーレムで埋め尽くされている。しかし、それなら先に角を曲がった三郎さんが交戦しているはず、なのに妙に静かだ。長門さんが急いでその角を曲がると目の前に三郎さんが突っ立って背中を見せていた。
「さんちゃん、どうした!?」
「これを見てみろ。」
三郎さんにそう言われ、俺と長門さんは三郎さんの目線の先を見た。そこに大量のアイアンゴーレムが倒れていた。しかも長門さんが吹っ飛ばした量と同等数だ。倒れているアイアンゴーレムの胸部を見てみると全てのアイアンゴーレムの胸部に風穴が空いていた。
「これは一体…」
「長門、とにかくジャンク屋の安否確認が先だ。」
「そうだな。」
長門さんと三郎さんは急いでジャンク屋に向かった。店の前にはアイアンゴーレムの死体の山ができているが店はドアが吹き飛ばされている以外特に目立った外傷はなかった。
長門さんは俺を降ろした後、急いで先に長門さんが店の中に入っていった。