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零線 Endlessworld  作者: お味噌
13/15

引きずり込まれし不沈艦

錆び付いた廊下、俺と赤美ちゃん、ベルンハルトさんとアルバンさん、そして武装した隊員を含めて全員で9人、武装した隊員が先頭で銃を構えながらゆっくりと前進していく。

「床に触れて地面が崩れた、確かだな?」

「はい、でもそれが何か?」

「まずはこれを見てほしい」

そう言ってベルンハルトさんが1人の隊員に指示を出した。隊員が頷き、腰からキューブを出した。そしてそのキューブから三角柱の形をしたようなものを取りだした。

「これは?」

「吸着地雷だ。分厚い鉄板などを破壊するのに使うものだ。本来は成型炸薬で分厚い戦車の装甲を貫くものだが、改造して装甲を貫いた後、鉄板の内部から爆発を起こし、壁を内部から破壊出来るようにしたのもだ。」

そう言ってる間に隊員が壁に吸着地雷を設置していた。

「隊長、設置完了しました。」

「よろしい、点火しろ。」

「はっ!!」

隊員が吸着地雷の先を引っ張り、全員が吸着地雷から離れた。すると少ししてから吸着地雷は爆発し、煙が発生した。煙が晴れ、爆破した壁を見てみると穴も何も出来ていなかった。

「この通りだ、傷一つつきはしない。壁を破壊できない以上、我々は仕方なく出口を探していたが7日間、出口を見つけることは出来なかった。」

「つまり、僕が壁を触れば破壊できると?」

「つまりそういう事だ。早速、やってくれ。」

俺はゆっくりと錆び付いた壁に触れた。しかし何も起きない。

「何も起きませんよ?」

「ふむ…」

するとアルバンさんがなにかに気づいたのかベルンハルトさんに提案をした。

「隊長、もしかしたら今なら吸着地雷で破壊できるのでは?」

それを聞いたベルンハルトさんは直ぐに隊員に吸着地雷を俺が触れた壁の部分に設置させ、爆破させた。するとアルバンさんの予想通り、吸着地雷で鉄板の壁を破壊でき、壁に大きな穴ができた。

「Gut!!これならこの船から脱出することが出来る!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー方その頃、戦艦大和ではー

「なに!?龍と赤美が海に落ちた!?」

部屋で寝ていた三郎が伝声管で長門と連絡を取りながら取り乱している。

「なぜ起こさなかった!!」

「三郎ちゃんが起こしても起きないからでしょうが!!寝癖が悪すぎるんだよ!!今は龍ちゃん達が落ちた所に旋回して向かってるところ!!」

「分かった、ワシは甲板に出る。頼んだぞ。」

「分かった!!」

三郎は急いで机に置いていた帽子を被り、ドアを勢いよく開け、急いで甲板に出た。甲板には既に数十人の見張りの人と舞奈佳が鎖の柵に身を乗り出しながら龍達を探していた。

三郎は急いで舞奈佳に近づいた。

「長門から聞いた。」

「すいません、私のせいで…」

「貴様のせいでは無い、何があった?」

「目を離した隙に赤美ちゃんが海に、止めたのですが龍くんは赤美ちゃんを助けに…」

「分かった。儂は反対側を見張る、貴様は引き続きここを頼む。」

「分かりました。」

三郎は急いで反対側に向かって行った。舞奈佳は鎖の柵から体を乗り出しながら必死になって再び探した。

「龍くん…赤美ちゃん…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー幽霊船ー

次々とゾンビが襲ってくる中、ベルンハルトさんが真っ暗な廊下の中、的確な指示を出し、隊員が銃で次々とゾンビを倒しながら進んでいく。真っ暗なのにベルンハルトさんは見えているのか、敵の位置も正確に伝えている。

…あれからかなり進んだようだ。ベルンハルトさんいわく今は2階、もうすぐ出口のドアがあるらしい。隊員が銃声を鳴らしながらゾンビをいとも簡単に倒しながら進んでいくと廊下の右側にドアがひとつ現れた。

「隊長、ありました。」

どうやらこれが出口らしい。

「よし、では龍くん、頼む。」

「はい。」

俺はドアに触れ、隊員が直ぐに吸着地雷を仕掛け、爆破をした。煙が晴れるとようやく甲板に出ることが出来た。相変わらず濃い霧で周りは見えない。

「やったぁぁ!!!外だァァァ!!」

隊員が喜んで声を出している。するとベルンハルトさんが周りを見渡した。

「いや、まだだ。なんだこれは…」

ベルンハルトさんが少し困惑している。

「隊長、どうかいたしましたか?」

アルバンさんがベルンハルトさんに問いかけた。するとベルンハルトさんは突然拳銃を上に向けた。

「今から全員、10秒間静かにしろ。」

「え?」

俺は唐突過ぎて困惑した。とりあえず言われた通り静かにすることにした。そして全員が静かになった直後、ベルンハルトさんは1発の弾丸を空に発砲した。濃い霧の中、発砲音が響き渡る。そして約10秒後、ベルンハルトさんが口を開いた。

「どうやら我々はまだ閉じ込められているようだ。」

「どういう事ですか?」

「私は反響した音で周囲の地形や敵の位置を探ることが出来る。」

あ、だからさっき暗闇の中でも敵の位置が分かったのか。

「今の発砲音の地形を確認したのだが…」

「だが?」

「…にわかに信じ難い事だ。」

「えっと、何が?」

「簡単に言わせてもらうと、どうやらこの船は水で囲まれた空間に閉じ込められているようだ。」

それを聞いた俺と隊員達は全く理解できなかった。

「海の中に縦2000m、横5000mの長方形の空気が溜まった空間だと言えば少しは分かるか?」

なるほど…少し理解はできた。つまり今、俺たちは周りが水に囲まれた空間に閉じ込められているということか。

「無線機は使えるか?」

いつの間にか隊員の1人がケーブルが生えた箱を出していじっていた。

「ダメです、外部に全く繋がりません。」

「ダメか…」

「どうするんですか?」

「実の所、打開策がない。」

ベルンハルトさんが首を振りながら答えた。

「まずは情報収集してから打開策を探そうか。」

「情報収集?」

「と、言っても状況整理みたいなものだ。」

ベルンハルトさんはその場にいる全員を1箇所に集合させた。

「まず我々はこの船に迷い込む前、小型船で移動中、全員なにかに掴まれて海に引きずり込まれた。そして目が覚めたらこの船の甲板にいた。そして捜索のため、我々は船内に潜入、そして閉じ込められた。空間を把握した所、周りが水の空間。」

それを聞いていたアルバンさんは口を開いた。

「可能性ですが、もしかしたらここは引きずり込まれた海の海底に形成された空間なのでは?」

「その可能性はありそうだ。1つの提案としてはそのままこの空間の壁を見つけ、強化魔法で水圧の無効と一定時間の無呼吸で浮上して脱出というのはある。だが、問題は…」

「別空間の可能性…」

「そうだ。その場合だと我々はこの空間から一生出ることが出来ない。」

それを聞いた俺はふと思ったことを口に出した。

「あの、ベルンハルトさん、そのどこの空間にいるのか確認する方法はあるんですか?」

「ある、ただ浮き輪がないんだ。」

「浮き輪?なぜ」

「仮にこの空間が海底に形成されているとしたら浮き輪を天井につけると浮上して海面まで浮上して止まる。それで確認する。」

「なるほど。」

「ロープは腐るほどあるが、なにか浮き輪の代用になるものが…」

カンッ

俺の腰に何かが当たり、聞き覚えのある音が聞こえた。俺はその音の方を振り返ると赤美ちゃんが食べ終わったすっからかんの飴玉が入っていた缶を飴玉をほうばりながら「ん。」と言いながら俺に渡そうとしていた。

「うにわ」

赤美ちゃんがほうばりながらそう言った。

「あ!!赤美ちゃん天才!!ベルンハルトさん!!これ!!」

俺は赤美ちゃんが持っている缶を指さした。

「Gut!!それだ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー数分後ー

「後は缶に強化魔法をかけて…出来た」

そう言ってアルバンさんが缶を床に置いた。

そこにはロープで繋がれた缶、至ってシンプルな浮き輪が出来上がっていた。

「出来たのはいいとしてこれをどうやって天井に?ここから2000mあるんですよね?」

「それは問題ない。おい、君達」

そう言って5人の隊員を呼んだ。

「君達の好きな遊びだ。思う存分打ち上げるがいい。」

それを聞いた隊員のひとりが少し動揺しながらベルンハルトさんに問いかけた。

「あの、隊長。なぜそれをご存知で?」

「君達が訓練をこっそりサボって、誰がサプレッサー付きの銃で缶を当て続けながら1番高くあげたら勝ちというゲームというのをしていたのを目に入ってねぇ?」

「ひっ」

ベルンハルトさんが隊員達にガスマスク越しに冷たい視線を送り付ける。

「もし、天井まで届いたら、そのサボっていた件の処罰は取り消してやらんでもないぞ?」

「が、頑張ります!!」

そう言って隊員が缶を宙に投げ、銃で缶を撃ち始めた。強化魔法で缶を強化しているから銃弾が当たってへこみもしない。どんどん順調に上がって濃い霧の中だが、微かに天井に近づいてきていることは分かった。缶はどんどん高度をあげ、天井の近くまで登ってきていた。

「あと少しだ!!」

そしてあと1発、あと1発で天井に届く時、1人が外してしまい、缶の起動が逸れた。

「あ!!!」

隊員は慌てて缶に当てようとするが慌てすぎて命中しない。

缶が落下し始めたその時、1発の銃弾が当たり、缶が天井に届いた。それを見た隊員は5人で喜んだ。

「やった…やったぁぁぁ!!誰が決めたんだ?誰が、あ…」

最後に命中させたのは5人の隊員ではなく、ベルンハルトさんだった。右手には拳銃を握っている。

「次の訓練の内容が決まったな。」

「は、はい…」

「だが喜べ、処罰は取り消しておく。」

それを聞いた隊員達は喜んでいた。

「さて、」

ベルンハルトさんは缶に繋がっている垂れたロープを手にした。

「吉と出るか凶と出るか…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー再び戦艦大和にてー

「舞奈佳!!そっちはどうだ!!」

「ダメです三郎さん!!なにも!!」

舞奈佳は必死に探しているが手がかりのひとつも見つからない。

「そっちは?」

舞奈佳が双眼鏡を持った見張りに聞いたが首を横に振っていた。

「なにか、せめて何か手がかりを…」

その時だった。ふと舞奈佳が見張っている方に銀色に光るなにかが浮かび上がってきた。それは日光に反射して直ぐに舞奈佳の目に入った。そしてそれはなにかがすぐにわかった。

「あれは…缶!?あの形、間違いない!!赤美ちゃんにあげた飴玉が入った缶!!三郎さん!!あれ!!」

三郎が咄嗟に駆けつけ、舞奈佳が海に漂う缶を指さした。

「あれは?」

「私が赤美ちゃんにあげた飴玉が入った缶です!!もしかしたら近くにいるかも知れません!!」

「分かった!!」

三郎は見張りのひとりに船を止めるように言った。見張りが急いで長門に伝えに行ってから数秒後だった。突然、戦艦大和が急停止した。しかもそれは不自然な止まり方だった。

「伝達が早過ぎないか?」

三郎が違和感を覚えた。三郎が舞奈佳の方に向かうと舞奈佳が艦首に向かって移動し始めた。

「もしかしたら座礁したのかも」

「こんな海のど真ん中でか?浅瀬など見当たらなかったのだが…」

三郎と舞奈佳が会話しながら移動しているとなにか変な音が聞こえてくる。まるで鉄が悲鳴をあげているような…。そしてさっきから水面が近づいてきているような…。三郎は嫌な予感を感じ、船の側面を見下ろした。なんとそこには無数の手が船を海底に引きずり込もうとしていたのだ。その直後、戦艦大和でサイレンが響き渡る。

「総員直ちに艦内に退避せよ!!繰り返す、総員直ちに艦内に退避せよ!!工作班は直ちに船体に強化魔法を!!」

見張りたちは急いでハッチから艦内に避難していた。

三郎も避難しようと急いでハッチから避難しようとした時、舞奈佳が甲板に残っていた。水面がすぐそばまで来ている。いつ船が沈んでもおかしくない状況だ。

「何をしてる!!早く入れ!!」

三郎が舞奈佳に声をかけるが一向に動かない。いや、なにかに足を掴まれているのか?そのような素振りを見せていた。

三郎は急いで舞奈佳に近寄るとやはりなにかが舞奈佳の足を掴んでいた。よく見ると戦艦大和を引きずり込んでいる手と同じだった。三郎はその手を舞奈佳の足から引っペがそうとしたが掴む力が尋常ではなかった。

「やむを得ん」

そう言って三郎が掴んでいる腕の手首を掴み、手首あたりの骨を粉砕した。その瞬間、手が緩み舞奈佳から引っペがし、急いで舞奈佳を背負いながらハッチに入り、ハッチを閉めた。その直後、轟音と共に波が押し寄せ、甲板は沈み、その後、戦艦大和は海底に引きずり込まれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー幽霊船にてー

長い間、ロープは引っ張られ、ベルンハルトさんはずっとロープを見ていた。俺は暇だったので隣でそのロープを見ていた。するとさっきベルンハルトさんが言っていた石が気になってきた。

「あの、ベルンハルトさん」

「なんだ?」

「さっき言ってた石って?」

「あぁ、その石は呪いを無効化する石でね、これを持っていなかったらこの空間にいるだけでゾンビになるんだ。欠点なのは噛まれたらどうしようもないというところだ。持ってようがゾンビになる。」

「なるほど…」

「これを踏まえての私の推測なのだが、君の能力は…」

ベルンハルトさんがロープを掴んでいると突然、ロープの引っ張る力が無くなった。これはつまり海底にこの空間があるということを示していた。

「吉と出たな、当たりだ。どうやら海底のようだ。」

それを聞いた俺達は喜んだ。

「さて、この空間の壁を探すとしようか。」

そう言ってベルンハルトさんが立ち上がった時、なにかゴゴゴという音が聞こえた。その音はどうやらこの場にいる人全員に聞こえていたようで「なんの音だ?」と隊員のひとりが動揺していた。その直後、急に霧が晴れた。一瞬でだ。そして隊員の1人が言葉を失いながら上を指さした。俺達はゆっくりとその先を見ると、空から巨大ななにかが降ってきていた。

「何かに掴まれ!!急げ!!」

ベルンハルトさんが急いで指示した直後、その巨大な何かは水面に叩きつけられ、巨大な波を作り、幽霊船を大きく揺らした。しばらくの間、轟音と波が収まらず幽霊船は大きく鉄が悲鳴をあげながら揺れ続けていた。しばらくしてから揺れは収まり、俺はゆっくりと顔を上げた。そして俺は驚愕した。

落ちてきたのは戦艦大和だったのだ。

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