トンネルの先へ
主は第二次世界大戦の兵器が好きである程度は出てきます。 小説書くのが初めてなので温かく見守ってぐださると幸いです。あと、語彙力無いです。
2月 日
…昔、とある男がいた。何も持たないただ普通の人間。その男はある日、何も前触れもなく行方不明になった。…だけど心配はしなくて い。後は、 らが導い くれる。 はま ぞ。…………
「…なんだこれ?文字が抜けまくってるじゃん。こんな不気味な手帳のどこで拾ったんだよ?」
草むらを掻きむしる音と共に若い男の声が聞こえる。
「前に俺が話した事を覚えてる?」
「一体何の?」
「ほら、俺が猛吹雪の中、雪山で遭難した時の話。」
「あぁ、言ってたね。」
ここは森林の中。
「その時にいつの間にかズボンのポケットに入ってた。」
「無意識に誰かからパチッたんじゃないのぉ?」
「しねーよ!!てか自分で持って見てくれよ。流石に歩きながら見せるのはキツイって!!」
「悪ぃって(笑) 私、潔癖症なんだよ。」
「初耳なんだけど?」
「よーし着いた!!ここが目的地でございます。」
「話をそらすな。」
そこには錆びれた廃線と朽ち欠けている昔の駅があった。
何故俺たちはここに来たのか。それは最近、オカルトというものが流行っている。言わば都市伝説。特にこの場所はかなり有名な所で、この廃線のトンネルに入れば神隠しにあうという噂だ。その真相を確かめるため、俺たちはここに来たという訳だ。
「トンネルはこっちかな?いや、私の感がそうだと言っているッ!!いやっほぉぉぉい!!!」
ちなみにコイツが提案者です。そして俺は被害者です。半分…いや、完全に強引に連れてこられました。昔からこういうやつなんだよ、全く、自由すぎる…。
「龍!!例のトンネルを見つけたぞ!!早く来いよ!!」
「はっや!?もう見つけたのか!?」
追加で、コイツの行動力はマッハだわ。
俺は急いでそこに向かった。
「…ここが?」
「そう、ここがあの赤草山トンネルでございます!!」
俺の目の前には、かなり朽ち果て今にも崩れそうなトンネルがあった、不気味な雰囲気と共に。
「…帰りません?」
「ダメです。」
「帰りません?」
「ダメです。」
「アホか、絶対やばいだろ、これ。」
「何のために来たと思ってるんだ、神隠しが本当か確かめる為だろ?さぁ、レッツゴー!!」
「嫌です。」
「じゃあ、私だけでレッツゴー!!」
そう言って友人は暗闇の中に飛び込んで行った。
「おい待てって!!」
俺は考える暇もなく友人を追いかけた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…どこを見回しても暗闇が続く。俺はどこまで歩いたのか、全く分からない。俺の右手には懐中電灯が握られている。俺と友人は懐中電灯の光を頼りにトンネルの出口を目指している所だ。隣には友人が居る。
「いやー、ビビったよ。まさか私の懐中電灯が壊れてたなんて(笑)」
「電池ぐらい確認してろよな。」
「次からは気をつけまーす。」
「はぁ…。」
不気味な静かさの中に俺たちの声が不気味に響く。
「…不気味だけどなんかスリルがなーい。」
「十分だろ…」
「龍ビビってる?」
「ビ、ビビってねーよ!!」
「ふーん、ほんじゃ前にも言ったこのトンネルの行方不明事件を言ってみようかなぁ?」
「鬼か!!」
「冗談冗談w」
友人が嫌な話を思い出させたせいで心臓がうるさくなった。別に自分はビビっていない。まるで心臓が独立してビビってるように心拍数が上がる。お陰様で心臓が痛い。
すると突然、ポツンと俺の右腕に1滴の水滴が落ちてきた。
「うわ!?」
「どした!?」
「いや、なんでもない。ただの水滴だよ。」
「なんだよ、ビビりだなぁ。(笑)」
「こんなの誰だってビビる…あれ?」
なんだろう…、この水滴何か匂わないか?俺はふと、その水滴の匂いを嗅いだ。
「…鉄の匂いがする。」
「おい、突然怖いこと言うなよ…。どうせただの水だろ?」
俺は恐る恐る右腕に付いた水を懐中電灯で照らした。
赤色だった。
「え」
俺と友人は言葉を失った。
「こ、これって血…」
「ないないない!!トンネルの素材が水に溶けただけだって!!きっとそうだ!!」
俺と友人は動揺し、俺は腕に付いた血のような液体を急いで払い落とそうとしたが液体を伸ばしてしまい、皮膚に少し染み付いてしまった。
「…なぁ、何か聞こえない?」
友人が息を荒くしながら俺にそう言った。
「冗談はやめてくれ、これだけでも腹一杯だ!!」
「冗談じゃないって。」
「え…」
俺は荒れた息を落ち着かせ、耳をすませた。
………
…確かに遠くから何か聞こえる。
…。…。…。
俺たちが入ってきた方からだ。何だか俺たちが入った時はこんな音鳴ってなかったぞ?
…おぁ…お。あ…
何だこの音…。まるで人の断末魔のような…
おおおああおえあおおおおお!!!
音がどんどん近づいてくる!!
俺は再び恐る恐るその音の先を懐中電灯で照らした。
そこには人の形をした大量の何かが俺たちを襲うように迫ってきていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は持っていた懐中電灯を慌てて落とし、友人と真っ暗なトンネルを走った。ひたすら走った。出口を求めて。
どれだけ走ってもあのおぞましい声が近づいてくる。喉が痛い。痰が舌に絡む。頭が重く下を向いてしまう。もう限界だ。
「おい!!出口だ!!出口が見えたぞ!!」
友人の声が聞こえる。前を見ると確かにトンネルの出口がそこにあった。
「止まるな走れ!!」
再び友人の声が聞こえる。
俺は夢中で出口に突っ走った。そしてようやく、トンネルの出口から勢いよく出てきた。俺は疲れ果て、膝に手を置き、小刻みに呼吸をした。同時に咳も出て、上手く呼吸ができなかった。…少し落ち着いてきた。
「おい、大丈夫だったか?」
俺は友人に声をかけようと振り向き様にそう言った。しかしそこには友人はおろかトンネルすらなかった。
「おい…どこ行ったんだよ、隠れてないで出てきてくれよ!!」
俺は焦りながらその場を見回した。空は赤く、周りには廃墟なのかボロボロの建物が並んだ集落がそこにはあった。
「なんだよここは?一体なんなんだよ!!おい、本当にどこに行ったんだよ!!返事をしてくれ…」
俺は友人の名前を口に出そうとした。突然、俺の体の力が抜け、地面に倒れ込んだ。徐々にまぶたが閉じてゆく。どんどん視界が閉じてゆく。そして、最後に視界に入ったのは着物を来た何者かだった。
待っていたぞ、約束の日だ。
…ガタンゴトン…
…ガタンゴトン…
一定の感覚で聞き覚えのある音が聞こえてくる。
…ガタンゴトン…
…ガタンゴトン…
ゆっくりと重たいまぶたを上げる。目の前には荷物置きのネットだろうか、それが視界に入った。俺はゆっくりと体を起こし、ぼーっとしながら目を擦って周りを見回した。
「ここは…列車…なのか?」
窓を見ると緑の草原が広がっている。
「目が覚めたか?」
「!?」
背後から中年ぐらいの男性の声が聞こえた。その声の主は背後から足音を鳴らしながら俺が座っている席に近づいてくる。
俺はゆっくりと振り向いた。そこには顔が全く見えないほど包帯が巻かれており、足や腕も同じく全く肌が見えないように巻かれていた。鉄道関係者なのか鉄道の運転手が被っている帽子と服を着ている。とても不気味な人物だ。その人物は俺が座っている席とは向かい合わせになっている席にゆっくりと座った。
「気分は悪くないか?」
「えぇ、大丈夫です…。…貴方が助けてくれたのですか?」
「あぁ、そうだ。」
「ありがとうございます。」
「礼はいい、貴様の名と年齢は?」
「山野 龍 18歳です…」
俺がそう名乗った瞬間、何か気になったの包帯で巻かれた右手を顎に当てながら俺の顔を見つめた。そして顔から胸ポケットに入っている手帳を目線が流れるように見た。
「…えっと、この手帳が何か?」
「君が…いや、すまない。なんでもない。龍か、いい名じゃないか。」
「あ、ありがとうございます。…貴方は?」
「儂か?儂は三郎、そう呼んでくれ。」
「わ、分かりました、三郎さん。」
「よろしくな。」
挨拶が終わったあと、俺は窓の外を指さした。
「あの、三郎さん。ここは一体?」
「あぁ、今から説明することだった。まず、単刀直入に言うとここは異世界だ。」
「…え?異世界?なんですかそれ?」
「分かりやすく言うと貴様がいた世界とは別の世界ということだ。儂は貴様の様に異世界に迷った者を元の世界に戻すという事をしている。」
「という事は、俺を元の世界に戻してくれるんですか?」
俺は少し期待を込めた。しかし、三郎さんが深刻そうな声で話し出した。
「すまんが、落ち着いて聞いてくれ。」
「?」
「貴様の世界は、崩壊した。」
「…え?」
「わかりやすく言うとだな、貴様の世界は消えてしまったということだ。」
理解したくなかった。それはすなわち、俺の故郷、家族、友人、何もかも全てが失ったということになるからだ。
「嘘…でしょ?」
「これは事実だ。」
俺は納得できなかった。俺は前に寝起きドッキリを友人に仕掛けられたとことがあった。
「…なぁ、またお前のドッキリなんだろ!!包帯で顔を隠してもバレバレだって」
「…。」
今回もそうであって欲しかった。
「頼むって…そうであってくれよ…夢なら覚めてくれよ…」
俺の目からは涙が流れていた。
「…友人の名前は言えるか?」
「言えますよ。さっきまで一緒だったんですよ!!トンネルで一緒だったんですよ!!アイツの名前は…名前は…」
俺の記憶から何故か友人の名前が出てこない。思い出せない。
「これが答えだ。貴様の故郷の世界は崩壊した。崩壊した世界は記憶からも消えてしまう。」
この現実を受け入れざるを得ないのか…。
「俺はどうすれば…」
「…貴様に話がある。」
「…え?」
「儂らは世界の崩壊を食い止めるための調査をしている。その調査を貴様にも手伝って欲しい。」
「…。」
俺は世界の崩壊で故郷を失った。帰る場所を失った。未だに三郎さんを疑う気持ちは強い。だが、これ以上俺のように悲しくなる人がいなくなるのなら、失う人がいなくなるのなら、俺は…
「やります。崩壊を止めてみせます。これ以上失わない為にも。」
「あぁ、共に止めよう。よろしく頼むぞ、龍。」
ここから俺の物語が始まった。先が見えない、未知の物語。そして、最後の物語が。