エッセイとは、「自由な形式で、気軽に自分の意見などを述べた散文。随筆。随想。」のことである。
自分がこの、「小説家になろう」で投稿を始めて一年が経つ。
書いたのは「エッセイ」のみ。
一番最初に取り上げたのはコンビニで見かけた雑誌の見出しについてで、その後は仕事での経験談や日常で気づいたこと、思ったことなどを自由に綴ってみた。
自分が「なろう」に身を寄せたのは、元々アニメ化作品の原作を読みにきていたのもあるが、コロナ禍によって某大手SNSなどが荒れてしまい、ネットでの人付き合いを見直そうと思ったからだ。
自分はインターネットでのコミュニケーションは、リアルとは違う良さがあると感じている。
リアルでは全く縁のない世界や出会うはずのなかった人たちと関われるし、そこからは新しい発見や学び、楽しみをたくさん享受することができる。
だが、コロナ禍が始まってから某大手SNSでは、デマ情報をばら撒く人がいたり、意見の違う人同士が罵り合ったり、見るに耐えない惨状が連日繰り広げられ、それらを目にするのに疲れてしまった。
そこで、そちらのSNS以外にも何か始めようと思い、読み専としても親しんでいた「なろう」にて、自分でも書ける「エッセイ」という形で作品を投稿をしてみた。
記念すべき処女作は、
ー「ディナーは日高屋、服はメルカリ中古、家賃は月7万以下」は、「絶望」なのか?ー
正直なところ、見向きもされないんじゃないかと覚悟していたが……まさにビギナーズラック、おかげさまで沢山のご感想やポイントをいただいてビックリした。
そして今読み返しても、日高屋のどこが絶望なのか全くわからない。
調子に乗ってその後も、10月まではほぼ毎週、以降は不定期でエッセイ投稿を続けてみたが、自分のつたない文章にいつもご感想をお寄せいただいて、本当に感謝しかない。
時には本文の趣旨を全く無視した、ごくごく部分的な揚げ足とりやツッコミ、意味不明の喧嘩を売られたこともあったが、「ああ、なろうで投稿を始めて良かったな」と思えたことの方が遥かに多かった。
自分は音楽というエンタメ業界で長らく過ごしているが、創作活動をし作品を発表をしていれば、ネガティブで攻撃的なご意見、心ない言葉は一定数、必ず来る。
だが、こちらが意図的に喧嘩を売ったり、パクリなどの不正行為をしたりせず、作品と真摯に向き合っていれば、好意的だったり建設的なご意見の方が間違いなく、圧倒的に多い。
なろうでいただいたご感想も全く同じで、同じどころかやはり小説サイトだけあって、文面に質の高さを感じた時も多々あった。
例えば、こちらの主張に反するご意見をいただく時も無下に批判したりせず、自分では気づかなかった視点や知識をご提示くださったり、時には座布団一枚!じゃ足りないくらい面白いご感想をいただいたり……。
いつかのエッセイでネタにしたが、サビ頭の3音が似ただけで「パクリだ!」と言われるような環境にいる人間にとっては、こんなに建設的なやりとりができるのは幸せにすら思う。
そして、皆様のご感想から学びや刺激、楽しみをいただき、自分の視野や思考が広がり、成長させてくれること。
それは独りでは成し得ない、貴重な経験だ。
お金を得ることが、有名になることが創作の全てではない。
書籍化やアニメ化はもちろん、大変素晴らしいことだが、創作活動を通して自分自身が成長し、人生をより豊かにできること、それ自体がとても価値のあることだと、忘れたくない。
エッセイとは、「自由な形式で、気軽に自分の意見などを述べた散文。随筆。随想。」のことだ。
自由に気軽にとは言いつつも、エッセイを書くこと自体も自分にとっては、得るものがとても多かった。
興味を持ってもらえるようなネタを探したり、読みやすいよう工夫したり、考えを整理したり......そういう試行錯誤を重ねていくことが、自分の成長に繋がらないはずがない。
文章力が高まったのはもちろん、投稿を始める以前よりも客観的に物事を見られるようになったし、思考をまとめる力もついた。
エッセイを書くにあたって改めて調べなおしたりする中、再発見や知識のアップデートをすることもできた。
また、創作は日々に「潤い」ももたらしてくれる。
とあるリサイクルショップの話を書く時に取材がてら店に出向いてみたら、ジャンクコーナーのワゴンに「フルート」が乱雑に突っ込まれていて笑ったり、故・那須正幹先生の話で久々にズッコケシリーズを読み返したらハマってしまい、仕事そっちのけで10冊くらい読破したりもした。
そして、これまで書き続けられた大きな理由の一つは、投じたボールを投げ返してくれる皆様がいたからだ。
それも、自分の想像以上に丁寧で、手応えと暖かさの残る返球を。
そのことに改めて、心からの感謝をしたい。
このままエッセイ投稿のみを続けていくか、はたまた他ジャンルも書いてみるか、どういう形になるかはわからないが、今後もなろうでの活動は続けていきたいと思う。
一年間、ありがとうございました。
来年も皆様にとって、よいお年になりますように。