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1.エリシア・フォリス




【133年前ユーリアス大陸にて】




 白鳩(シロバト)は世界樹フォリスを立ち南へ飛ぶ。

 フォーランス大森林を抜けると眼下には広大なレオドラ平原が広がっている。


 レオドラ平原を過ぎてさらに南へ飛ぶと次は広大な麦畑が現れた。


 その麦畑を抜けて、いくつもの村や町を通り過ぎると、そこには兎の獣族が王に君臨するメリア王国の王都メリアがある。








 レオドラ平原には獅子の獣族、ガルレオン族の村や部落が点在している。


 フォーランス大森林には強力な魔獣が数多く住み着いていてた。

 その魔獣が森を出てレオドラ平原を抜け、その先にある町や村に被害を出す。

 それを食い止めることがガルレオン族の責務だった。


『フォーランス大森林から出てきた凶暴な魔獣はレオドラ平原でガルレオン族が駆逐する』


 いつからそうだったのか。

 誰が決めたのか。

 それは誰にもわからない。

 誰にもわからないが、数千年も昔からガルレオン族はレオドラ平原という土地で戦いに明け暮れる日々を生きてきた種族である。

 その記録は世界樹フォリスに残っている。




 この頃、ユーリアス大陸に住む風族と獣族は同盟関係にあり、風族は各地の獣族の都市や町に大使を派遣していた。

 そして今日、風族の少女がガルレオン族族長の村に新しい大使としてやって来た。


 尖った長い耳、透き通った金色の髪、エメラルドグリーンの瞳。それが風族の特徴だ。



「皆様、はっ、初めましてっ!この度、大使としてお世話にることになりました、風族のエリシア・フォリスと申します。みっ、未熟者ですが、精一杯勤めを果たしたいと思っています!ガルレオンの皆様、ど、どうか宜しくお願い致します!」


 パチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッ


 たくさんのガルレオン族に囲まれ温かい拍手を浴びる背の低いチンチクリンな風族の少女エリシアはガチガチになりながら挨拶を終えると、緊張した面持ちで頭を深く下げた。


「フフフ、エリシア、そんなにこわばらなくても大丈夫だよ。みんな優しい人だから」


「は、はい!お祖父様」


 エリシアに優しく声を掛けたのはエリシアの祖父、リリウス・フォリス。彼は優しい笑顔に丸い眼鏡をかけていて、痩身ではあるが仕立ての良い服を着ている。


 そんなリリウスにガルレオン族の青年が声をかける。

 青年の身長は約230センチ、褐色のマッチョである。因みにエリシアの身長は155センチ。


「しっかし、本当に信じられねーよなぁ。リリウスさんが爺さんだなんて。どう見ても俺の親父より若く見えるぜ」


「私達風族は200歳を過ぎないと老化がはじまらないからね」


「ふーん200歳か。想像できないな。それでエリシアはいくつなんだ?」


「わっ、私は17歳です」


「おっ、じゃ俺と同じ年だな。俺はエドってんだ。宜しくな」


 満面の笑顔で気さくにエリシアの肩を叩くガルレオン族の青年、名はエド・ガルレオン。


 エリシアはこんなにも巨大な人間を今までに見たことがなく、かなり驚いている。

 そんなエリシアを見かねた、ガルレオン族の少女がエドに注意する。


「こらエドぉ!こわがってるじゃないか!それに女の子にいきなり歳なんて聞くんじゃないよ」


「なっ、こわがってねーよ。……なぁ?」


「えっ、ええ。初めてこんなに大きな人を見たので、驚いたと言いいますか……」


「男連中はでかいのが多いんだ。恐がらせて悪かったな」


 ガルレオン族の少女は申し訳なさそうにエリシアに笑いかけた。


「恐くはないので、だ、大丈夫です!」


「なら良かった。あたしはベルダって言うんだ。困ったことがあったら、あたしに言ってくれ」


 身長約175センチ、金の髪を腰まで伸ばし、胸は大きくクールで大人っぽい優しい笑顔を見せる少女はベルダ・ガルレオン。

 

「んだぁ?仲良しごっこかぁ?くっだらねぇ!」


「んっ?お前も仲間に入りたいのか、サゴ?」


「はぁ?ちっ、ちげーよ。バカッ。エド、テメーほんといつも天然だな」


「はぁ、サゴ、挨拶くらいちゃんとやれよ!あんたのおばさんに言いつけるよっ」


「なっ、ベルダ。ぐっ、……ちっ!俺らぁサゴだ。まぁ、宜しくな」


 仏頂面の男はサゴ・ガルレオン。身長約200センチ、痩せているが引き締まった良いガタイをしている。


「サゴは悪いヤツじゃないんだ。あたし達はみんな同じ歳で幼なじみなんだよ。これから宜しくなエリシア」


 ベルダはエリシアに笑いかける。


「はい。宜しくお願いします。ベルダさん!……エドさんとサゴさんも!」


 ずっと緊張していたエリシアはベルダの優しい笑みを見て、この村に来て初めて明るい笑顔を見せた。


「「おっ、おお」」


「2人ともなにテレてんだよ」


「「テレてねーよ!」」


「いちいちハモるな!」


「プッ、アハハハハ」


 エリシアはエド、ベルダ、サゴのやり取りが楽しくて、温かくて、声を出して笑った。


「笑ったな」「笑ったわね」「ふんっ」


 こうしてエリシアの大使としての生活が始まった。






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